カテゴリー「コンサート(2007年)」の記事

2007.12.31

2007年回顧

今年最後のエントリです。
大晦日恒例、今年聴いたベスト・コンサートなどを考えてみる。

今年は、行ったコンサートの回数が何年ぶりかで100回を超えた。
オーケストラ、室内楽、ピアノ等のコンサートの数はいつもの年とそんなに変わらないけれど、サックス絡みのコンサート(コンサートというよりは発表会に近いような催しも含む)が今年は例年になく多く、全体の数字を押し上げているようだけれど、暮れの今となって印象深く思い出すのは圧倒的に非・サクソフォン関係のコンサーが多いところが、ちょっと複雑な気分。

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2007.12.24

記録・フェスティバル2007

怒濤のサクソフォンフェスティバル2daysを終えて帰ってきて、一夜明けてクリスマスイヴ。今日が休みで良かった。

今年もフェスティバルにはほぼフル参加、京王プラザ多摩に宿をとって、初日は演奏と打ち上げ、2日目は朝から晩まで大ホールと小ホールを行ったり来たりしながらいろいろな演奏を聴き、いろいろなことを考え、いろいろな人と話す。

自分たちの演奏は、少なくとも以前の定期演奏会のときよりは良いものが出来たんじゃないか。
やっとこの編成が自前(正団員)だけで出来るようになった充実、そしてしまっぷー先生はじめメンバー各自の尽力と努力のおかげだと思う。本当に。
今回嬉しかったのは、演奏を聴かれていたある方に、「なめら~かの皆さんは、メンバーが舞台に出てきた瞬間からなめら~かな雰囲気が伝わってきた」、と言われたこと。
音楽というものは単に聞こえてくる音だけではなくて、その音を出している人間の人間性とか性格とか意思とかを全部含めた総体なのだから、そんなふうに感じてもらえたとしたらこんなに嬉しいことはない。

という訳で今日は、久しぶりの(本当に久しぶりの!)のんびりした休日。
今日の用事といえば、年明け早々に、日本サクソフォン協会のアンサンブル・コンクールの予選審査提出用の録音のために家の近所のホールをおさえたので、会場スタッフとの打ち合わせに行ってきたくらい。
客を入れる訳でもなんでもないけれど、やっぱり打ち合わせって必要なんですねえ。


フェスティバルの全プログラム等は、一応以下にまとめておくことにする。
これらの他に、協賛各社の企画枠とか、「中高生のためのクリニック」とか、現地から写真をupした屋外でのプロムナードコンサート(要は客引き&賑やかし)などもあった訳で、いやー盛り沢山でしたなあ。
【】内は私のコメント。今後補筆するかもしれません。

第27回サクソフォーン・フェスティバル 2007(パルテノン多摩)

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2007.12.23

終了

終了
フェスティバル最後は、毎年恒例、舞台上のサクソフォーン・オーケストラと客席の大合奏。
今年も終わりですねえ(しみじみ)。

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フェスティバル2日め

フェスティバル2日め
雨もやんですっかり暖かくなってきました。
演奏はクインテット・シルク。(なぜかK末さんが…)

ミスすると後ろのキティに殴られるらしい(^^;

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2007.12.22

フェスティバル開幕

フェスティバル開幕
寒いっす。雪でも降りそうなパルテノン多摩正面にて。
演奏はヴィーヴ!SaxQ.の皆さん。

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2007.12.15

ある土曜日のエルガー

歳末近い土曜日。
バスと電車を乗り継いで、もと実家の近くの床屋さんへ。
新しい道路が開通していたり、毎日前を通っていた個人営業の薬屋さんが潰れて呑み屋になってたり。
引っ越して5年が経ったけれど、今でもこうして2ヶ月に一度くらい訪れて、かつて40年住んでいた街の様相が少しずつ変わっていくのを、眺めている。

時間の流れには誰も逆らうことはできない。
昨日の街は既に今日は存在せず、今日の私はもう昨日の私ではないように、今日の貴方はもはや昨日の貴方ではない。
なんてことを実感させられることが最近多くてね。…

さっぱりした頭で新宿へ出て、来週のフェスティバル本番に備えてソプラノを調整してもらった後、サントリーホールへ。
今日は読響の定期。

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インバルの時代へ!

TMSO, 071214東京都交響楽団 第654回定期演奏会(東京文化会館)

マーラー/交響曲第7番「夜の歌」
 指揮:エリアフ・インバル

12月の都響には、来年度より新しいシェフに就任するマエストロ・インバルが登場、「第9」を含む3つのプログラムを指揮する。
その第一夜、5階席までほぼ9割方は埋まった(チケットは完売だったそうだ)東京文化会館。曲は得意のマーラー、7番。
物凄い演奏だった。

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2007.12.14

Happy Sax 2007

Happy Sax 2007Toshihisa Ogushi HAPPY SAX CONCERT 2007(銀座ブロッサム・中央会館)

The Course of Life(星出尚志)
ブラボー・サックス!(星出尚志)
星に願いを(L.ハーライン/西上和子編)
スラヴ幻想曲(C.ヘーネ)※
メルシー!パリシー!~S.Sax, A.Sax, Pfのための(樽屋雅徳)※
ラテン・フィエスタ(鈴木英史編)
Quiet Sunset(真島俊夫)
メモリーズ・オブ・カーペンターズ(成本理香編)※
サンバ・フィエスタ2007(鈴木英史編)
 小串俊寿(Sax)、白石光隆(Pf)、横山達治(ラテンPerc)
 ゲスト:武藤賢一郎(Sax)※

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2007.12.10

日比谷公会堂の記憶

DSCH_2007日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007・最終日(日比谷公会堂)

ショスタコーヴィチ/交響曲第8番
同 /交響曲第15番
 新日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮:井上道義

昨日のこと。
かつて日本における西洋音楽の殿堂だった日比谷公会堂(昭和4年開館)の再発見を期して企画されたという、井上道義プレゼンツ・ショスタコーヴィチ全曲演奏会の、フィナーレ。
チケット代は3000円均一とお手軽だし、新日本フィルだし、渡辺先生大活躍の予感もあり、行ってきました。

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2007.11.30

秋のデプさん

TMSO, 071129東京都交響楽団 第653回定期演奏会(サントリーホール)

スクリャービン/夢想Op.24
モーツァルト/交響曲第38番「プラハ」
プロコフィエフ/カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」Op.78
 メゾソプラノ独唱:竹本節子
 二期会合唱団(合唱指揮:船橋洋介)
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

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2007.11.27

チェコフィル・マーラー3番

Czech Philharmonic, 071126チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 日本公演(サントリーホール)

マーラー/交響曲第3番
 アルト独唱:ダグマル・ペツコヴァ
 合唱:ガーデンプレイスクワイヤ(合唱指揮:中島良史)、東京少年少女合唱隊(指導:長谷川久恵)
 指揮:ズデネク・マカル

マーラーの3番は、マーラーの交響曲の中で私のたぶん一番好きな曲だ。
もしかしたら、古今のあらゆる「交響曲」の中でも一番好きかもしれない。
なにしろ1時間40分もかかるので、聴くのはかなり気合が必要だけれど(CDも数セット持っているけれど、どれも通して聴いたことは数回、ものによっては1回しかない)、いざ聴き始めてしまえば、変化に富んだ内容に飽かず楽しむことができる。

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2007.11.25

初体験、水戸室内管

聴いて参りました、水戸室内管。
昼間は飯能経由で青梅まで父に面会に行き、帰りに上野へ出て特急スーパーひたちで往復してきた。ほぼ半日(12時間)で1都3県を巡ってきたことになる。
これまた目眩のするような、ゴージャスな演奏会でした。
おカネあるよなぁ… と思わず下世話な感想も抱いてしまうけれども(故岩城宏之氏がよく「オーケストラとはおカネの音だ、カネのあるところほど良い音がするのは悔しいけれど現実だ」と色々な機会に言っておられたのを思い出す)、この豪華さは、それにしてもただごとではない。

MCO, 071124水戸室内管弦楽団 第71回定期演奏会(水戸芸術館・コンサートホールATM)

C.ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
F.シュミット/弦楽のための交響曲「ジャニアナ」Op.101
V.ダンディ/古風な様式による組曲Op.24
G.ビゼー/劇音楽「アルルの女」(オリジナル版)より
 前奏曲、メヌエット、第3幕への間奏曲、第5幕への間奏曲(アダージェット)、パストラール、カリヨン、メロドラマ、ファランドール
A.ルーセル/バレエ組曲「くもの宴会」Op.17
 指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール

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2007.11.24

水戸芸術館

水戸芸術館
やってきました。

コンサートは休憩に入ったところ。
ここは外のロビー。オルガンがこんな場所にあるのはすごいな。

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静岡のドラングル

というわけで静岡でした。

Quest, 071123クロード・ドラングル サクソフォン・ライヴ "Quest"(静岡音楽館AOI

G.シェルシ/3つの小品~ソプラノサクソフォン独奏のための
P.ジョドロフスキ/混合(Mixtion)~テナーサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための
L.ナオン/分岐する小道(Senderos que bifurcan)~ソプラノサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための
G.スピロプロス/サクスティ(Saksti)~テナーサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための
C.ドラングル/アラウンド(Around - L.ベリオ/セクエンツァVIIbによる)~5つのサクソフォンのための
A.マルケアス/ペリルプシス(Perilepsis)~アルトサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための(初演)
鈴木純明/凪~ソプラノサクソフォンとサクソフォン四重奏のための(日本初演)
M.ストロッパ/ ...of Silence ~アルトサクソフォンと室内エレクトロニクスのための(静岡音楽館AOI委嘱作品・初演)
J.t.フェルドハウス/グラビット(Grab it!)~テナーサクソフォンとCDのための
M.タディーニ/ブレリア(Buleria)~ソプラノサクソフォンとライヴ・エレクトロニクスのための(日本初演)
 Claude Delangle、
 平野公崇、波多江史朗、井上麻子、有村純親(サクソフォン)
 Marco Stroppa(作曲・コンピュータ)
 Arshia Cont(コンピュータ音楽デザイン、IRCAM)
 Joachim Olaya(サウンド・エンジニア、IRCAM)

…タイプしてるだけで疲れた(苦笑)。
パリ国立高等音楽院サクソフォン科教授クロード・ドラングルの、今回の来日唯一のコンサート。
見てのとおり、目眩のするような刺激的な内容であります。

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2007.11.17

2007年のモレティ

Moretti, 071116ファブリス・モレティ サクソフォンリサイタル(旧東京音楽学校奏楽堂)

A.マルチェルロ/オーボエ協奏曲
H.ヴィラ=ロボス/ファンタジア
港大尋/遠みから遠ざかってみても~ソプラノサクソフォンとピアノのための
J.リュエフ/シャンソンとパスピエ
E.ボザ/アリア
M.ビッチ/村娘
J.アプシル/5つの歌
A.ピアソラ/忘却、K.ワイル/ユーカリ(ピアノソロ)
H.トマジ/バラード

Fabrice Moretti(A.Sax)、服部真理子(Pf)

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2007.11.15

シュターツカペレ・ドレスデン

NHK音楽祭2007-ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(NHKホール)

ウェーバー/歌劇『魔弾の射手』序曲
ワーグナー/歌劇『さまよえるオランダ人』より「外国のお客を迎えてくれ」
 Bs:クルト・リドル(ダーラント)
ウェーバー/歌劇『オイリアンテ』序曲
R.シュトラウス/歌劇『ダナエの愛』より第3幕の前奏曲とフィナーレ
 Br:ハンス=ヨアヒム・ケテルセン(ジュピター)
ワーグナー/楽劇『ワルキューレ』第1幕
 Sp:エヴリン・ヘルリツィウス(ジークリンデ)、Tn:ウォルフガング・シュミット(ジークムント)、Bs:クルト・リドル(フンディング)
 指揮:ファビオ・ルイージ

スウィトナーのモーツァルト(なかでも「ハフナー」と39番)、ブロムシュテットのベートーヴェンとシューベルト、サヴァリッシュのシューマン、等々、録音ではこの30年来親しんできた、来年創立460年を迎えるというヨーロッパ最古のオーケストラのひとつ、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)。
はじめて、生で聴いた。
感激。

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2007.11.13

北国のトリオ・ダンシュ

Trio d'anches Sapporoアフィニス・アンサンブル・セレクションNo.115「トリオ・ダンシュ札幌」(JTアートホール)

W.A.モーツァルト/木管三重奏のためのディヴェルティメント第1番K.anh.229
石丸基司/湿原のドン・キホーテ~佐々木榮画伯の同名の絵画に寄せて
G.ジェイコブ/オーボエ、クラリネット、バスーンのためのトリオ
F.プーランク/ピアノ、オーボエとバスーンのためのトリオ
F.シュミット/ア・トゥール・ダンシュ
 Ob:宮城完爾、Cl:三瓶佳紀、Bn:坂口聡、Pf:山洞智

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2007.11.09

リヨン管2007

ONL11月6日。
パリからリヨンへ、TGVに乗って(乗ってません)、昨日に引き続きコンサート会場へ。

フランス国立リヨン管弦楽団(l'orchestre national de lyon)日本公演(サントリーホール)

細川俊夫/循環する海(日本初演)
ラヴェル/ピアノ協奏曲(Pf:ジャン・フレデリック)
ドビュッシー/「夜想曲」より 雲、祭り
同 /交響詩「海」
 指揮:準・メルクル

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2007.11.07

パリ管2007

NHK_Music_Festival_200711月5日のこと。

NHK音楽祭2007-パリ管弦楽団(NHKホール)

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
ラヴェル/「マ・メール・ロワ」組曲
同 /ラ・ヴァルス
同 /ボレロ
 指揮:クリストフ・エッシェンバッハ

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2007.10.31

サー=ネヴィルのジュピター

Tirasi071029サー=ネヴィル・マリナー指揮のN響で、モーツァルトの「ジュピター」を聴いた。(10月29日、サントリーホール)

前プロに堀正文さんの独奏でヴィヴァルディの「四季」全曲があったんだけど、職場を出ようとした直前に予想外の事態が発覚してぶっ飛んでしまった(>_<)
演奏者としての堀さんはあんまり好きなタイプではないので(リーダーとしては凄い人だと思うけれど)、まあいいか(これは一種の負け惜しみだな)。

とにかく、(少なくとも私にとっては)真の巨匠、指揮者の中の指揮者サー=ネヴィルの、モーツァルトである。
素晴らしいモーツァルトだった。

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2007.10.30

いろいろな再会

台風の過ぎ去った28日(日曜)。よい天気。

11月3日に、サクソフォンカルテットで小さな本番(お祭り・賑やかし系)をすることになって、その練習のため、戸塚へ。
戸塚駅で降りたのは25年ぶりくらいかもしれない。昔の面影は、綺麗さっぱりなーんにもなくて、茫然とする。

初対面の方1人を含む一発メンバーながら、あとの2人はうちのアンサンブルで馴染みのメンバーということもあり、全く問題なくすらすら練習が進む。
2時間の練習時間で、皆で持ち寄った山のような色物楽譜(むかしの東亜音楽社系の出版譜から、いかにも出自の怪しげな手書き譜まで)を片っ端からひととおり音出し。だいたいの曲目が決まったところで時間。あとは当日。

午後は横浜みなとみらいへ移動。
クラノワという、私の顔見知りがたくさん乗っているクラリネット合奏団の演奏会へ。

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2007.10.28

レッツエンジョイ島送り(笑)

Shima-Pooh_07102727日のこと。
なぜか唐突に現れた台風(20号)が不気味に近づきつつある中、しまっぷー先生のコンサートへ急ぐ。

レッツ エンジョイ!
大栗司麻(Sax)-ちょっとすてきにサクソフォーン(スタジオ1619

R.プラネル/プレリュードとサルタレロ
D.ベダール/ファンタジー
P.モーリス/プロヴァンスの風景
R.バーンスタイン/「ウェストサイド・ストーリー」より マリア、アメリカ
R.シューマン/アダージョとアレグロ
 Pf:花房伸江

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2007.10.26

太郎、じゃなかったタロー!

