ファンタジー…木藤良朝子テナーサクソフォンリサイタル
木藤良朝子 テナーサクソフォンリサイタル(昭和音楽大学ユリホール)
D.ベダール/ファンタジー
R.シューマン/アダージョとアレグロ
Ph.スパーク/パントマイム
L.ロベール/リズム・リリック*
長生淳/天頂の恋*
J.C.ウォーリー/6つの舞曲
H.ヴィラ=ロボス/ファンタジア
*S.Sax:福本信太郎
Pf:泉谷絵里
木藤良(きとら)さんに初めて会ったのは、「クインテット・シルク」とのちに呼ばれることになる五重奏団のデビューコンサートの時だったっけ(告知の時点ではまだ名前は付いていなかった)。
今でも忘れられない素晴らしいコンサートだった。
あの頃はみんな大学出たばかりとか、留学から帰ったばかりとか、若かったな。
あれから10年。
初めてのソロリサイタルは、大成功の裡に終わった。
スピード感と重さ。熟慮と一気呵成。なめらかでつるっとした音と、ギザギザで重厚な音。
様々な相反する要素が矛盾なく共存する音楽だった。
テナーサクソフォンのレパートリーを総ざらえしたかのような曲目だったが、それぞれに必要なものの目配りが行き届いていて過不足がない。
私の中では、テナーの上手な綺麗なおねえさん、というイメージだった木藤良さんが、この10年間にそれ以上にこんなに豊かな音楽を自分の中に育んできたのか、と思って、胸が熱くなる思いだった。
圧巻は、師匠の福本氏とのデュオのロベール。
お互いに相手の音の倍音に溶け込むかのような精妙な開始から、ロベールならではの螺旋を描くような展開を踏んでクライマックスに向かっていく。
リリックという言葉には「オペラの」、という意味もあるけれど、まさにそんな、「歌」と「語り」を目の前で統合してゆくような音楽の進行を、息をのんで聴いた。
演奏っていうのは、こういうふうにするものだ。
もしロベール先生がこの場に居たら、立ち上がって大拍手していたことだろう、と思った。
それにしても、10年ぶり、いや、15年ぶり近くに聴いた福本氏のサクソフォンの健在ぶりというか素晴らしさ、言葉もない。
私の周りの多くの人は、(福本氏のサクソフォンを)初めて聴いた、と言っていたが、指揮のほうに忙しいのは勿論知っているけれど、彼がサクソフォンの演奏活動を今ほとんどしていないことは残念というか、サクソフォン界にとっての損失だとつくづく思う。
まあ、彼がサクソフォンを吹かないと困る人と指揮をしないと困る人とどちらが多いか、という問題なので、難しいところではあるけれど。
ともあれ、受験生だった頃から知っている旧知の福本氏の演奏を(ホントは、福本君、とか、信太郎、と呼んだほうが自分的にはしっくり来るんだけど、さすがに遠慮)、彼が育てた弟子のリサイタルと共に聴くというのは、長生きはしてみるもんだ、という気分ではあった。
ピアノは泉谷先生。
昨年夏にシュミットでご一緒して以来の再会。
オレ、こんなすごい人にピアノ弾いてもらってたんだ、と思って、今更のように身が引き締まる思いだった。
夢のような時間でした。
木藤良さんありがとう。お疲れさまでした。
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