近代フランスの核心…シティフィル定期
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第240回定期演奏会-フランス音楽の彩と翳Vol.17(東京オペラシティ・コンサートホール)
C.サン=サーンス/交響詩「オンファールの糸車」
E.ショーソン/交響曲変ロ長調
C.ドビュッシー/夜想曲(合唱:東京シティ・フィル・コーア)
M.ラヴェル/高貴にして感傷的なワルツ
指揮:矢崎彦太郎
(コンサートマスター:戸澤哲夫)
1シーズンに一度ある、矢崎=シティフィルのフランス音楽シリーズ。
今回も楽しみにしていた。この曲目を見てくださいよ。
言葉の最も正確な意味で、近代フランス音楽(19世紀後半から20世紀初頭)の精粋、と言っていい。
フランスのオーケストラの来日公演だってこんなプログラムは組めない。
なにしろショーソンだ。
ショーソンの交響曲は故ジャン・フルネ師の十八番で、何度も聴いたものだったけれど、はてフルネ師以外の誰の指揮で(実演で)聴いただろう、と考えると、ほとんど思い出せない。
去年、大野和士さんがやってくれたのはそう考えると「事件」だったんだけど。
演奏は、ちょっと力入りすぎて必要以上に悲劇性が強調されてしまったようで、フルネ師の中間色の美観に慣れた耳にはちょっと違和感があったけれど、それでもあのメランコリックでしかも感情の張り詰めたショーソンならではの和音がコンサートホールの空気に響く感覚は、ほかでは味わえない世界だ。
そして、それよりも、休憩後のドビュッシーが信じがたい素晴らしさだった。
大曲のショーソンが終わって休憩が入って、余分な力が抜けたのか、緊張しすぎず大層自然な、光と陰影のバランスのとてもよい進行。
弦の、普段は物足りないこともある薄めにまとまった音と、コーラングレはじめ管楽器陣の大健闘もあって、日本のオーケストラでこれほどそれっぽい雰囲気を出していたのは、絶後とは言わないが、空前のことだったのではないかと思った。
これで演奏会終わりでもいいくらいだったが、最後にラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」。
いかにもラヴェルらしい作品だなあ、と再認識。
お洒落で親しみやすい部分と、人の感情を置き去りにするようなモダンで冷静な部分とが、全く矛盾なく渾然一体となっていることが、実演だとよく納得できる。
これも聴けて良かった。
矢崎さんとシティフィルの演奏も、近年目立たないけれど重要な変化をきたしてきているように思う。
このフランス音楽シリーズは私は、8年前に始まったときから聴いてるけれど、言っちゃ悪いが、始めの頃はここまで核心に近付いた演奏なんか果たして出来ていたかどうか。
というわけでいい演奏会だったけれど、お客さんは相変わらず少なかった![]()
数は少ないけれど本当に好きなお客さんが熱心に聴いていた、という雰囲気だったらまだ救われるんだけど、残念ながらそういう感じともちょっと違いそうで…うーむ。
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