忙しかった週の最後に、素晴らしいコンサートをきく。

Tharaudアレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud) ピアノリサイタル(王子ホール)

F.クープラン/クラヴサン曲集より
ロジヴィエール、信心女たち、葦、プラチナ色の髪のミューズ、神秘的なバリケード、奇術、双生児、パッサカリア、さまよう亡霊たち、「凱旋」より 戦いの響き、シテール島の鐘、ティク-トク-ショックまたはマイヨタン(オリーブしぼり機)
J.P.ラモー/新クラヴサン組曲ト調(クラヴサン曲集第2集・第5組曲)より
同 /新クラヴサン組曲イ調(クラヴサン曲集第2集・第4組曲)

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2007.10.23

金・都響・シュトラウス

TMSO, 071022東京都交響楽団 第650回定期演奏会(東京文化会館)

R.シュトラウス/歌劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り
同 /メタモルフォーゼン
同 /交響詩「ドン・キホーテ」(Vc:アルト・ノラス、Va:鈴木学)
 指揮:金聖響

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2007.10.22

久々の新井さんソロ

Yasushi Arai, 071021新井靖志 Saxophones Salon Concert(アーティストサロンDolce)

ドビュッシー/ラプソディ
プッチーニ/トスカ・ファンタジー
シューベルト/「しぼめる花」の主題による序奏と変奏
シューマン/3つのロマンス
ケックラン/ジーン・ハーローの墓碑*
ショスタコーヴィチ/4つのワルツから* 3、4
スパーク/パントマイム
 Pf:渡辺麻里、Fl:白石法久*

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2007.10.19

16日のリリアホール

16日の続き(ひとつ前のエントリ参照)。
6時からピアノ合わせというしまっぷー先生と別れて、こちらは川口へ。

TQ 2007トルヴェール・クヮルテット 結成20周年記念コンサート3days 追加公演(川口リリア・音楽ホール)

長生淳(ハチャトゥリアン原曲)*/カインド・オブ・ガイーヌ
シュミット/サクソフォン四重奏曲
デザンクロ/サクソフォン四重奏曲
長生淳(モーツァルト原曲)*/モーツァルトはなべてこうしたもの
ピアソラ*/ブエノスアイレスの冬
長生淳(ホルスト原曲)*/トルヴェールの『惑星』より「木星」
長生淳(ビゼー原曲)*/カルメン・ラプソディ
 Pf:小柳美奈子*

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2007.10.11

N響の室内楽

NHKSO, 071011N響プレミアムコンサート-アンサンブルの極み(カザルスホール)

ワーグナー/ジークフリート牧歌
 (Fl神田寛明、Ob青山聖樹、Cl横川晴児・松本健司、Bn水谷上総、Hn日高剛・勝俣秦、Tp井川明彦、1stVn山口裕之、2ndVn永峰高志、Va小野富士、Vc藤森亮一、Cb吉田秀)
モーツァルト/クラリネット五重奏曲
 (Cl横川晴児、1stVn堀正文、2ndVn山口裕之、Va佐々木亮、Vc木越洋)
チャイコフスキー/弦楽セレナード
 NHK交響楽団メンバー(コンサートマスター:堀正文)

キャパ511のカザルスホールで、指揮者なしの小編成によるN響を聴くという、贅沢な演奏会。
じつはかの○イクロソフトが公演の単独スポンサーについていて、なかなか微妙にヘンテコなアンケートが付いていたりしたんだけど(「本日の公演を通じたマイクロソフ○に関する下記の印象について9段階評価でお答えください。1.【親しみやすさがある】全く高まらなかった←どちらでもない→非常に高まった。2.【慈善活動や社会貢献活動の取り組みについて】全く高まらなかった←どちらでもない→非常に高まった」だって。いったい何のためにわざわざそんなことを聞くんだろうか。そもそも「9段階評価」って何よ)、それはいいとして。

「N響メンバー」というだけで正確な出演者名は結局発表されないまま演奏会の日となったのだが、クラリネット五重奏のソリストが横川さんだったのは嬉しい。横川さんの演奏には過去、作曲者の魂と直接対話をしているような稀なる体験を何度もさせてもらっている(20年近く前に聴いたプーランクのソナタの2楽章には、不覚にも泣いてしまったことを今でも覚えている。他にもいろいろ)。今日も然り。まるでそこにいて吹いているのではない、どこか遠いところで純粋の「音楽」だけを紡いでいるような感覚。…ただ、弦チームはちょっと粗くて、1曲めのほうが良かったな。山口さん、最近のN響公演にコンマスとして乗ることが殆どないけれど、いったいどうしちゃったんだろう(N響の3人のコンマスの中では、個人的には一番好きなんだけど)。

休憩後は弦楽器のみ、8-6-4-4-2の編成(指揮者なし)によるチャイコフスキー。
これはまさに「圧巻」だった。24人もの演奏者が、一糸乱れず、たいへんな迫力で、まさしく本物の「室内楽」を奏でていた。
コンマスの堀さんってこんなに凄い音楽家だったのか、と圧倒された思いだ。楽器を弾くアクションが、そのまま音楽のテンポやら、リズムやら、イントネーションやら、フレージングやらの本質を表現し、かつ正確に伝達している(それを受け止めるメンバーの力と感性も、勿論凄いけれど)。
おそるべき情報量をもった演奏。コンマスのことを英国では「リーダー」というそうだが、まさに!その言葉そのものだ。ヘタな指揮者なんかよりも、よほど。…指揮者なしでこれだけのことが出来るんだったら、ギャラばかり高い飾り物みたいな指揮者なんか要らないよなあ、とたしかに思ってしまう。

…感嘆しつつ、よくよく考えてみると、自分のアンサンブルでは私は堀さんのポジションにいるのだった(!)。
なんということだ。
ギャーッと叫んで、逃げ出したくなってしまう。
…といって、逃げ出す訳にはいかないので、「自分なりに」頑張るしかありません。

N響の客は相変わらず落ち着き、というか集中力がないなあ(^^;
まあ、そういう客はごく一部なんだろうと思いたいけれど。
1階席は結構な割合で埋まっているのに、断然音の良いバルコニーがガラガラだったのも、不思議(おかげで左右5~6席誰もいないような状態で、集中して聴くことができたが)。
N響のお客さんは余程カザルスホールには縁がないのかな。

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2007.10.08

2007年のロジェヴェン

6日のつづき。
凸版ホールから、高速道路下のどぶ川(実は昔の江戸城の外堀)端の歩道を江戸川橋まで歩いて、地下鉄に乗り、池袋へ出る。
本日2本めのコンサート。

YNSO, 071006読売日本交響楽団 東京芸術劇場名曲シリーズ第143回

サン=サーンス/劇付随音楽「誓い」より 3つの交響的タブロー
同 /ピアノ協奏曲第2番(Pf:ヴィクトリア・ポストニコワ)
同 /交響曲第3番「オルガン付き」(Org:水野均)
 指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー

読響名誉指揮者ロジェストヴェンスキー(1931-)という人はたいへん芸風の広い人で、私が初めて名前を知ったのは10代の頃、ミヨーの小交響曲やイベールの交響組曲「パリ」等を指揮したメロディア・レーベルのレコードでだった。
フランス物も得意としているようだが、基本的にはロシアの匂いをプンプンさせる音楽家だ。読響には毎年、一癖ある楽しい曲目で客演していて(私が最近聴いたものだけでも、2004年はG.シャルパンティエの「イタリアの印象」他のフランス物、2005年はグラズノフのバレエ音楽「四季」他、昨年はボロディンの交響曲3曲全部、といったもの)、今年のサン=サーンス・プロも楽しみにしていた。

ステージに、のっしのっしとゆっくり歩いて登場、指揮台を置かない平土間の上で、長い指揮棒を「オラ、弾けや」とばかりにどさっと投げ出す仕草をすると、オーケストラからは嘘のようなとても繊細で甘い音色が自然に、引き出されてくる。
めざす音楽の繊細さに比べて指揮の動作そのものはとても大雑把なので、オケとしてはかなりやりづらい指揮者だろうと思うが(実際、アンサンブルが破綻していた箇所もいくつか)、出てくる音楽そのものの説得力はまさに巨匠のそれだ。
それにしても「誓い」を生で聴けるとは思っていなかったな(CDは私の知る限り1種類しかない。ロジェヴェン氏はどうやって知ったのだろうか)。エジプトの音階を用いるなど、サン=サーンスとフォーレの往復書簡集(そんなものが日本語で出版されているのだ)の中でサン=サーンス自身が自慢げに言及している、古代エジプトを舞台とした劇音楽なのだが、現代の耳で聴くと、これまたサン=サーンス本人が言っているとおり、エジプト云々は関係なくとても古典的な美しい音楽に聞こえるのだった。
ピアノ協奏曲は、夫人のポストニコワのピアノがまたロシア的趣味たっぷりなもので(1楽章はとにかく朗々と堂々としているし、フィナーレはまた曲芸みたいに速いし)、たいへんスリリングで、一時も目の離せない演奏となった。
休憩後の「オルガン付」は、テンポのたいへん遅い豪快な演奏。遅さは晩年のフルネ以上かも。オーケストラの真剣さが伝わってきて、結果的にはとてもいい演奏だった。

見やすくて弾きやすい指揮が、必ずしも良い演奏に結びつく訳ではない、実際はむしろ逆の場合が多い、とは、プロのオケマンの方々が口を揃えて仰ることだが、確かに、そういうものなのだろうと思わされる。
来年も是非聴いておきたいものだ。

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2007.10.07

トルヴェール1/3days

TQ, 071006-08トルヴェール・クヮルテット 結成20周年記念コンサート3days 第1日(トッパンホール)

長生淳(ハチャトゥリアン原曲)*/カインド・オブ・ガイーヌ
メンデルスゾーン(伊藤康英編)/プレリュードとフーガOp.35-5
デザンクロ/サクソフォン四重奏曲
長生淳(ヴィヴァルディ原曲)*/トルヴェールの四季より 春1、夏2・3、秋3、冬2・3
ガーシュウィン(伊藤康英編)*/「ポギーとベス」ハイライト
 Pf:小柳美奈子*

トルヴェールQも、ついに結成20年ですか。
ということで、3日間、全部別プログラムによる記念コンサートが華やかに開幕。まずは第1日終了、とっても楽しいコンサートでした。

今回はある理由から、チケット発売後もあんまり積極的に動く気になれず、様子を眺めているうちに直ぐに3日間とも売り切れてしまい、といってさすがにワタシの立場としては顔を出さない訳にはいかないので(^^;16日の追加公演に行くつもりでいたら、幸いにも初日のチケットを譲ってくださった方が現れて行くことができたのだった。ありがとうございます。
今日はしかもデザンクロとかメンデルスゾーンの「プレリュードとフーガ」とか、1日だけ行くとしたらこの日だな、と最初から思っていたプログラムで、首尾よく聴くことができて嬉しい。

メンデルスゾーンもデザンクロも、トルヴェールQの第1回リサイタル(平成の時代が明けて間もない、1989年1月14日、東京文化会館小ホール)の時の曲目だった。最後「ポギーとベス」も、トルヴェールの結成当時美奈子さんと5人で盛んに演奏していたナンバー。…いやー、なんだか、懐かしくって。
この20年という時間に思いを馳せた。トルヴェール第1回リサイタルの頃のことは今でもよく覚えているのですよ。すごく面白い時代だったし、真に実感のある時代だったと言っていいと思う。第1回リサイタルの前日に原宿の小さなスタジオで雲井さんと服部さんのデュオコンサートがあったんだけど、50人ほどの客の中に(その時点では未だ知り合ってはいなかったが)その後の私自身のサクソフォン絡みの人間関係のほとんど全てを決することになる人たちが集まっていた、とかね。…
あの頃に始まった諸々のことがほとんど全部、巡り巡って今の自分自身というものを作っている。
そういう様々な時間の流れや移り変わりを横目に見ながら、同じ時代を生きてきた。

そんな訳で、私にとってトルヴェールQとは、単に「日本を代表するサックス四重奏団」ではないのです。
決して単純なファンであったり、真似をしたり追いかけたりしているという訳ではないけれど。
そもそも客観的に考えても、トルヴェールQがいわゆる「サックス四重奏団」、かというと、ちょっと待てよ、という感じではある(勿論、サクソフォン4本でやってるんだから、サックス四重奏団には違いないんですけどね)。

トルヴェールのデザンクロは以前にも別の機会に聴いて、その力の抜け加減にとても感心したことを思い出すけれど、今日は前から3列めという席のおかげでその詳細をかなり具体的に観察することができた。要するに、テンションの高い和音がずーーっと連なっているこのデザンクロみたいな曲の場合、曲の要所要所だけをキッパリと吹いて、あとは和音の輪郭を絶妙にぼやかしているんですね。
そこらへんのコントロールを巧みにして、曲のフォルムや音楽の流れは保ちつつ、無駄な疲労や「鳴りすぎ」を回避している。「トルヴェールの四季」もたぶんそうやっているのだろう。アレをもし、書いてある音符を全部律儀に並べていたら、たぶんそれだけで(いかなトルヴェールといえども)オーバーフローしてしまう筈だもの。…

アンコールに「マイ・フェイバリット・シングス」(これまた懐かしい)、ピアソラ「ブエノスアイレスの冬」。

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2007.10.05

カントロフ

Jean-Jacques Kantorow, 071004上田晴子(Pf)&ジャン=ジャック・カントロフ(Vn) デュオリサイタル(浜離宮朝日ホール)

ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第1番
シューマン/ヴァイオリンソナタ第1番
ブラームス/ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」

先日のオリヴィエ・シャルリエのときにお世話になったレックスのK子さんのおかげで、完売だったらしいけれど聴くことができた。
ドイツ・ロマンとクラシックの「1番」づくし。渋いプログラムだ(実はベートーヴェンは初めて聴く。シューマンもオーボエで吹いた演奏しか知らない)。でもドイツ物だからといってむやみに重厚になる訳でもなく、上田さんなんかむしろさきのフランス物より軽い、ときに素っ気ないほどのタッチの演奏を聞かせてくれた。
「癒される」演奏だった。
でもヴァイオリンは、私はやっぱりシャルリエのほうが好きだな。作品の姿を正確に(外見だけにとどまらず、その作品の持つ内面までも)正確に描き出そうという強烈な意思を感じる、という点で(カントロフのほうが知名度の上ではずっと有名だし、勿論巧いし手慣れてはいるけれど)。

アンコールに、シューマンの2楽章を再び。

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2007.09.29

ドビュッシーSQ

雨模様の土曜日。
今日は涼しい。昨日より13度くらい気温が下がったらしい。

昼は新宿2丁目の行きつけのお店。ソプラノの最終調整。
下のファの音がどうしても引っくり返りやすいのは、かなり抑え込んだけれどそれでも…。この楽器の限界かもしれないなあ。今回の曲目(特に「ベルガマスク組曲」)にはこの音がかなり重要な場面で多発するので、怖いといえば怖い。

1曲めのアルベニスのチームで、衣装に赤のワンポイントをつける(スペインに因んで)、ということがいつの間にか決まっていたので、小田急デパートの紳士服コーナーで赤のポケットチーフを購入。
考えてみたら、赤いストラップ1本持っていれば解決したことだった。

昔在籍していた吹奏楽団の演奏会で、ポップスステージの衣装で首に青のバンダナを巻くことになっていたのを、ある年配のクラリネットの団員さんが当日まで知らず、本番はクランポンの青いスワブを首に巻いて誤魔化した、ということがありました(^^;
Swab
これ↑。


その後、お茶の水へ移動。本日のお楽しみ。

Quatuor Debussy, 070929ドビュッシー弦楽四重奏団(Quatuor Debussy) 東京公演(カザルスホール)

D.ミヨー/弦楽四重奏曲第4番
V.ダンディ/弦楽四重奏曲第2番
C.ドビュッシー/弦楽四重奏曲

フランスのリヨンに本拠を置く弦楽四重奏団。
何度か来日しているらしいけれど、今回はこの、ワタシに聴けと言わんばかりの曲目に痺れて早々にチケットを取ったのだった。席は右列バルコニーの19番(個人的には、カザルスホールのバルコニーの19から31までのブロックは、東京のあらゆるコンサートホールの中で最も美しい響きが聴ける場所だと思っている)。
お客さんの入りは半分くらいかな。弦楽四重奏を聴く客層というのは、ただでさえ少ないクラシックの客層の中でもさらに少数派だから仕方ないけれど、おかげで実に静かで集中した環境の中で、落ち着いて聴くことができた。

演奏は、繊細の極み。
音量をがーっと出すということが、ほとんどない。1階席の後ろの方だったら、聞こえないんじゃないか、と思ってしまったくらい。音の出の合図すらも、ほとんど見えないほどだ。それでもまるで4人でひとつの楽器のように、ぴたっと寄り添っていく。
ドビュッシーの3楽章アンダンティーノの、こんなに静謐で美しい演奏は、初めて聴いたかも。
ダンディ(ダンディの弦楽四重奏の実演なんて初めて聴いたし、これからもそうそうあるとは思えない。貴重な機会)も、別の団体のCDで聴いていた印象だととても晦渋でアカデミックな感じがしていたけれど、今日は全然そんなことがない。
ミヨーも貴重な演奏。第2楽章の、葬送行進曲ふうの音楽の中間部に厳粛なフーガが挟まれた雰囲気など、本当にこれミヨーの音楽か?と思ってしまった。

アンコールにドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、そして、G.タイユフェールの弦楽四重奏曲のフィナーレ(!)。
いやー、良かった。明日自分でもドビュッシーを吹くので、勉強のために…という気持ちはあったけれど、そんなことは関係なく楽しんでしまった。

Quatuor Debussy

会場でCDを売っていたので、記念に買って帰る。
ドビュッシーと、ブラームスの1番所収。

帰り道、もと実家の近所に立ち寄って、子供の頃からなじみの床屋さんへ。
私の父とほとんど同じ歳のおやじさんと、その息子(小学校の3つ4つ後輩)のお店。
黙って座れば、何も言わずともいつもどおりに刈ってくれる。
やっと、頭が軽くなった。


さて、明日です。
私が出席できなかった時に、あとの3人で受けたアルベニスのレッスンのメモを読みながら、夜は更ける。

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2007.09.25

連休2日め(NJPこうもり、とか)

23日。
10時からみなとみらい小ホール(来週の本番の会場)にて、私たちの演奏会チラシの折り込みをさせていただくため、昨日に引き続いて朝一から横浜へと向かう。
電車に乗る時、サックスのケースを抱えたお嬢さんが一緒に乗り込んできたのだが、誰かと思ったら4年前までウチの団員だったU嬢でした(同じ最寄り駅に住んでるはずなのだがここでは初めて逢ったような)。横浜に着くまでの間、懐かしくも楽しくお喋り。
みなとみらいホール着、いつもの通り道を通って小ホールへ。挟み込み作業開始。集まったいろいろな団体の見知らぬ方々と、束の間のチームワークをとりつつ作業机の回りをぐるぐる回る。1時間弱で終了。
軽く腹ごしらえの後、セルマージャパンでレッスン中のしまっぷー先生に楽譜を届けるため、渋谷へと移動。
着いたらちょうどウチの団員約1名がレッスン中で、しばらくその場にいてレッスンぶりを眺めて楽しむ(笑)。

私自身がこうやって、定期的に師匠のところに通ってスケールやらエチュードやらを生真面目に習っていた時代は、もうずいぶん昔のことになってしまった。
20代前半の時期、毎週のように通った中村橋のマンションとか、その後、毎週というほどにはいかなかったがよく通った玉川上水のアパートとか。あの道沿いには今はモノレールが通っているはずだ。…
いろんなことを思い出して(あるいは、考えさせられて)、ちょっと複雑な気分。

セルマージャパンのショップで、気になる新譜CDを見つけ、もしタワレコにあればポイントが付くからと思って(^^;急遽黄色の塔に移動して探すも、見つからず。参ったなあ。また行かなきゃ。
タワーではぜんぜん関係ないCDを数枚衝動買い。この話はまた後日。

NJP, 070923地下鉄半蔵門線に乗り込んで、今度は錦糸町へ向かう。やっと本題。

新日本フィルハーモニー交響楽団 第420回定期演奏会(すみだトリフォニーホール)
J.シュトラウス2世/喜歌劇『こうもり』(コンサート・オペラ形式)
 指揮:クリスティアン・アルミンク
 演出:三浦安浩

これは楽しかったなあ!
オーケストラはピットではなく舞台上にいるものの、いわゆるコンサート形式ではなくかなり本格的なセットを組んでのオペラスタイルの上演(衣装、演技ももちろんあり)で、とてもオーケストラの定期演奏会の一環とは思えない。
クラシック音楽が「娯楽」だった時代は確かにあるんだな、と思った。とにかく、理屈抜きに楽しい。筋書き的には馬鹿馬鹿しいくらいのもんなんだけど、別にそんなことはどうだっていい。「水戸黄門」に哲学や厳密な歴史考証を求める人なんかいないのと同じこと。
音楽を味わい、楽しみ、よく笑った。朝からの移動続きの疲れでちょっと意識が飛ぶも、目が覚めると舞台上は相変わらず同じような馬鹿騒ぎ。…

オーケストラの出番表は以下の通り。
こういうものを公開してくれるオーケストラは、新日本フィルだけだ。私たち楽屋雀にとってはなかなか有難いサービスで、他のオーケストラでも見てみたいものなのだけれど、いろいろ難しい事情はあるんだろうな。

member, 070923

やはり今季から定期会員になったというK高のken師が来ていたので、終演後は楽屋口にてW先生の出待ち。
K高ではアンコン出場チームの件でちょっとゴタゴタが持ち上がっていて、3人でしばらくシリアスな話となる。
…生徒たちに自主性があるのは勿論良いことなんだけれど、我々大人のもくろみというものが伝わらないというのは、それはそれで困ったものだ。
落としどころはどのへんになるかしらん。

…とまあ、色々あった1日でした。

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2007.09.24

佐藤渉リサイタル

22日(土曜)。
朝9時半から、来週に迫った本番の最終練習。
午前中はカルテット。今年の私の出番は、アルベニス「セビリア」「コルドバ」と、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」。いずれもソプラノ。今年は久しぶりに持ち替えなしで、ソプラノ1本に絞って練習できるのが有難い。
午後は第2部のラージ。ソリストのしまっぷー先生とグラズノフのコンチェルトの頻繁なテンポ変化を調整し、メインプロの「真夏の夜の夢」はトレーナーとしてしまっぷー先生に聞いていただく。

1週間前の最終練習にして、やっとなんとか仕上がりそうな感じになってきた。この状態でせめてあと2~3回練習できれば…ってところなんだけど、もう無理。
というか、同じことをずーーっと、(どのような本番であれ)本番の直前になるたびに感じ続けている気がする。
演奏活動というものに足を踏み入れてもう30年も経つんだからさぁ、いい加減学習しろよぉ、といつも思うんだけど、結局本番前はバタバタなんだよねぇ。

4時半に練習終了、挨拶もそこそこに地下鉄みなとみらい線に飛び乗って、神楽坂へと移動。

Wataru Sato, 070922佐藤渉 サクソフォーンリサイタル(音楽の友ホール)

O.ネルソン/ソナタ
J,リュエフ/シャンソンとパスピエ
P.M.デュボワ/協奏曲
C.ケックラン/エチュードより 2、5、9、11
R.R.ベネット/スリーピース組曲(Three Pieces Suite)
吉松隆/ファジーバード・ソナタ
 Pf:川岸麻理

雲カルのアルト奏者、佐藤渉さんのリサイタル。
224席の地下室(音楽の友ホール)は、本来空いているはずの最後列壁際の椅子までひとつ残らずぎっしり埋まった盛況。これで火事とか起こったら大惨事だぞぉ、などとつまらんことを考える。客層は昨日とはずいぶん違うようだ。

とてもメロウで明るく、おおらかによく歌う音色が印象的だった。
人の心にあるわだかまりとか障害物とかを、いつの間にか取り去ってくれるような、thankfulな音色。夏に聴いたオーティス・マーフィー氏と共通する雰囲気がある。
曲目はたいへん多様なもので、かのオリバー・ネルソン(Jazzサックス奏者、作編曲家、プロデューサー)の学生時代の習作に始まり(かなりにアカデミックな筆致で、フィル・ウッズのソナタみたいのを期待したら拍子抜け)、フランスの名品いくつかを経て日本代表「ファジィバード」に至る。ファジィバードは須川さんの演奏とはずいぶん印象が違い、「なめらかバード」とでも呼びたい雰囲気だった。
かと思うとデュボワのコンチェルトでは、ものすごい勢いで大量の音符を並べてみせるし。
#余談だけれど、私たちの世代の人間がサクソフォンの数あるレパートリーのうち、デュボワのこの曲を殊更に熟知しているというのは(マーフィ氏のマスタークラスにもこの曲を持ってきた受講生がいたけれど、楽譜はほとんど見たことがないのに、ほとんど全部の音を追いかけることができたものだった)、間違いなくユージン・ルソー氏のレコードのおかげだろうと思う。
リチャード・ロドニー・ベネット(1936-)のThree Pieces Suite(「3ピースのスーツ」と「3つの小品による組曲」を引っかけたタイトルか)は、最大の聞き物だった。都会的で親しみやすくお洒落なメロディとハーモニーに彩られた小品で、是非センスのいいピアニストと一緒にやってみたいと思った。楽譜出てるのかな。

雲カル4名総出演によるアンコールが、贅沢の極み。

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2007.09.23

貝沼拓実1stリサイタル

世間では三連休が進行中。
3日も会社に行かなくていい、とはいえ、ワタシの立場としてはこの時期家でゆっくり休んでいるという訳にはいかず、怒濤のようにスケジュールが進行しております。
ぼちぼち書いていきましょう。

Takumi Kainuma, 070921貝沼拓実(Saxophone)1stリサイタル(21日、浜離宮朝日ホール)

棚田文紀/ミステリアス・モーニングIII
ドビュッシー(貝沼拓実編)/牧神の午後への前奏曲
野平一郎/アラベスク第3番
P.サンカン/ラメントとロンド
C.パスカル/ソナチネ
C.ドビュッシー/ラプソディ
E.デニゾフ/ソナタ
 Pf:羽石道代

職場を出遅れて、野平をほぼ全曲ロビーで聴く(爆)。
浜離宮朝日は職場から歩いて行けるホールのひとつなんだけれど、自転車でも飛ばせば「牧神」から聴けたかもしれない。

という訳で、映画の正編を見ずに続編だけ見たような状況で、しかも1週間の仕事疲れがたまってあまり集中して聴けなかったので、詳しい感想は残念ながら書けないけれど(と言いつつ書いてしまうけれど)、思ったのは「新しい世代の演奏家だなあ、」ということ。
音楽の表面的なスタイルや時代性を超えた、かのブーレーズが言った「音楽の絶対零度」という位置から音楽を捉える感性というのは、私たちの世代の演奏家にはないものだ(何人かの限られた「天才」と呼べる方々はそういうものを持っているが)。
デニゾフのソナタなんていう曲は、容易に手の出せない超現代曲だと思っていたのは、私にしてみればそんなに遠い昔の話ではないのだけれど、今日聴いた演奏は、第1楽章で冒頭の主題が戻ってくるところなんか、まるでブラームスのシンフォニーのソナタ形式の楽章を聴くように違和感がなかった。
最初の3曲をちゃんと聴くことができなかったことがかえすがえすも惜しまれる。

あと20年もしたら、普通の大学生やハイアマチュアの方々が、普通にデニゾフを吹いてしまう時代というのが来るかもしれない。
根拠のない話ではない。今から20年前だったら、アマチュアのプレイヤーが例えばプロヴァンスの風景やクレストンのソナタを吹くなんて事態は絶対考えられなかったけれど、今はそれこそ高校生だって気のきいたやつは吹いちゃう訳でしょ。

アンコールに「タイスの瞑想曲」。

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2007.09.20

シャルリエのリサイタル

Olivier Charlier, 070919上田晴子(Pf)&オリヴィエ・シャルリエ(Vn) デュオリサイタル(ルーテル市ヶ谷センター)

モーツァルト/ヴァイオリンソナタ変ホ長調K302
ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」
ドビュッシー(ハイフェッツ編)/牧神の午後への前奏曲
サン=サーンス/ヴァイオリンソナタ第1番
ラヴェル/ツィガーヌ

私がかねてから世界最高のヴァイオリニストのひとりと思っている、オリヴィエ・シャルリエのリサイタル。
シャルリエのソロリサイタルを一晩ちゃんと聴くのは実は初めてだったりする(今まで聴いた機会はすべてオーケストラとのコンチェルトだった)。
ルーテル市ヶ谷には3年ぶりに入った。この間に改装されたようで、客席の椅子は完全に新しいものに替わっていたし、床にはたしかカーペットが敷いてあったはずだが全面板の間になっていた(少しわんわん鳴る感じになってしまったような)。

このリサイタルの告知を見つけた時に、びっくりした勢いでほとんどプロパガンダに近いこんなエントリを当ブログに書いて、どうやらそれを読んでチケットを買ったという方も数人はいらっしゃる様子で、もしもその方たちの期待を裏切ることになったらやばいなあ、と一瞬でも心配した自分は愚かだった。まさに「圧巻」、の一言でした。

これ以上考えられないほど正確な指回りも音程も、決して押しつけがましくなく、すべては演奏される音楽の相貌をくっきりと、誇張なしに正確に描き出すこと、へと奉仕している。
また、フレーズの持続の中で緊張感を自在にコントロールするという、得難い才能をも備えている(ハイフェッツ編の「牧神の午後」で特にそれを感じた。まるで最初からヴァイオリンのために書かれたオリジナルのように聞こえたものだ)。管楽器吹きも是非参考にしたらいいと思う。

1曲めのアンコールが、グルックの「オルフェウス」からのメロディ(いわゆる「精霊の踊り」というやつ)で、個人的にとても懐かしい(デファイエや、新しくはモレッティのSaxophoneのCDに入っていたっけ)。

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2007.09.02

フォーレの合唱曲

父の面会に青梅まで往復したあとの夕方は、この秋最初のコンサートへ。
フォーレの宗教合唱曲(原典版)を特集した、アマチュアながら意欲的なプログラムに興味を持っていたところ、縁あって招待していただけたのだ。

混声合唱団コール・リバティスト 第2回定期演奏会(浜離宮朝日ホール)

G.フォーレ/
 エッチェ・フィデリス・セルヴスop.54
 マリア、マーテル・グラツィエop.47-2
 タントゥム・エルゴop.65-2
 タントゥム・エルゴ(1904)
 パヴァーヌop.50
 マドリガルop.35
 ラシーヌの雅歌op.11
 夜想曲第6番(ピアノ独奏)
 舟歌第3番(同)
B.ブリテン/ユビラーテ・デオ
J.ラター/グローリア
 永井千佳(Pf、Org)
 小屋敷真(指揮)

創設2回めの定期演奏会だというのに、浜離宮朝日ホールでやっちゃうんだ。すごいなあ。

とても積極性に富んだ、気持ちのよい演奏が聴けた。
結成間もない団体のためか、選曲にしろ舞台進行にしろ、世のアマチュア合唱団にありがちな独特の流儀にあまり染まっていないところがいい。
1、2曲めあたりはまだ堅さが取れずに、頑張れー、と思いながら聴いていたが(アマチュアプレイヤー一般にありがちな傾向で、私自身もおおいに覚えがあるんだけど、雰囲気に乗っかって歌うことはそこそこ出来ても、何もないところへ自分から「音楽」を立ち上げる、ってことが難しいんだな)、プログラムが進むにつれてだんだん良くなってきて、「マドリガル」あたりに至っては非常にいい感じ。

前半トリは「ラシーヌの雅歌」。
「音楽」そのものの純粋な結晶を無心に、陶然とうたいあげるようなこの玄妙たる傑作が、20歳のフォーレの手になる音楽学校の卒業作品だというのは、この曲を知って30年近く経つ今でも、聴き返すごとに驚嘆するものだ。
高校生の時に買った、ルイ・フレモー指揮のフォーレ「レクイエム」のレコード(Erato)の余白に入っていた古ーい録音で知って以来の愛聴曲だった。東混をはじめとするプロの演奏でも何度か実演を聴いたけれど、なぜかこの古い録音にあるような種類の情感を感じたことがなかったのだが、今日はかなりいい線を行った演奏で、ちょっと感動した。…思うに、この音楽の本質にはプロっぽい即成的なアプローチを拒絶する何かがある、のかもしれない。
合唱が引っ込んだ後にピアノソロが2曲演奏されたのだが、(演奏はなかなか良かったのだが)休憩時間が始まったのかと勘違いして席を立ったりしたお客さんが大勢いたせいで少々集中力が途切れたのが残念。

後半は英国へと渡り、ブリテンとラター。こちらは初耳。ブリテンは予想外に短い曲だったので、びっくり。
ジョン・ラター(1945-)という名前は(吹奏楽界におけるアルフレッド・リードのごとく)合唱界ではよく見る名前だけれど、実際に曲を聴いてみて、納得。適度に現代的で適度に刺激的で、わかりやすくカッコ良い。きっと歌っていても気持ちよいのだろう。ウォルトンみたいだ。
ウォルトンの親しみやすさが吹奏楽に特化するとフィリップ・スパークになり、合唱に特化するとラターになるのだな、と本日認識。

演奏者としての課題は色々あれど、まずはいい演奏会だったんじゃないでしょうか。
ご招待ありがとうございました。

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2007.08.29

アフィニス夏の音楽祭

20070828第19回アフィニス夏の音楽祭・東京演奏会(JTアートホールアフィニス)

エルガー/弦楽のためのセレナード
ドヴォルザーク/弦楽五重奏曲第3番
R.シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」前奏曲(P.チャバ編・弦楽合奏版)
R.シュトラウス/16管楽器のためのソナチネ第1番「傷病兵の仕事場より」(指揮:下野竜也)

アフィニス文化財団が日本のオーケストラ支援の一環として長野県飯田市で毎年開催している「アフィニス夏の音楽祭」の、東京演奏会。
国内のプロオーケストラの若手団員を公募して、内外のベテラン演奏家や音大教授陣とともにレッスン、室内楽やオーケストラの演奏会をするというもので、東京演奏会の会場は職場から歩いて行ける虎ノ門のJT本社内ということもあり、夏枯れでコンサートの少ないこの季節、楽しみにしていた。

音楽監督は四方恭子(Vn、ケルン放送響元コンミス、京都市立芸大助教授)、講師陣はVnヘンリク・ホッホシルト(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管コンマス)、シュテファン・ワーグナー(北ドイツ放送響コンマス)、Va深井碩章(北ドイツ放送響首席)、Vcヘルマー・シュティラー(ミュンヘンフィル首席)…といった主にドイツ圏のベテラン達で、演奏会では日本各地のプロオケから集まった30人を超える受講生たちと一緒に、ステージに乗るのである。
冒頭、エルガーのセレナードを久々に聴いて、感激。…やっぱ、いい曲だわこれ。
後の曲はそれほど馴染みのある曲ではなかったけれど、邪念の全くない、音楽への専心にみちた演奏のなんと気持ちのよいこと。
そりゃそうだろう。講師・受講生ともに一流のプロばかりの演奏者たちが、全く商売っ気抜きに、音楽の神髄を伝えようと(あるいは、吸収しようと)集っている訳で、これが半端な演奏になどなりようはずがないというものだ。

最後、R.シュトラウスの大編成の木管アンサンブルの快い響きを堪能しつつ、終演。
外へ出てみると、コンサートの最中に大雨が降ったようで(全く気付かなかった)、路面はずぶ濡れ、すっかり涼しくなっていた。

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2007.08.11

「真夏の夜の幻想」

OperaCity070810東京オペラシティ・開館10周年特別演奏会(東京オペラシティコンサートホール)

R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ショパン/ピアノ協奏曲第2番(Pf:小山実稚恵)
ベルリオーズ/幻想交響曲
 大野和士指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

「真夏の夜の幻想」、というまさに惹句の通りの、素晴らしい演奏会を聴いた。
先程聴いたものが本当に現実のものだったのか、もはやよく判らない。
かの大野和士の、この夏の帰国時の数少ない演奏会のひとつ。発売後あっという間に売り切れてしまったようで、諦めていたんだけれど、いろいろあって無事聴くことができた。ありがとうございます。

オーケストラは対向配置だし、「幻想」は2楽章コルネット付きのオリジナル版だし、大野さんならではのコダワリは随所にあるけれど、何よりとにかく出てくる音の説得力が違う。このオペラシティという会場は小さめなので、どうかすると音が飽和しがちだけれど、今日は全然そんなことはない。すべての音が楽に伸びやかに鳴っていて、しかもここぞというところのf(フォルテ)の迫力はすごい。すごいんだけど、それが全然うるさくはない。ストレスのない明るい発音は、まるでヨーロッパのオーケストラのようだ。日本のオーケストラの音ではない(東フィルはこの1年間に4-5回聴いたはずだけれど、こんな音が出ていたのは正直言って聴いたことがない)。
どんな指揮者でもこういう音が出せるんだったら、N響なんか楽々と超えて本当に日本最高のオーケストラたり得るんだろうけれど。…

「ティル」でも「幻想」でも、大野さんの解釈はそれぞれの場面場面を丁寧に作っていくというより、大きな流れの中でさまざまな響きの遠近やうつろいを演出しているように思えた。

終演は9時半近く。オケが解散しても喝采は止まず、大野さん一人を舞台に呼び返して拍手を浴びせる。
もはや巨匠の風格だった。

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2007.07.31

ミューザ・新日本フィル

Festa Muza2007フェスタ・サマーミューザKAWASAKI 2007
新日本フィルハーモニー交響楽団

エルガー/チェロ協奏曲(Vc:ソル・ガベッタ)
ベートーヴェン/交響曲第4番
 指揮:クリスティアン・アルミンク

首都圏9オケ総出演、なかなか面白そうなお祭りなのに、この時期は忙しくてなかなか行けないフェスタ・サマーミューザ。
今年もちょっとだけ雰囲気を味わいに。
8時開演、休憩なしで9時15分には終わり(そのぶんチケットも安め)というのは、悪くない。みんなこれでいいのに、とすら思う。

チェロのねーちゃん(1981年アルゼンチン生まれ)、なかなか上手。こんなに音程の良いチェロは久しぶりに聴いた。
アンコールにヴァスクス「チェロのための本」より、とやら。ひゅるひゅる…という効果音に始まり、途中御詠歌のような歌も入る、不思議に幽玄な趣の無伴奏現代曲。これ、いつだったか誰かもアンコールで弾いてたな。
メインはベートーヴェンの4番。序奏はまるでフランス音楽のように繊細に始まったと思ったら、テンポが上がるといきなりドッカンな音が出てきた。ティンパニ等は少しピリオドぽい響きもしている。いかにも今風の演奏、ということで。
この曲を生で聴くのはものすごく珍しいことのような気がする。昨年大晦日の振るマラソンでは勿論聴いたけれど、それ以外と言ったらはたして…?
改めて聴いてみると、溌剌として機知に富んでいて、ベートーヴェン的な妙な重苦しさのない、実に良い曲だと思う。
どうしてこんなに稀にしか演奏されないのだろうか。

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2007.07.27

夏の「惑星」

TokyoCityPhil_070726東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第210回定期演奏会(東京オペラシティコンサートホール)

R.シュトラウス/オーボエ協奏曲(Ob:広田智之)
ホルスト/組曲『惑星』~「冥王星」(コリン・マシューズ作曲)付き
 指揮:飯守泰次郎

今日も前半は間に合わず。大好きな曲だったのに。
最初から聴いていた連れは、「宮本さんのシュトラウスはピンク色だけど、広田さんはいぶし銀だ」などと、どっかで聞いたようなフレーズで感想を言っておりましたが。

後半は「惑星」。
ワタシ的に、なんとなくこの真夏の始まりの季節にふさわしい曲のような気がするのは、かつて高校生の時の部活で、ひと夏を費やして「木星」を練習した記憶があるから、かもしれない…

全く興味がなかったので聴いたことのなかった「冥王星」とやらを、初めて聴いたのだが…うむむむ、「蛇足」という言葉の生きた用例を見た気がしました(^^;
このコリン・マシューズという人がやはり編曲(オーケストレーション)した、ドビュッシーの前奏曲集のCDというのを聴いたことがあるのだが、なるほど共通性のある響きが聞こえていた。少なくともご自身の個性というか音色はお持ちの作曲家ではあるようだが。
そもそも私はこういう、有名で知名度のある曲の尻馬に乗って出てくるコバンザメのごとき音楽は、あまり好きではない。
この「冥王星」でとくに許せないのは、「海王星」(前の曲)から繋げるために、「海王星」の末尾に手を加えてしまっていることだ(女声コーラスだけのはずの終結部に、ブリッジ用の弦のトレモロが入っている)。どさくさにまぎれてテメエの曲を聞かせてしまうだけじゃ物足りないというのか。

「冥王星」はともかく、他の演奏はなかなかよございました。
久々に聴いた飯守=シティフィルだったが、やはりこの組み合わせはただごとではない。近代物を振るときの飯守さんには、丁寧でリリカルな格の正しい音というものがあって、この手の編成が大きくて色彩的な曲にはそれがとてもふさわしい。そういえば以前、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」にとても感心したこともあったな。
ベートーヴェンやブルックナーばかりではなく、飯守さんのこういうレパートリーももっと聴いてみたいものだ。

しかし、チラシの惹句の「大管弦楽による星占い」、ってのは、なんだ。

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2007.07.21

ジェローム八変化

20070720ヌオヴォ・ヴィルトゥオーゾVol.3 声とサクソフォーン、ピアノ「息の横断」(大田区民ホール・アプリコ小ホール)

1.イエスパー・ノーディン/火から生まれる夢、インプロヴィゼーション(初演)
2.堰合聡/狂言(初演)
3.アンダーシュ・エリアソン/大地(1983、日本初演)
4.鈴木治行/編み目II(初演)
5.小櫻秀樹/むかしむかしあるところにジェロッキオがいました…(初演)
6.ジェラール・グリゼイ/アヌビスとヌト(1990、日本初演)
7.フィリップ・ルルー/青々とした緑に覆われたところ~ジェラール・グリゼイの追悼に(1999、日本初演)
8.鈴木純明/赤と青の対句(初演)
9.野平一郎/舵手の書~吉岡実の詩による(2001、日本初演)
 ジェローム・ララン(Sax)1.2.4.5.6.7.8.9.
 メニッシュ純子(Sp)4.7.9.
 杉崎幸恵(Pf)3.4.8.

ジェローム・ラランが今年も来日。
今日は以前にも書いたように催しが重なっていて最後まで悩んだけれど、結局こちらへ。
さる14日にもコンサートがあって、そちらに行ければそっちに行って今日はスピリタスへ、という選択もありだったが、行けなかったのだ。

それにしてもなんという出ずっぱり。1日に8曲も、どれもこれも世界初演とか日本初演ばっかり、共演相手もピアノ、人声、コンピュータ、無伴奏ソロと様々、楽器もソプラノからバスまで(!)、なんて、準備とリハーサルだけでどれだけの手間と混乱があったことだろうか。
それでもどの曲も、適当に熱演して終わり、なんてことでは一切なく、それぞれの曲にふさわしい集中と熱狂のもと披露されていたことは、驚くというか、呆れるほかない。

楽しみにしていたライヴエレクトロニクスの曲は、なんと1曲めだったので遅れて聴けず。2曲めはロビーで聴いて、3曲めのヤナーチェクが神経症に罹ったようなピアノ独奏曲から中に入る。なかなかの盛況。
舞台上を踊り回るようなパフォーマンス(5曲め。「ジェロッキオ」とは「ピノキオ」とジェロームの掛詞)も含む様々なスタイルの作品が演奏されたが、こうして聴き比べるとまさに野平さんの圧勝、という聴後感だった。なんというか、まるで森の中のケモノ道を抜けてひろびろとした高原に出たように、桁外れに明晰でシンプルな音楽だった。
同じように難解で前衛的な現代音楽の技法で書かれた曲なのに、作曲者のいいたいことがきっちり判るようにすっきりと見通し良く、理に適った音が並んでいるという点で、ここまではっきりと(おそらく誰の耳にもはっきりそう聞こえただろうと思う)差がついてしまうというのは、ちょっと信じがたいものがある。
「格が違う」、というのは、このことか。

そういえば昔(10年以上前)、斎藤貴志さんのリサイタルで、やはり日本人作曲家の現代音楽ばっかり何曲も演奏された最後に、野平さんの「アラベスク第3番」を聴いたときも、同じようなことを感じたっけ、ということを、終演後に久々に思い出した。

それ以外で印象に残ったものといったら、鈴木治行氏の作品かな(この人の曲は以前にも別の場所で聴いて感心した記憶がある)。西洋音楽の構築感とか流動感をいったん解体して、パロディチックに再構成してみせる手腕は、なかなかのものと思った。

ジェロームは相変わらず元気でした。これだけのことをやってのけた後だったら、もう少し疲れた顔してても良さそうなものなのに。
次回の来日は来年1月?とのこと。

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2007.07.19

オーティス・マーフィー コンチェルト

saxophone and strings, 070717Saxophone & Strings(王子ホール

チャイコフスキー(R.ライカー編)/四季
グラズノフ/サクソフォン協奏曲*
ドビュッシー(R.ライカー編)/牧神の午後への前奏曲
イベール(R.ライカー編)/サクソフォン小協奏曲*
 オーティス・マーフィー(*Sax)
 ロバート・ライカー指揮 東京シンフォニア

オーティス・マーフィー。かのユージン・ルソー氏の後任として、若くして(1972年生まれ)米国の名門インディアナ大学のサクソフォン教授を務める名手である。
浜松国際管楽器アカデミーの講師のひとりとして、ここ最近毎年この時期に日本に来ているけれど、今回は見てのとおり、なんとグラズノフにイベールという私たちクラシックのサックス吹きにとっての二大レパートリーを一挙に演奏とのことで、楽しみにしていた。

楽しみにはしてたんだが、こういう日に限って仕事がトラブるもので、会場に着いたのは8時過ぎ。前半はまるまる聴けなかった(>_<)
それでも、後半だけでも聴けたのだから、良しとしよう。ちょっとほかでは聴けないようなイベールだった。高音から低音まで統一感にみちた、メロウな響き。人の「声」とか、「呼吸」とか、「人間性」とか、「思念」とか、そういうものを全て併せ呑んだ上に引き出されるような、大地にしっかりと根ざしたがごとき深い音色。
この人もまた、私の中での「アメリカの音楽家」というイメージの、最良の姿を具現しているように思える。
グラズノフ聴きたかったなあ。このぶんだとイベールよりもっと良さそうだ。
…それにしても、サックスを吹きまくる長身の黒人さんというのは、ビジュアル的にも実に絶妙に似合うことで。

バックは19人の弦楽オーケストラ(編成は5-5-4-3-2)。グラズノフ以外は全て、アルフレッド・リード作品のオーケストラ編曲でも知られる東京在住の指揮者、ロバート・ライカー氏自らの編曲による。
たいへん興味深い試みではあったが、やっぱりイベールのエネルギーに満ちた推進力とか、炸裂するような色彩感は、管楽器あってのものだと思ってしまうのは、自分が管楽器吹きだからかな。
「牧神」の弦楽アレンジは、これはなかなか似合っていたが、原曲のハープの真似をする部分で不自然さが露呈する。もしこの編成にハープ1台を加えるならば、オリジナルに遜色ない響きが作れるだろうに、と思った。
チャイコフスキーの「四季」(原曲はピアノ曲)にも、興味はあったのだが。…実はワタシ、この曲、サックスアンサンブルで演奏できないかと以前からひそかに考えていて、何かの参考になるかと思っていたんだけど、聴けず残念。

外は冷たい梅雨空。
王子ホールでのコンサート後の定番、ホール目の前の「影丸」でラーメンを食べて、帰宅。

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2007.07.16

アイル・2007その2

Isle, 070715サクソフォン・ラージアンサンブル・アイル 第13回演奏会(イシモリホール)

J.リヴィエ/グラーヴェとプレスト
I.アルベニス/セビリヤ
スティーヴィー・ワンダー・セレクション
 以下 指揮:宮崎真一
J.オリヴァドーティ/ばらの謝肉祭
J.ブラームス/ハンガリー舞曲第1番、第13番、第18番、第5番
R.ロジャース/サウンド・オブ・ミュージック・メドレー

15日、日曜日のコンサート。
気がついたらすっかり「アイル」リピーターと化している自分がいます(笑)
心配された台風も思いっきりなんてことなく、普通に小雨っぽい天気の中、無事開催。

「アイル」というアンサンブルのありようは、一種の「実験」のように思える。
限定された素材を用いて、どこまで音楽的にまっとうなものを作り上げるか、という点で。
「アイル」も、また私たち「なめら~か」もそうであるように、サクソフォンのみによる大編成アンサンブルチームというのは、20世紀の終わりから21世紀初頭にかけて雨後の筍のごとく同時多発的にあちこちに立ち上がった訳だけれど(このへんの経緯についてはある種の社会学的考察が可能なのだが、それはまたの機会に)、たとえば極端な話、まだ音3つくらいしかまともに出せないような初心者の人でも戦力として受け入れ可能なのは、アイルだけだと思う。
「音3つしか出せない」ではなく、「3つの音が出せる」ということをそのメンバーの「個性」と考えて、そのような個性を含めて全体を構築していく、という。
言うのは簡単だけれど、これは実に手間と、何より「度胸」が要ることだと思いますよ。なにしろ、普通だったら「前提」であるところのものを、その「前提」を自ら構築するところから引き受けている訳だから。

前回の演奏会に賛助出演させていただいた時の日記に、「アイルさんの演奏というのは、決して技術的にエクセレントに仕上がっている訳ではないけれど、音楽的な辻褄がとても良く合っている。そして、各人の個性を殺していない」と書いたのだけれど、その内実というのは、そういうことだ。
今回もまた、そうだった。細かいことを言えば勿論いろいろあるけれど、それぞれの曲のキャラクターの作り方、就中ブラームスの(ハンガリー音楽ぽい)テンポ交替の堂に入り加減とか、大したもんだと思ったし。

中学高校の吹奏楽指導の現場などでは、逆に、各人の「個性」を均らすことによって、全体の、「音楽的な」ではなく「見かけ上の」辻褄を合わせる、というような場面によく遭遇する。困ったもんだが、私自身バンド指導の現場にいることが多くなった現状、他人事ではない。
この季節、「コンクール」に向けて、ひたすら合奏の精度を上げるための練習に毎日毎日邁進するブラバン中高生たち、特に私の教えている「真面目な」生徒たちに、是非一度「アイル」の演奏を聞かせてあげたいものだと思っている。
彼ら、彼女たちは、何を思うだろうか。
これは一種の「踏み絵」に近いものがあるな。
…とはいえ、現状もうこれ以上お客さんが呼べないので、今後は是非もう少し大きな会場で開催していただきたく(笑)

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2007.07.15

都響・ドヴォルザーク

TMSO, 070714東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズVol.65
作曲家の肖像「ドヴォルジャーク」

弦楽セレナード
ヴァイオリン協奏曲(Vn:エリック・シューマン)
交響曲第7番
 指揮:レオシュ・スワロフスキー

台風が不穏に近づきつつある中、週末はやはり(楽器を担いだまま)あちこちに出歩くことになる。
知らないうちに靴底にひびが入っていて、足先がぐちょぐちょ。

昼間は東京芸術劇場にて、このコンサートを聴く(シリーズセット券を入手済)。
芸劇は駅から全く戸外を経由せずに辿り着けるところが、こういう天気の日には有難い。

ドヴォルザークの作品の中では、知名度的に「2番手」の曲目を集めたプログラムだったけれど(シンフォニーは8番や「新世界」でなく「7番」、チェロ協でなくVn、弦楽セレナードにしても、一般的にこの曲名だったらチャイコフスキーの方でしょう)、聴き終えてみるとそれぞれの曲の価値を改めて再認識させられる結果となった。良いことだ。
例えば交響曲の7番なんて、まるでブラームスみたいな部分が随所にあるけれど(曲の始まり方はシベリウスかと思ってしまうし、ブルックナーみたいに聞こえる瞬間もある)、こういう曲目の流れの中で聴くと、やはりドヴォルザークだな、という「共通性」のほうをより納得する。
そもそもこのシリーズ(一人の作曲家の個展)の意義というのは、そういうところにあるのではと思う。

演奏は、いつもの都響らしい、堅実なもの。
どれも普段そんなに聴き込んでいる曲ではないので、詳しい感想は書けないが。
Vnソリストは1982年生まれとのこと。ルックス的にも人気の出そうなタイプだ。テンポの緩い曲では、まあ、いろいろと思うところもあったけれど、テンポの速い終楽章になると、途端に水を得た魚のように見事に(というか、「嬉々として」)弾いてのけていた。若いなあ。
ちなみに今日は、ホルンのトップが新日フィルの吉永さん、トロンボーンのトップが日フィルの箱山さんというエキストラ布陣でした。このお二方が同じ舞台にいるというのは、なかなか珍しい光景かも。

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2007.07.12

読響・展覧会の絵

YNSO, 070711読売日本交響楽団 東京芸術劇場名曲シリーズ#141

ウェーバー/「オベロン」序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番(Vn:川久保賜紀)
ムソルグスキー(ラヴェル編)/展覧会の絵
 指揮:パオロ・カリニャーニ

指揮者が病気のため代わったと思ったら、ソリスト(当初予定ジャニーヌ・ヤンセン)も病気・来日中止のため変更となっていた。…祟られてるなあ。
それでも、代役が川久保さんということで、結果的には良かったような。

指揮者は1961年生まれのイタリア人。既に読響に客演したことがあったようだ。
前半はややオーケストラ側のペースで引っ張られて行っていたが(コンマスは名匠デイヴィッド・ノーラン。さすがベテラン)、後半の「展覧会の絵」のキビキビとした運びは指揮者の意図だと思った。
3階、先日のフィルハーモニア管の時と近い席で聴いていたけれど、全く不足ない迫力とバランスで音が上がってくる。
大したもんじゃないですか。芸劇の天井桟敷までこの響きを上げられる東京のオーケストラというのは、あんまりないと思う。

終演は8時40分頃。結構早かった。
「展覧会の絵」がメインプロの演奏会というのは、経験的に早く終わることが多い。この曲自体が演奏時間30分ほどでさほど長くない上に、前半にあまり大曲が来ることもないせいか。
「古城」のサックスは誰だったのかな。読響だと平野さんが乗っていることが多いけれど、平野さんではないようだ(遠くてよく見えなかった)。やはりフランス仕込みな音色ながら、今の主流に比べたらメロウな感じの音で、ワタシ的には好ましい。
ちなみに「ビドロ」のソロは、2ndトロンボーンの方がロータリー式のテナーテューバに持ち替えて吹いていて、これまたなかなか良かった。最近は楽譜通りにテューバの人が吹いてしまうケースが多いようだけれど、無理はしないほうが良いんじゃないか、とつくづく思ったことだった(そもそも、ラヴェルが想定したフレンチ・テューバは、現在のいわゆるテューバとはほとんど別の楽器である)。

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2007.07.10

クラウス・ウールセン

Claus Olesen, 070708クラウス・ウールセン サクソフォーン・リサイタル(Hakuju Hall)

P.モーリス/プロヴァンスの風景*
イングバー・カルコフ/組曲(日本初演)†
C.サン=サーンス/ソナタop.166*
久田典子/ヴァルナの息(委嘱作品・初演)†*
ベント・ロレンツェン/ラウンド(日本初演)
A.ピアソラ/タンゴの歴史†
F.ボルン/カルメン幻想曲*
 Claus Olesen, Saxophone
 *富永綾(Pf)、†荘村清志(Gt)

週末に聴いたコンサートの一。
デンマークのサクソフォン奏者、クラウス・ウールセン氏のリサイタル。
これまでにも何度か来日して演奏しているし(かなり日本語も上達した様子)、一昨年にはジョットランディア・サクソフォンカルテットの一員として日本公演を聴いている。
一昨年の公演のレポートがこちらに残っているように、聴き慣れた日本やフランス、アメリカのサクソフォン奏者との感性の違いに当時は戸惑ったことが読み取れるけれど、今回は全くそういうことはなく、むしろ「こちら」こそがヨーロッパのクラシック音楽の本道なのではないか、とさえ思えたのだった。

音色は現代フランスのタイトな音とは一線を画し、柔らかく非常にエモーショナルによく歌うけれど、度を過ぎて崩れることはない。サン=サーンスのようなスタイルの曲では実にそのへんのバランスが良い。
音量のダイナミックレンジもたいへん大きい。身体自体が大きいせいか(最初ステージに出てきたとき、楽器がカーブドソプラノかと思ってしまった(^^;)、大音量の鳴らし方に無理がない。プロヴァンスの4楽章のクライマックスは、墓場に眠る死者がよみがえる場面なのだそうだが、何十回となく聴いている曲ではあるのに、これほどリアルに「甦った」演奏というのはいまだかつて聴いたことがないほどだ(4楽章の終わりで思わず客席から拍手が出た)。
かと思うと、委嘱初演曲での「響き」への鋭敏さ、原曲どおりギターと共演した(キーは原調のまま!)「タンゴの歴史」でのシンプルでコンパクトな音も、聴き応えがあったし。
私のような年代の聴き手にとって、響かせ方に親近感があるのは、使っている楽器のせいもあるかもしれない(アルトはマーク7、ソプラノはマーク6)。

一昨年の会場は、それこそ会議室みたいな全く響きのない場所だったので、こういう、会場のアコースティックをまるごと味方につけて楽器を鳴らすタイプの方は、真価は判らないだろう。
Hakujuホール、音響も良いし、水底にいるような幻想的な雰囲気は他の会場にはない独特のものだ。

お客さんはほぼ満席だったが、荘村さん目当てなのかなあ、普通のサクソフォンの演奏会のお客さんとは明らかに違う年配でハイソな雰囲気の方が多く、ワタシゃpoco浮いてました(^^;
拍手の出方とかも、なんかちょっと違うし。

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2007.07.05

インバル&ザ・フィルハーモニア

The Philharmonia, 070704フィルハーモニア管弦楽団 東京公演(東京芸術劇場)

マーラー/交響曲第10番よりアダージョ
同 /交響曲第1番「巨人」
 指揮:エリアフ・インバル

今年ふたつめに聴く外来オーケストラ(前回は5月のフランス国立放送フィルでした)は、ロンドンの名門ザ・フィルハーモニア。
今回の指揮者はエリアフ・インバル。指揮者としては現存する世界最高のマーラーの権威。80年代にフランクフルト放送響で、90年代に都響で、それぞれ一生忘れないような壮絶なマーラー(都響では交響曲全曲)を聴かせてもらったものだ。
今回は東京芸術劇場の主催でマーラープロを4公演打つが、今日聴いたのはマーラーの最後と最初の交響曲によるプログラム。「巨人」はマーラーの中でも早くから親しまれていた、一番普通の交響曲だけれど、5番以降の交響曲の演奏機会が増えた現在では相対的に「本気の」演奏が聴ける機会が減っているので、楽しみにしていたところだった。

まるで室内楽のような繊細でクールな音楽づくりをするオーケストラだと思った。非常に巧いのに、あまり巧さをひけらかすことをしない。寄せてはかえすような遠近感というか立体感を備えた、玄人な響きが素晴らしい。
それほどたくさんのリハーサルを重ねているようには聞こえないのに、さすがロンドンのオーケストラはプロ中のプロで、指揮者の意図をちゃんと汲んだ音を出してくれる。随所に、インバルやベルティーニのような、ユダヤ系の「マーラー指揮者」しかしないような表現やイントネーションやテンポの動かし方がある。具体的にどこ、というのがうまく説明できないんだけれど。
前半、10番アダージョはそれでも「小手調べ」、という趣で、興が乗ったときの東京のオーケストラのほうがもっと「熱い」演奏をするかも、とも正直思ったが、休憩後の「巨人」では本領を発揮、いきなり金管とティンパニが炸裂してくれ、湿度のせいかいまひとつ鳴りの悪かった弦も、前半より格段に音色の深みを増して、やったー、そうこなくっちゃ、と嬉しくなってしまった。彼らの場合、音量は大きくても音色に余裕があってうるさくないので、まだまだ行ける、と思ってしまうし、実際最後の最後には本当にイッテくれちゃった。…さすが。
この曲は、まさに「青春の交響曲」だ(作曲当時マーラーは28歳だった)、ということを実感させてくれた。力があり余っているような演奏で聴いてこそ、だ。

全部で4公演もあるせいか、さすがに客席は超満員という訳にはいかなかったけれど、最近珍しいほどノイズも少なく、集中して聴いていたお客さん達だったと思う。

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2007.06.22

ヘンツェ、シューマン、ベト7

TMSO, 070621東京都交響楽団 第646回定期演奏会(東京文化会館)

ヘンツェ/室内協奏曲05(日本初演)~15人の奏者のための交響曲第1番改訂版
シューマン/チェロ協奏曲(Vc:ダニエル=ミュラー・ショット)
ベートーヴェン/交響曲第7番
 指揮:ベルンハルト・クレー

都響の6月定期。
指揮のベルンハルト・クレー、私が都響の会員になった15年くらい前の頃にはよく客演していた人だ。懐かしい。そもそも、都響に純粋ドイツ人の指揮者が来るのは意外と珍しいかも。
舞台の上には、コンマス山本さん(今日は矢部達哉さんと豪華2トップ体制)、えん香奈さん、チェロ古川展生さん(シューマンで独奏チェロと美しい二重奏を聴かせる場面があった)、コントラバス首席の山本さん、トランペット高橋敦さん等、昨日も紀尾井ホールの舞台で姿を見た方がたくさん。
この定期演奏会のための練習をしながら、昨日のリハーサルと本番をこなしていたって事か。…プロってすごいなあ、と改めて感嘆。

ヘンツェは、現代音楽とは言っても、ウェーベルンくらいまで後退したような印象があった。ヘンツェにしては聴きやすい音楽。
シューマンは、所々にいかにもシューマン、なメロディが現れるけれど、全体にはなんだかとりとめのない曲だ。何度も聴いているしCDも持っているのだから知らない曲ではない筈だけれど、いまだにどういう曲だか覚えられずにいる。…今日の曲並びで聴くと、冒頭の響きがベートーヴェンの7番の2楽章と同じだ、ってことに気がついたが。
ソリストは1976年生まれだそうだ。かなり若く見える。92年チャイコフスキー・コンクールの覇者とのこと。大きな音で情感たっぷりに弾いていて、なかなか良かった。
休憩後はベートーヴェン7番。定番中の定番。…やはり、名曲です。
細部が、聴き慣れたものと微妙に違うような気がしたけれど(楽器の音量バランス、装飾音符の入れ方、アーティキュレーション、など)、気のせいかな。


ベートーヴェンの7番は、クラシックをちゃんと聴き始めたばかりの中学生の頃、ドビュッシーやラヴェルといったフランス印象派、近代の音楽を知る以前は、私の最も好きな曲だった。
親に買ってもらったカセットレコーダーに、自分で作った6石のトランジスタ・ラジオを繋げて、NHKの第2放送(AM)でたまたま流れたN響のベートーヴェンの7番を録音し、しょっちゅう聴いていたものだった。
今でもそれが自分の中ではスタンダードになっている。1974-5年頃のこと。

ずっと後になって、それが(故)ロヴロ=フォン・マタチッチの指揮による、N響の伝説的な名演だったことを知った。

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2007.06.21

すごかった…

Buffet Crampon KK. 40th anniversaryビュッフェ・クランポン株式会社開設40周年記念~フランス管楽器の“華”(紀尾井ホール)

A.オネゲル/夏の牧歌
J.イベール/コンチェルティーノ・ダ・カメラ~アルトサクソフォンと11の楽器のための(Sax:ファブリス・モレッティ)
T.カサッティ/キノ小協奏曲 Kino Concertino~ユーフォニアムと弦楽オーケストラのための(Euph:スティーヴン・ミード)*日本初演
J.=M.ルクレール/協奏曲ハ長調~オーボエ、クラヴサンと弦楽のための(Ob:ジャン=ルイ・カペザリ)
J.フランセ/クラリネット協奏曲(Cl:亀井良信)
 ジャパン・チェンバー・オーケストラ(コンサートマスター:山本友重)

いろいろあった真夏のような暑い1日の終わりに、とんでもなくすばらしい演奏会を聴いた。
ビュッフェ・クランポンKK(日本法人)の40周年記念演奏会。
素晴らしいソリスト陣、素晴らしい演奏、バックをつとめたオーケストラの見事さ、そしてこれらの曲とこの紀尾井ホールという場所の、音響と環境の理想的な似つかわしさ、という点で。

私はサックス吹きなのでまずは「イベール」だけれど、今日の演奏は私がかつて生で聴いたことのある、この曲の間違いなく最高の演奏だった。
モレティ氏のぶっ速いテンポと鮮やかなテクニック、金属の光沢のような不思議な独自の輝きを低音域から高音域まで備えた音色、ホールの大気を直接揺らすかのような響き。音1個1個のすみずみまで音楽的メッセージに満たされていて、小賢しい「表現」とはなんと無縁なことか。
それらのすべてが、20世紀のフランス音楽、という過ぎ去ったものへの奥深い讃歌のように聞こえてくる。
モレティ恐るべし。
バックのオーケストラも、楽譜どおり11人の(弦増量なし)編成だったが、水1滴漏らさないような完璧な連繋。極彩色のジェットコースターのように煌きを振りまきながら、澱みなく快活に進んでゆく。しかも、指揮者なしで!
この曲(難曲である)を指揮者なしで聴いたのは、5~6年前のオルフェウス室内管(ソロはブランフォード・マルサリス!)以来2度めだが、その時は今日ほどテンポは速くなかったし、こんなに隅々まで生き生きした演奏では絶対なかった。

いや、すごかった。
私は、今日のこの演奏を聴けたことを、おそらくこの先一生自慢するだろうと思う。(^^)

モレティ氏だけでなく、ソリストは他の3人ともエクセレントの極み。
特にクラの亀井さんという方は初めて聴いたが、間違いなく今までの日本人クラリネット吹きには無かった感性の持ち主だ。サックスでいう須川さんのように、10年か20年にひとり現れて、あるジャンルの全体を次のステージに押し上げるような存在たり得ると思う。
これだけの顔ぶれのコンサートのトリを飾るにふさわしい、まさに一時代を画する才能(1988年のワールド・サクソフォンコングレスの「協奏曲の夕」で、ロンデックス、デファイエ、ヘムケ、ルソーが順に登場した最後に、当時27歳の須川さんが大トリを務めたときのことを久々に思い出した)。

オーケストラは、コンマス山本さんをはじめ、2ndVnの双紙さん、えん香奈さん、チェロ古川展生氏(ルクレールの2楽章で、ノンヴィブラート奏法を絶妙に採り入れた見事な通奏低音を披露されていた)など、弦は要所を都響の首席クラスで固めたメンバー。…上手い訳だ。管は都響、新日本フィル、他フリーランサーによる布陣。
冒頭の「夏の牧歌」1曲のみ、その後と全然違う超豪華メンバー(Fl佐久間由美子、Ob青山聖樹、Cl山本正治、Bn岡本正之、Hn吉永雅人)での演奏だったけれど、何だったのだろうか。
日頃から一緒のオーケストラで活動し、また指揮者なしの本番も多くこなしているであろう、信頼感に裏打ちされた素晴らしいアンサンブルを聴くことができた。

客席はほぼ満員。サクソフォンの方もそれなりに見かけたものの、場内の多勢を占めるのはやはりクラ業界の方々、という感じだった(サックス吹きとしては、セルマーのこの類のイヴェントに紛れ込んだクラ吹きのような気分というか(^^;)。
スカイブルーの上下スーツを着込んだひょろひょろしたオッサンがなんか知らん目立っていたけれど、よく見たらなんと、御大浜中浩一氏(元N響首席)ではあーりませんか、とか。

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2007.05.25

田中靖人リサイタル

Yasuto Tanaka 070524田中靖人サクソフォンリサイタル2007(浜離宮朝日ホール)

R.ブートリー/ディヴェルティメント
F.シュミット/伝説 op.66
長生淳/天国の月
R.ムチンスキー/ソナタ op.29
I.アルベニス(長生淳編)/セビーリャの聖体祭~組曲「イベリア」より
長生淳(G.ビゼー原曲)/アルルの女
 Pf:沼田良子

行けるかどうか微妙だったけれど、行くしかないだろうと思って行ってきた。とりあえず休憩後のムチンスキーからは聴けた。前回(2003年)のリサイタルはアンコールしか聴けなかった(^^;記憶があるので、今回はまだしも。

セビーリャの整体師、じゃなかった、「セビーリャの聖体祭」が素晴らしかった。光と影、喧騒と静寂、聖と俗など、様々な相異なる相貌がスペインの陽光の下で渾然一体となっているような音楽だ。長生さんの編曲もこれは比較的原曲に忠実なもので(ところどころにお馴染み、って感じの即興的フレーズが入るが)、田中さんの、繊細でかつ滞空時間の長い音楽の運びにも似つかわしい。こういうのを聴いてしまうと前半を聴けなかったことが悔やまれる。
沼田さんのピアノも驚くべきものだ。これほどに「己を消す」ことのできるピアニストというのは実はあんまり見たことがない。演奏を聴いていると(良い意味で)ピアニストの存在を忘れてしまう。ソリストと音楽の隙間にすっと入り込んで己の居場所を確保し、それでいて決してそこに埋没することなく澱みのない明快な音楽的信号を発令する。
こういう人がソロを弾くとどうなるんだろう。沼田さんの「イベリア」を聴いてみたい、と思った。

「アルルの女」のほうは、いつもの長生さんの流儀で、「アルルの女」を題材とした長生流ラプソディー・カプリチョス、という趣。これはこれで面白いっちゃ面白いんだろうけれど、アンコールで「アルルの女」の間奏曲の原曲バージョンが演奏されたのと(はからずも)比べてしまうことになると、悪いけれどオリジナルの圧勝、ではあった。いやー、なんという名曲なんだろうか。150年の時を生き残ってきたというのは伊達ではない、と実感。
アンコール2曲めは、真島俊夫編曲のモリコーネ・コレクション。小串さんなどが演奏しても似合いそうだ。

昨夜とは全く違い、客席には顔見知りの方々がたくさん。
サックス吹きのコンサート・ゴーアーな方々と、終演後の余韻を楽しみながら他愛のないお話を語らうというのも、これはこれでまた楽し。

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2007.05.24

フォーレの舟歌と夜想曲

societe Faure du Japon, 070523日本フォーレ協会第XVIII 回演奏会/フォーレの「舟歌」「夜想曲」連続演奏会 第一夜(東京文化会館・小ホール)

G.フォーレ/
舟歌第1番、夜想曲第1番、第2番、第3番
 Pf:須江太郎
夜想曲第4番、第5番、舟歌第2番
 Pf:淺田淳子
舟歌第3番、第4番、夜想曲第6番
 Pf:藤井ゆり
組曲「ドリー」
 Pf:淺田淳子、澤田真子
舟歌第5番、第6番、夜想曲第7番
 Pf:河江優

今年の日本フォーレ協会の例会は、シンプルにピアノ曲オンリー。今日と11月の2回にわたって催される、「舟歌」と「夜想曲」の全曲演奏会。
第一夜の今回は、その中でも殊更に美しく親しみやすい、フォーレ初期~中期の珠玉の名品が揃っている。

通い慣れた東京文化の小ホール。誰一人知り合いのいない薄暗い客席に溶け入るように座って、何も難しいことを考えず、心を真っ更にして、それぞれの出演者が2~3曲ずつの出番のために磨きをかけて準備してきた曲たちの、美しい響きと和声を浴びる。
私は普段たくさんのコンサートに行くけれども、自分が本当に聴きたいのは、こういうコンサートだと痛感する。

…客席に假屋崎省吾さんの姿を見る。
この人、いろいろなコンサートで見かけることだ。

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2007.05.19

東京文化、日参

TMSO, 070518東京都交響楽団 第644回定期演奏会(東京文化会館)

ニコライ/歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲(Fl:マチュー・デュフォー、Hp:シュレイファー弓子)
ブラームス/交響曲第4番
 指揮:ニールス・ムース

2日連続の東京文化会館。今日は都響。

ここ最近の都響はオーソドックスなプログラムが多い。今日など特に。
モーツァルトの「フルート&ハープ」も、ブラームスの4番も、どちらも18歳(大学1年生)のときに毎日のようにレコードを聴いて覚え親しんだ曲だ。モーツァルトはランパル&ラスキーヌ(Erato)、ブラームスはバルビローリ=ウィーンフィル(セラフィムの1300円盤)。
10代だった当時は月に1~2枚のレコードしか買えなかったので、いったん買ったレコードは次の月まで繰り返し聴いて覚えたものだ。というわけで当時知った曲は、その曲を知った頃の日々の記憶と結びついて覚えている。最近はそんなこと無くなったなあ(棚からパッとCDを取り出しても、それはいつ買ったものかなんて、全然思い出せない。どころか、ろくすっぽ聴いてすらいなかったりする)。

さて、今日の指揮者のニルス・ムース。初めて聴く名前だが、なかなかいいです。1曲め(吹奏楽編曲版とかで割とよく聴く曲だ)からとても落ち着いたしなやかな響きが出てきていた。もしかしたら1曲めが今日の中でいちばん良かったかも。
モーツァルトは、疲れが出たか記憶がところどころ飛んでいる(^^;。フルートのソリストはパリ・オペラ座のスーパーソリストを経てシカゴ響の首席になった方だそうだ。管楽器のエリートコースの極致ですなあ。アンコールにお二人で「チャルダッシュ」。
休憩後のブラームス。重くはなく、といって軽いわけでもなく、素直にじっくりと歌い上げるタイプの、わりと好みの演奏。いやしかし、いい曲です。やはり。

クラシック好きの人に、ブラームスのシンフォニー4曲の中でどれが一番好きかと問うと、大勢は「1番」派と「4番」派に分かれるんじゃないか。私は「4番」派。
でもって、4番が好きな人は概して2番も好き、という傾向があるような気がする。吉田秀和という人もそうらしい、と知ったときはちょっと嬉しかったな。

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2007.05.18

N響のラヴェル

NHKSO, 070517NHK交響楽団 東京文化会館公演

エネスコ/ルーマニア狂詩曲第2番
モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番K467(Pf:小菅優)
ラヴェル/スペイン狂詩曲
同 /亡き王女のためのパヴァーヌ
同 /道化師の朝の歌
同 /ボレロ
 指揮:ローレンス・フォスター

と書いてはみたものの、実は間に合わず休憩後のラヴェルしか聴けなかった。
東京文化でN響を聴くのはたいへん珍しいので(工事休館中のサントリーホールでの定期公演の代替ということらしい)、じっくり聴いてみたかったが。

指揮者はアメリカ国籍ながらルーマニア出自とのことで、独特の粘着力のある音楽をする人だ。
ラヴェル4曲を、袖に引っ込まずに、続けて、あたかも一繋がりのシンフォニーのように聴かせてくれた。「亡き王女」は緩徐楽章で、「道化師の朝の歌」はスケルツォということか。そういえば4曲ともスペイン絡みの音楽である(パヴァーヌはスペイン起源の宮廷舞曲)。

演奏は、よくも悪くも「N響のラヴェル」で、上品だしカッチリとはしているけれど、あんまり「面白い」演奏とはいいがたい。管のソロも弦のテュッティも、高次の倍音があまり響いてこないので、音色的に地味な感じがする。ドイツのオーケストラが無理やりラヴェルを器用にこなしてます、みたいな雰囲気。ところどころで唖然とするような巧さを聞かせるけれど。例えば打楽器群。「スペイン狂詩曲」などほとんど打楽器コンチェルトのように聴いてしまった。ボレロのスネアドラムも、あんな超ピアニシモで正確に始まったというのは聴いたことがないほどだ。「ボレロ」といえばトロンボーンも見事!でした。
「亡き王女」のホルンは、ヴィブラートばりばりで印象的に始まったが、おおっ、と思ってよく見たら新日本フィルの吉永さん(エキストラ)ではありませんか。すごいなあ。
サックスのエキストラは小山さん(ソプラノ)と國末さん(テナー)。4階左サイドで聴いていたんだけど、國末さんの音が轟然と浮かびあがってきていたのが印象的。先日のリサイタルでも思ったのだが、國末さんの音というのは上に向かって鳴る傾向があるのかな。もしかしたら1階席には小山さんの音のほうが届いていたのかも。
しかし、N響のサックスのエキストラというと冨岡センセの専売特許、みたいなイメージが長いことあったけれど、すっかり世代交代してしまったようですね…

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2007.05.16

フランス音楽の「祈り」

Tokyo City Phil. 070515東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第208回定期演奏会(東京オペラシティコンサートホール)

イベール/祝典序曲
オネゲル/交響曲第2番~弦楽とトランペットのための(Tp:上田仁)
プーランク/グローリア(Sp:半田美和子)
 合唱:東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮:藤丸崇浩)
 指揮:矢崎彦太郎

告知を見た時から楽しみにしていた演奏会。
なんたって初めて生で聴く、イベールの「祝典序曲」。この曲については以前こんなエントリ(長文注意)を書いたことがある。私のコダワリの一品。
そして、オネゲルの交響曲とプーランクの「グローリア」という組み合わせも、独自の「祈り」の境地を感じさせてくれるものだ。まるで、救いのない暗さから、一点の光明を経て人間性の全面的な解放へと向かう階段を上るかのように。
世の中には「苦悩を乗り越えて歓喜へ」みたいな音楽は数限りなくあるけれども、この組み合わせによって得られる境地は、まさにフランス音楽ならではのもののような気がする。
席は3階センター、1列14。偶然にも、以前シティフィルのフランス音楽シリーズの会員だった時の毎回の指定席と同じ。

で、演奏はどうだったかというと、イベールは熱演ではあったが、少々思い入れ強過ぎだったかなあ、というところ。最初から最後まで力一杯というか鳴りっぱなしな演奏で、もう少し音色とか雰囲気が柔軟にうつろって欲しかった。
ただしサクソフォンソロは素晴らしかった。会場の隅々まで浸透するソノリテと、これ以上でも以下でもない絶妙な速度のヴィブラートが見事!奏者は波多江さんだったようですね。

後の2曲はなかなか良かった。オネゲルの2番という曲は、(生で聴くとなおのことそうだが)最後の数分で出てくるトランペットソロが全部の印象をかっさらって行ってしまう。今回、オルガン席で吹いていたトランペットのインドライオンこと(笑)上田氏のサウンドがとにかく素晴らしかったこともあり、良い印象で終わることができた。あ、弦(特にヴィオラ)も良かったけれど。
上田氏は5月付で入団されたばかりのようだ。いい人を得ましたね。(しかしシティフィルって、なんだってこんなにトランペット奏者ばかり大勢いるんだろうか)
プーランクも楽しめた。合唱は130人ほど。切れ味にはやや欠けるけれど響き自体はなかなかよく訓練されていたように思う。ソプラノソロともども最初のうちは少し遠慮気味だったが、だんだん調子が上がってきて、最後第6曲の渾身の歌唱には感動を覚えた。
それにしてもプーランクのハーモニーというのは本当に独自の世界というか、どんな編成の曲にも共通するものがあるし、またプーランク以外の作曲家には絶対にあり得ない魅力があるなあ。

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2007.05.12

【都響】メンデルスゾーン

TMSO, 070512東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズVol.64
作曲家の肖像「メンデルスゾーン」

「真夏の夜の夢」より 序曲、スケルツォ、夜想曲、結婚行進曲
ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲(Vn:川崎洋介、Pf:若林顕)
交響曲第5番「宗教改革」
 指揮:小泉和裕

芸劇での都響は、毎度ひとりの作曲家の個展。今回はメンデルスゾーン。
この冬から春にかけて、のべ1ヶ月くらいかけて「真夏の夜の夢」から3曲をサクソフォンアンサンブル用に編曲作業をしていた身としては、楽しみにしていた演奏会だった。
メンデルスゾーンはドイツ人だけど、その音楽のある種の繊細さはフランス音楽のようにも解釈できると思う。実際(何度か書いているような気がするが)、メンデルスゾーンの、とくに「真夏の夜の夢」は、あらゆるクラシック音楽作品の中で私の最も好きな曲のひとつでもある。

さて今日の演奏。「真夏の夜の夢」のほうは、小泉=都響だったら当然このくらいはやってくれるだろうという、ある意味期待どおりの演奏だったが(「夜想曲」のホルンソロは、この5月より首席奏者に昇格した西條氏。good.)、圧倒的に良かったのは、休憩後の「宗教改革」だった。なんだかもう、音のまとまり方も方向性も集中力も、すべて1ランクアップしていた。荘重でありながら、清朗であり、決して暗くない。この曲が一種の信仰告白として(しかも、20歳そこそこの若者の手によって)書かれた音楽である、ということをまざまざと分からせてくれた。何が起こったんでしょうか(3月に聴いたブラームスの3番の時を思い出した)。

休憩前のコンチェルトは、あまり聴く機会はないけれど(実演では初めて聴いた)、とても快活で楽しい曲だ。本当はもっと小さな会場で、ヴァイオリン、ピアノ、弦楽群三者の丁々発止のやり合いを間近に見て楽しむ曲なんだろう。
ちなみにヴァイオリンの川崎洋介氏は、大阪センチュリー響のソロコンサートマスター。かの川崎雅夫氏の子息とのこと。いかにもドロシー・ディレイ門下らしい、強靱なサウンドと推進力を持った方だ。

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four-leaf clover

Clover Saxophone Quartetクローバー・サクソフォン・クヮルテット デビューリサイタル(東京文化会館・小ホール)

ボザ/アンダンテとスケルツォ
フランセ/小四重奏曲
デザンクロ/サクソフォン四重奏曲
石毛里佳/アレグレットとプレスト(初演)
グラズノフ/サクソフォン四重奏曲op.109

今日は開演に間に合った。間には合ったが、既に先日の雲カルをも上回る超満員。(最終的に当日券は発売されず、チケット無しでやってきた方々はロビーでモニター鑑賞となったらしい)
グラズノフが凄かった。巧い、というか、これはもう異次元の世界だ。先日の雲カルのグラズノフが大きな建築物だとしたら、こちらは謂わば、彩られた流体だ。この曲がこんなふうになめらかに演奏できるというのは、驚きを超えて「不可解」、に近い。
音楽というものは(特にこのグラズノフのような大曲は)、悪戦苦闘しながら追い詰めていくもの、というイメージが私のような四捨五入すりゃ50になるような者にはどうしてもある。だからこそ、私たちの世代の人間がサクソフォンカルテットというものを突き詰めると、キャトルロゾーみたいなぐるぐるドッカンな世界に行く訳で。
私たちにはああいう、当り前になめらかな演奏というのは、どんなに頑張ってさらっても無理だ。もはや前提となる感覚が違うのだろう。

前半の曲はそれでも、少々力を持て余し気味なところもあり、(巧いといえばたしかにあり得ないほど巧いのだが)音楽そのものの魅力よりも、その音楽に向かう演奏者のストイックな姿勢のほうをより感じさせてしまったかもしれない…というのは、とてもゼータクな不満だろうと思う。

石毛里佳という人の曲は、とても魅力的な音楽だと思った。
時間が流れていく速度(曲の「テンポ」という意味ではなく)や密度を、自在にコントロールしながら戯れているかのような。
そういうあり方を完璧に実現した演奏の素晴らしさは勿論あるのだろうけれど。

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2007.05.09

フランス国立放送フィル東京公演

Tirasi070508フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団(東京オペラシティコンサートホール)

フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
 指揮:チョン・ミョンフン

今年はフランスのオーケストラがたくさん来日するけれど、それらの先陣を切っての東京公演。
2月とか3月とかになっていきなり告知されたので、チケット代がキツかったが、この曲目だったらやっぱり聴いてみたい(特に前半!)と思い、行ってきた。
行ってよかった。

オーケストラの状態は前回2004年の来日時よりも明らかに良い。弦が見違えるように鳴るようになっていたし、元気の良さと自発性に富んだ姿勢には更に磨きがかかっている。フォルテの音量はオペラシティの空間が溢れかえりそうだ。
指揮者の解釈はとてもドラマティックな演出に傾いたもので、ちょっとやり過ぎじゃねーかと思う瞬間もままあったけれど、オーケストラがそれを迷いなく音にしてくれるもので、説得力がある。「ダフニスとクロエ」の第2組曲など、合唱を欠いた編成でここまでドラマティックな音が出てきたのを聴いたというのは、ほとんど例がないかも。
フォーレの「ペレアスとメリザンド」のような静かな曲ではそれでも、随所に思わず出てしまうフランスのオーケストラとしての本性、のような音が聞こえて、嬉しかった。「春の祭典」冒頭のソロは、ちゃんとバソンだったし。(バソンが4本並んだ光景というのは、壮観。)

アンコールに、「春の祭典」第1部のラスト1分くらい(!)と、「カルメン」前奏曲。
「カルメン」の最後ではチョンさん、指揮をやめてしまってチェロと第2ヴァイオリンの間に入ってニコニコしていた。まるで、「いや、なに、どうです、僕なんかいなくたってこんなにちゃんと演奏できるんですよ、」と言わんばかりに。
好感度高し。

チョン・ミョンフンという指揮者だが、実は私、今は無い新星日響の最後の頃の定期会員だったので、合併して東京フィルになった最初の数シーズンに何度か聴いたんだけど、正直あんまり感心したことがなかった。
以来敬遠していたところはあったんだけど、もしかしたら、合併直後でゴタゴタしていた東京フィルというオーケストラのせいだったのかもしれない。一度だけN響を振ったのを聴いた時には、今でも忘れられないほど集中度の高い演奏をしていたのだから。
考えを改めて、また聴いてみようかな…って、この人のコンサートはチケットが高くて困るんだけど(^^;

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2007.05.08

雲カル2007

Tirasi070507雲井雅人サックス四重奏団 第6回定期演奏会(東京文化会館・小ホール)

C.フローリオ/四重奏曲(演奏会用アレグロ)
A.グラズノフ/サクソフォン四重奏曲op.109
J.S.バッハ(北方寛丈編)/パルティータ第3番
D.マスランカ/レシテーション・ブック(委嘱作品・日本初演)

雲カルの音楽の印象を言葉で表現しようとするのは、困難が伴う。
彼らの仕掛けてくる音楽的メッセージが、今までも常にそうだったように、言葉のレベルを超えたものだからだ。
とは言っても、音楽をするということの究極の目的は、言葉ではあり得ないコミュニケーションを聴く人と共有することなのだから(プロの演奏家だろうと、我々のような趣味で楽器を吹いている素人だろうと、それは同じはず)、それはそれで楽しむべき困難なんだけれど。

雲カルアメリカツアーでの、向こうの多くの聴衆に衝撃を与えたという初演の模様を、公式サイト内の記述で垣間見ていて、いったいどんな曲なのだろうと楽しみにしていた、マスランカの新作「レシテーション・ブック(読誦集)」。
まさに、ひとつの「驚異」だった。
ああいうふうに始まった曲が、ああいう音楽的思考を辿って、ああいうふうに終わるとは、予測だにできなかった。
独り言を言いながらそのへんを歩き回っていた人が、どんどん速度を上げて、最終的に第二宇宙速度に達して引力圏を飛び出してしまいました、みたいな。
唖然。

日頃はそんなこと考えもしないけれど、もしかしたら、神様というのはいるのかもしれない、と思った。
会田綱雄の「訓戒」という詩の中に、神さまを食べるきつね、というのが出てくるけれど、この曲のありようについて考えるときに、それを思い出す。
ここでの「神さま」とは、求められながらもあり得ないもの(例えば、演奏を聴く人と完全なコミュニケーションを共有すること)、の表象。
それを食べるきつね、というのは即ち、不可能や絶望を糧として人の前に立ち現れる存在、到達することのできない「彼岸」とのメッセンジャー。…

そもそも音楽家とは皆、根源的に、「神さまを食べるきつね」であるはずなんだ。

今日も出遅れ(間に合うように仕事終わらそうと頑張っていたのだが、どうやっても間に合わないと判ったところで急にダレてしまい、大遅刻)、グラズノフの2楽章の変奏の合間に会場のドアをすり抜ける。
見ため9割という感じの、大入り。
グラズノフは、骨太のがっしりとした建築を造ろうとしていた演奏だと思った。細かいところではいろいろあったようだけれど、最終的な音楽の大きさの前には吹き飛んだ。
バッハのパルティータは、たいへん楽しい編曲。ヴァイオリン1丁の原曲が、見事にそれらしい、バロックスタイルの「サクソフォン四重奏曲」に変身していた。
これはいつ出版されるのだ、という質問を(アメリカで演奏した際に)たくさん受けたそうだが、私も訊きたいものだ。

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2007.05.02

終演

終演
コルボのフォーレ、いやあ、本当に心打たれました。キャパ5000のホールだったとは信じがたい。商売っ気のまったくない雰囲気、大振りでぶっきら棒な指揮ぶり、町の教会の聖歌隊長がそのまま音楽の最も崇高な部分へと繫がっているかのようなありようだった。
2人のソリストも、まさに絶唱でした。

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ホールA

フォーレ/レクイエム
ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア
指揮:ミシェル・コルボ

初めてのホールA。でかっ。普門館だ(キャパ5000)。でも普門館よりは音は良さそう。

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ホールB7

ビゼー/交響曲ハ長調、シャブリエ/田園組曲(!)
フランソワ=グザヴィエ・ロス指揮、レ・シエクル
現地でチケットが手に入りました(^_^)v
まもなく開演。ワタシの愛してやまないシャブリエの「田園組曲」、はじめて生で聴ける!
残念ながら(というか、当然ですが)ホール内は撮影禁止です。

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やってきました、LFJ

やってきました、LFJ
ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭(東京国際フォーラム)。
クラシック好きなら話のタネに一度は行ってみたいお祭りだったけど、毎年「音の輪」のおかげで行けなかった。
今年は私が偏愛する分野の出し物も多いことで、ちょっとだけ覗いてみます。

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2007.05.01

ジョイントリサイタル

Tirasi070501國末貞仁・小山弦太郎 サクソフォーン・ジョイントリサイタル(すみだトリフォニー・小ホール)

W.A.モーツァルト/「ああ、お母さんきいてちょうだい」による12の変奏曲(キラキラ星変奏曲)(國末・小山)
R.シューマン/アダージョとアレグロ(國末)
F.シューベルト/「しぼめる花」の主題による序奏と変奏(小山)
R.ブートリー/ディヴェルティメント(小山)
P.モーリス/プロヴァンスの風景(國末)
F.ドップラー/アメリカ小二重奏曲(國末・小山)
 Pf:中村真理

怒濤の5月、いよいよスタート。
出遅れて、3曲終わって休憩に入ったところで到着。それでもお二方のソロ1曲ずつとデュオを聴くことができた。
トリフォニーの小ホールは、通路が座席両端の壁際にしかないというバイロイト劇場状態(^^;なので、遅れて来ると結構困ります。
という訳で、前から3列めに座る。本当はもっと後ろがいいんだけど。

お二人の音色はかなり印象が異なる。小山さんの音はシンプルでなめらかでまっすぐ直進して向かってくるのに対し、國末さんの音はもっと饒舌で、しかも音が一度上に上がってから面状に降りてくる感じがする(理屈ではなく直感的な共感として、「須川門下」だな、と思う)。
そういうお二人がデュオを吹くと、合わないのではないかと思いきやこれが意外と面白い。強弱のバランスや音の方向性の違いによって予想外にさまざまな音が合成されるので、むしろ似た音色の者同士のデュオより楽しい結果になるのかもしれない。
そういえば私も某嬢と「もろび&こぞり」というデュオチームを組んで本番をやったことがあるけれど、お互い音色は笑っちゃうくらい違うんだけど結構楽しかったし評判も悪くなかった。デュオというのはそういうものなのかもしれない。またやりましょう(^^)。閑話休題。

しかし、若い男性同士のデュオというのも、見ていて意外といいもんですね。「男の友情」、というやつが、押しつけがましくなく率直に、爽やかに、見る人に感じ取られる。
お客さんとそういう感情を共有するというのも、音楽というもののひとつのあり方だ。いや、ホント、そう思いますよ。

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2007.04.30

ヴィーヴ!サクソフォーン・クヮルテット

Tirasi070430Vive! Saxophone Quartet リサイタルVol.5(津田ホール)

N.カプースチン(浅利真編)/8つの演奏会用エチュードop.40より 1.前奏曲、7.間奏曲、3.トッカティーナ
高橋宏樹/グリムの古城(委嘱作品・初演)
坂井貴祐/ペンタグラム(委嘱作品・初演)
G.ラクール/サクソフォン四重奏曲
清水大輔/アイヴス・マインド2(委嘱作品・初演)*
八木澤教司/サクソフォン四重奏曲(題名未定、委嘱作品・初演)
A.ピアソラ(浅利真編)/タンガータ「シルフとオンディーヌ」*
 Pf:吉田亜希子*

GW前半戦最終夜。プロのサクソフォンカルテットのリサイタルを聴くのは結構久しぶりのような気がする。
「立錐の余地もない」とはこのことだろう、490席の津田ホールだが空席は全く見えない。
制服姿の高校生、大学生、サクソフォーン・作曲両方とおぼしき音大生たちと先生方、よくまあ勢揃いした、って感じの様々な流派の若手サクソフォニストたち、見るからに作曲業界という方、お約束の、あるいは意外な顔見知りの方々。
これだけの層のお客さんをとりあえず集めてしまう、というのは、凄いことだと思う。

最初にカプースチン、最後にピアソラ。1部最後はラクール。この曲の並びでも判るとおり、勢いと鮮烈さ、躍動感を追求したアンサンブルだと思った。
個人的にはラクールではもっと非情なまでに切れ味鋭く引き締まった音が欲しかったが(自分でも吹いた曲なので、思い入れ強し)。

委嘱作品が4つ。ピアノを含む清水作品以外は、あきらかに「アンサンブルコンテスト」のレパートリーとなることを意識しているようで、昨今の吹奏楽界における新作志向の一端を見たという感じがする。
八木澤さんの作品は中でも、適度に難しく適度にわかりやすく、演奏効果があって泣けるメロディもそつなく準備されているという、この人の作品の人気の程も頷けるというものだった。2週間前にはまだ曲が書けていなかったとのことで、結局いつ完成して何回練習ができたのかな。作品を委嘱するというのもなかなか大変だ。
高橋さんの作品は、いつもの高橋さんらしい非常にオーソドックスなもの。曲目解説の文章が、私たちが委嘱した「月森の詩」のそれと同じ調子で、微笑(^^)。
珍しくもAATB編成。この編成の易しく音楽的なオリジナル作品というのは皆無に等しかったので、歓迎すべきものだ。

アンコールに、デュボワ「パリ風に」(性格的小品集のフィナーレ)4Sax+Pf版、リベラ「彼方の光」。

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2007.04.28

シュベルト&マーラー5番

Tirasi070427東京都交響楽団 第643回定期演奏会(東京オペラシティコンサートホール)

シューベルト/交響曲第5番
マーラー/交響曲第5番
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

都響=デプリースト月間の締めくくり。今月はじめて最初から聴けた。
サントリーホールが半年間の改修休館に入ったため、サントリーでの定期公演シリーズはオペラシティに移った。
オペラシティで都響を聴いたという記憶は実のところほとんどない。「コンポージアム」でルチアーノ・ベリオが来日した時に、自作自演のコンサートを聴いたくらいかな。

シューベルトが実に清新で瑞々しい音だった。まるでヨーロッパのオケみたいに自然で雰囲気豊かなサウンド。
マエストロの芸風にも、このオペラシティという会場のアコースティックにも、似合った曲だと思えた。

後半はマーラー。都響にとってマーラーというのは特別なレパートリーで、就中「5番」はインバル、ベルティーニ、若杉と歴代の役付指揮者の棒でそれぞれの名演を堪能してきた曲でもある。楽しみにしつつ聴く。
マエストロ・デプリーストのマーラーは、オケを神経質に締めあげて一気に解放へと持っていくインバルのスタイルとも、曲を貫く1本の道の周りにディテールを張り巡らして片っ端から実行していくようなベルティーニのスタイルとも違う。もっとおおらかで、祝祭的と言ってもいい華やかさがある。
冒頭のトランペット高橋敦さんの見事なソロをはじめ、オーケストラはよく応えていたと思う。素晴らしい演奏ではあったが(終演後はものすごい拍手とブラヴォーの嵐。久しぶり)、もしこれで会場が東京文化かサントリーだったら、もっと完璧な名演になっていたかもしれない、とも思えた。

今日の席は3FのL1-44。オペラシティのサイドバルコニーは、音はいいんだけど、ステージが見えないんだな…。普通に座っていると舞台の3分の2は隠れてしまう。だもんでみんな身を乗り出すものだから、余計見えない、という。

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2007.04.22

SSJ(2007春)

という訳で、行ってきた。

Tirasi070422シンフォニエッタ静岡 Sinfonietta Shizuoka, JAPAN
第5回定期演奏会(静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップ中ホール「大地」)

フランセ/恋人の時-ブラッスリー(ビアホール)の音楽
モーツァルト/ピアノと木管のための五重奏曲
プーランク/クラリネットとバソンのためのソナタ
同 /2本のクラリネットのためのソナタ
ルーセル/ディヴェルティスマン
プーランク/六重奏曲

友人中原くんのオーケストラ。これのおかげで1年の各季節に一度ずつ静岡を訪れる機会がある。
時間があるときは極力各駅停車でのんびり行くようにしている。車窓を通りすぎる、(今日は残念ながら見えなかったが)四季の富士山の美しい姿容や、市街地や田んぼやみかん畑や、相模湾と駿河湾の明るい海岸沿いの風景、熱海から先のJR東海の3両編成の電車のローカルな雰囲気など、もはやお馴染みになりつつある。

今回は室内楽のコンサートで、モーツァルトの五重奏の他、プーランクの六重奏、フランセのL'heure du berger、ルーセルのディヴェルティスマンという、20cフランス産のピアノ+木五の三大レパートリーに、演奏機会の稀少なプーランクの二重奏ソナタを組み合わせた、演奏するほうは大変そうだけど聴くのはなかなかない機会。
しかもファゴットでなくちゃんとフランス式バソンを使用。演奏はシンフォニエッタ静岡スーパーソリストにして日本バソン界の第一人者、小山清氏(日本フィルファゴット奏者。こないだまで小山氏のホームページというのがあったのだが、いつの間にか無くなってしまったようだ。どうしたのかな)。
それにしても、こういう若いプレイヤーによる室内楽の演奏の際に、小山さんのようなベテランの第一線演奏家の方が加わることの好影響は、はかり知れないものがある。皆、いままでに無いくらいのびのびと演奏していたもの。モーツァルトの最初のほうなんて素晴らしかったし(オーボエの方が途中から調子を崩したのが残念)。
フランス仕込みの名手郡尚恵さんと小山さんのプーランク「クラリネットとバソンのためのソナタ」なんて、音色といいテンポの持っていき方といい、見事に全くフランス流儀の演奏になっていた。むかしEMIのプーランク室内楽全集のレコードで聴き込んだのと同じ音が聞こえる(たしか、ミシェル・ポルタルとフェザンディエの演奏)。

本当は今日みたいにとんぼ帰りではなく、泊まりがけで観光を兼ねてゆっくり行ければいいんだけど。
帰りは新幹線でした。

070422

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2007.04.18

シューマン、ブラームス

Tirasi070417東京都交響楽団 第642回定期演奏会(東京文化会館)

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
シューマン/交響曲第2番
ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
 Pf:スティーヴン・オズボーン
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

今月2回めのデプリースト=都響は、ドイツ・ロマン派尽くし。
「フィンガル」はまたしてもロビーでモニター鑑賞と相成る。最近、コンサート最初から聴けないなあ。
シューマンの2番。シューマンの4曲の交響曲の中で、唯一馴染みのない曲だ。都響の定期公演はもう十数年にわたってほとんど聴いているけれど、初めて聴くような気がする。CDは普通に持ってるんだから、曲を聴いたことがないということは無いと思うんだが。
しかし、こうして改めてきちんと聴いてみると、なるほど、馴染みがないのも無理はないな、という感じではあった。
ある問題を解くのに、わざわざ物凄く面倒で回りくどいやり方をしているような感じ、と言うのか。
慣れてくればそれなりに楽しめるのかもしれない。

休憩後はブラームス。これは良かった。
とても音のきれいなピアニストだ。オーケストラも、また。
マエストロ・デプリーストはソリストに丁寧に付けようという気はあまり無いかのように、ほぼオーケストラの方だけを向いてどんどん振っていたが、この曲の場合それが良いのかもしれない、とも思った。
とくに3楽章アンダンテの、ひそやかで繊細な音楽の運びが印象的だった。この楽章の美しいチェロ独奏は、田中雅弘氏。今日のチェロは第一プルトに田中・古川両首席が並ぶ豪華布陣だったが、さすが田中さんという印象ではあった。勿論古川さんも素晴らしいプレイヤーではあるけれど、やっぱり田中さんの方が断然格が上だと思う。(古川さんファンの方、ごめんなさい)

ここのところ都響でブラームスを聴く機会が多い。今年に入って既に交響曲の3番と1番を聴いているし、来月は4番だし、9月にピアノ協奏曲の1番のほうがある。何か考えがあってのプログラミングなのかな。

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2007.04.14

エレクトーン、恐るべし

いきなり初夏のような暖かさ。

朝、オーバーホールが完了したMyアルト(ヤナギサワ・シルバーソニックの初期型モデル)を取りに、新宿へ。
当時小豆沢のヤナギサワ工場敷地内にあったリペア室(普通の民家みたいな玄関を入って、階段を上がって行ったものだ。懐かしいなー)で試奏させてもらって、即断で購入を決めて以来、ほぼ15年ぶりに味わう新品同様の吹き心地。(^^)

Tirasi070414青梅へ往復したあと、夕方は渋谷で降りる。今日はちょっと変わったコンサート。

エレクトーン・ジョイントコンサート2007 Spring Vol.3(エレクトーンシティ渋谷

1. 「ローマの祭り」より 主顕祭(レスピーギ)
2. 「動物の謝肉祭」より 水族館(サン=サーンス)
3. 弦楽セレナードより第1楽章(チャイコフスキー)
4. 夢(ドビュッシー)
5. 戦士たち(グレインジャー)
6. コンチェルティーノ・ダ・カメラより第2楽章(イベール)
7. ピアノ協奏曲第2番より第3楽章(ラフマニノフ)
8. 弦楽のためのアダージョ(バーバー)
9. ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)
 エレクトーン:安藤江利(1、5、8)、坂朋実(2、4、6、9)、柿崎俊也(3、5、7、9)
 サクソフォン:塩安真衣子(4、6)

若手エレクトーン奏者3人の自主リサイタルだったのだが、いやこれが面白かったこと!
エレクトーンという楽器の進歩はいまや物凄くて、やりようによってはフル編成のオーケストラと見紛うばかりの演奏ができる、ということはなんとなく知っていたけれど、今日はその内実を思いっきり見せてもらった。
最初の曲(ローマの祭り)から「掴みはOK!」って感じでそのことの見事なデモンストレーションだったし、また、オーケストラをバックに独奏ピアノが鳴るという音楽を一人の奏者で完璧に再現してしまうとか(ラフマニノフ)、音色の設定にしても、「サクソフォンを含んだオケの木管セクションの音」(ガーシュウィン)などという微妙なものまでほとんどそれらしく作ってしまっているのですよ。いやー驚いた。

もともとはゲストでイベールを吹いた塩安さんのブログで見つけたコンサートだった。たいへん巧くカッコ良く吹いていたけれど、せっかくこういう「出来上がった世界」にひとりだけアコースティックな楽器で混ざるのだったら、もっと露骨に人間臭くても面白いかもしれないとも思った。
エレクトーンとサックスって、その「内部」では盛り上がっていて名手もどんどん輩出しているのに、一歩その楽器の世界の外に出るとそういうことはあんまり知られていなくて、それでいて「楽器そのもの」の名前自体は誰でも知っているという、立場的に似たところがあるような気がする。
実は私、平沼由利(有梨)さんの書いたエレクトーンとサクソフォンの協奏曲(これまた面白い曲)なんてのも聴いたことがあって、エレクトーンにはそれなりの興味はあったのだが、意外とちゃんと聴く機会というのは無いもので。そんな訳でたいへん面白かったです。

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2007.04.13

ヤーノシュ・マテー氏

Tirasi070413ヤーノシュ・マテー ヴァイオリン・コンサート(ティアラこうとう大ホール)

昨年春、しまっぷー先生の出演するコンサートを聴きに野木まで行った際、主役だったヴァイオリニスト。ミュンヘン放送管弦楽団コンサートマスター。たいへん素晴らしい「音楽家」で、印象に残っていたところ、今年も来日して東京でも演奏するとの話を聞き、駆けつけた。
だがしかし、行くことにした後で6時半開演だったことに気付き、やばいなあと思っていたが、案の定大遅刻。
後半のクロイツェル・ソナタしか聴けなかった。ふう。

まあ、アンコール(3曲)がたいへん良かったのが救い。ラベンダー畑の婦人(映画音楽)、ツィゴイネルワイゼン、「千の風になって」。サービス精神旺盛だが、決してそれだけでもない。とくに最初の映画音楽の濃くて深い歌い回しが物凄く素晴らしくて、これは本物の音楽だと思った。これ1曲に3500円払ったと思ってもいいくらいだ(少々大袈裟か?)。
アンコール最後は、お客さん達も一緒に小声で歌う。

今日の他にも、那須や高崎、東松島(宮城県)など、地方でいくつかのリサイタルをこなしているようだ。
「ドサ回り」と、呼ぶ人は呼ぶがいい。そんな芸人の中にも、本物の「音楽家」は確かにいる。
ティアラこうとうの大ホールの客席を、結構な割合で埋めたお客さんの数が、人気と実力の程を物語っているように思えた。

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2007.04.12

のだめコンサート

Tirasi070412都響×のだめカンタービレ シンフォニック・コンサート(東京芸術劇場)

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番(Pf:若林顕)
ブラームス/交響曲第1番
 ジェイムズ・デプリースト指揮 東京都交響楽団
 司会:朝岡聡

4月の都響は、常任指揮者デプリーストの月間。
手始めは、コミック版に実名で登場してしまったのをはじめ、「のだめ」と縁の深いデプリーストと都響による、のだめ尽くしの特別演奏会。
少々出遅れて、ラフマニノフはロビーのモニターで観る。まあ、昨年のプロムナードコンサートで聴けなかったブラームスの1番が聴けたので、良しとしよう。
特別何か変わったことをやっているという風ではなかったけれど、率直に感動的な演奏。そう、それで良いのだ。曲がそもそも良いのだから、あとはその「良さ」を誠心誠意再現するということが、何よりも大事。
チケット発売日にほとんど完売したという満員のお客さんは、日頃そんなに熱心にクラシックのコンサートに来ているという雰囲気でもない方が多そうだったが、およそ素直に楽しんでいたように見えた。

アンコールに、ドヴォルザーク「チェコ組曲」よりポルカ。
TVドラマ版の第1回にプラハの回想シーンで流れ、曲名を知っていた人がほとんどいなかった(勿論私も知らなかった)という、アレ。
アンコールが始まる直前に1階席でトラブルがあったようだが、何だったのかな。
今日の私の席は3階のA-27という、ほぼど真ん中。バランスは良いのだが実際以上に音が遠く聞こえて、あまり面白くなかった。3階だったらもっと壁際の方が良さそう。

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2007.04.07

松田理奈ヴァイオリンリサイタル

ひとつ前のエントリの続き。
練習終了後は、みなとみらいに居残る。
たまたま練習日の夜に、小ホールでのコンサートを見つけていたのだ。

Tirasi070407松田理奈 ヴァイオリンリサイタル2007(みなとみらい小ホール)

モーツァルト/ヴァイオリンソナタ イ長調K.526
イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番「バラード」
フランク/ヴァイオリンソナタ
ラヴェル/ツィガーヌ
 松田理奈(Vn)、鈴木慎崇(Pf)

全席完売。大入り袋を貰った(中身は五円玉)。こんなの初めてだ。
2004年の日本音コン1位だそうだ。なかなか巧い。フランクの1楽章みたいなシンプルなメロディを歌う箇所はまだ少し堅さが残っているけれど、音はよく立っているし、イザイの無伴奏やツィガーヌでの、有無を言わさず音楽をドライヴする勢いはたいへん若々しく、思わず惹き込まれるものがある。(今の二十代くらいのサクソフォン奏者の方々も、こういう傾向の演奏を聴かせてくれる方が多い。)

チラシの写真はちょっと出来過ぎ(^^;って感じ。実際はもう少し普通にきれいなお嬢さんだ。なんだか妙に「ビジュアル系」で売ろうとしている傾向が見えるけれど(デビューCDは「初回プレス限定DVD付き」だってさ;)、それって結局本人のためにならないような気がするぞ。
せっかく実力(と、将来さらに伸びる可能性)のある人なのに、色眼鏡で見られかねないような。

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2007.04.06

春はフランス室内楽

Tirasi070405京都フランス音楽アカデミー アンサンブル・スペシャルコンサート2007(横浜・みなとみらい小ホール)

G.フォーレ/組曲「ドリー」
 パスカル・ロジェ、クリスチャン・イヴァルディ(Pf)
B.ブリテン/オイディウスによる6つの変容
 ジャン=ルイ・カペザリ(Ob)
C.フランク/ピアノ五重奏曲
 クリスチャン・イヴァルディ(Pf)、アレッサンドロ・モッチア、森悠子(Vn)、ジャン=フィリップ・ヴァッスール(Va)、フィリップ・ミュレール(Vc)
C.ドビュッシー/フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 フィリップ・ベルノルド(Fl)、ジャン=フィリップ・ヴァッスール(Va)、イザベル・モレッティ(Hp)
E.ショーソン/ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのコンセール
 パスカル・ロジェ(Pf)、ジャン=ピエール・ヴァレーズ(Vn)ほか

毎年この季節になると、このコンサートを聴くのが楽しみだ。パリやリヨンの音楽院、エコール・ノルマル等の教授たちが大挙来日して京都で開催される「京都フランス音楽アカデミー」の、講師陣による室内楽演奏会。今年で18回めだそうだ。みなとみらい小ホールの美しい音響で、本場の巨匠たちによるフランスの室内楽の精粋を楽しむことができる。なんという贅沢。

去年はバッハとメシアンという組み合わせだったが、今年は見てのとおり、傑作ショーソンの「コンセール」をはじめとするフランス近代の名品揃い。
当初はソプラノのフランソワーズ・ポレがこれもショーソンの「終わりなき歌」とジョリヴェの「典礼組曲」を歌うとのことで、楽しみにしていたんだが、来日中止が残念。それにしたって例えばパスカル・ロジェとクリスチャン・イヴァルディのデュオ(!)でフォーレの「ドリー」だなんて、よそでは聴けるもんじゃない。
開演7時、終演は9時40分の、長いコンサートだった。この格闘技みたいに奔放にやり合う演奏を聴くたびに、練習(合わせ)はどのくらいやっているんだろう、と興味が湧く。「練習」というものの考え方は、おそらく私たちとはかなり違うのだろうが。
大晦日に東京文化でベトベンの8番を指揮していたヴァレーズ氏のヴァイオリンは、音量も音程もかなりに豪快な演奏だったけれど(^^;、音楽の、というか、フレーズの推進力が物凄くあるので、そんなに音程悪く聞こえないんだよね。面白いなあ。

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2007.03.30

どぼはち

Tirasi070330東京都交響楽団 第641回定期演奏会(東京文化会館)
指揮:タン・ムーハイ

2006-07シーズン最後の都響。休憩後のドヴォルザーク(交響曲第8番)しか聴けなかった(ヤナーチェク「シンフォニエッタ」の開始は惜しくも間に合わず、楽章途中でも入れなかったため、ほぼ全部をロビーのモニターで聴いた。これはなかなか良かったのではないか。立ってでもいいから中で聴きたかった)。
指揮は初来日、タン・ムーハイ(湯 沐海)。写真を見ると上海の大野和士って雰囲気だが、実際はもう少し貫祿がついていかにも中国の大人(たいじん)という趣。大河のように悠々たる流れと、上海雑技団みたいなアクロバティックに推進力のある音楽が交互に現れる、面白い指揮者だ。いかにも大陸の音楽家、という感じ(ロシアの指揮者も、流儀は違うけど似たような音楽のつくり方をするような)。

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2007.03.21

しばしお別れ、サントリーホール

Tirasi070320東京都交響楽団 第640回定期演奏会(サントリーホール)

ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
モーツァルト/クラリネット協奏曲(Cl:カール・ライスター)
ブラームス/交響曲第3番
 指揮:小泉和裕

会場到着は開演15分前。最近にない早い到着だ(^^;

カール・ライスターのモーツァルトを楽しみにしていたんだけれど、終わってみたら圧倒的な印象を残したのはメインプロのブラームスの3番のほうだった。ブラームスの交響曲の中ではあまり聴く機会のない、地味な曲だけれど、こんなに素晴らしい曲だったのかと認識を新たにしたのだった。演奏が良かったのは勿論なんだけど(都響は弦が定評あるところだが、今日はその上に2楽章冒頭の木管のアンサンブルや、なにげないホルン群の合いの手など、地道な細部が実に磨き抜かれていて痺れた)、それだけじゃない。小泉さんという指揮者にとって、このブラームスの3番という曲が何か特別な存在なのだという感じが、ものすごく伝わってきたように思う。
小泉さん自身がプログラムにも寄稿していたけれど、1992年(もう15年も前だ)、急逝した山田一雄が客演予定だった演奏会を小泉さんが代りに振った時も、やはりブラームスの3番で、そのときの演奏も、いまだに覚えているくらい集中にみちた演奏だった。

ライスターのモーツァルト、さすがの貫祿と余裕で満場の盛り上がりをひとりで独占していた。オーケストラのほうも、偉大なソリストに接するというより、自分たちの学校や職場の大先輩を迎えるときのような独特の緊張感があったような。
しかし、音色自体はは昔聴いたときに比べてかなり痩せちゃったかも…という印象。
それでも、今年70歳になるというのに指は全然衰えてないし、音楽は自在だし、素晴らしかったが。

今年度のサントリーホール予定はこれが最後。
4月から9月までホールが改修休館に入るため、しばらくサントリーホール通いともお別れとなる。
開館から21年。私が初めて入ったのが1987年4月のパリ管日本公演だったから、ちょうど20年(20年経った建物にはあんまり見えないけれど)。
いったいこの間、何回この会場の椅子に座ったんだろうか。100回、いや、200回は下らないことは間違いない。
次の20年が過ぎたら、ワタシゃ65歳、ですか…。なんだか想像もつかないけれど、きっとそのくらいの時間すぐに経ってしまうんだろうな。

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2007.03.19

クヮトロポルテ

1日休日出勤。
誰もいない職場で、ひとりで仕事。はかどる。いつもこうならいいのに(無理)

昼は一時脱け出して(というか、元々ひとりなのだから「放置して」と言うべき)、大久保での知り合いの演奏会に顔を出してみる。

サクソフォン・クヮトロポルテ(ISHIMORIホール)
 E.ボザ/アンダンテとスケルツォ
 P.ランティエ/アンダンテとスケルツェット
 F. et M.ジャンジャン/サクソフォン四重奏曲
 P.M.デュボワ/サクソフォン四重奏曲
 J.アプシル/ルーマニア民謡の主題による組曲

先月のアイル演奏会でご一緒した方々。勿論アマチュア。すごいプログラムでしょ。ありし日の東京サクソフォンアンサンブルみたいな曲目。ここ何回かの本番で蓄積したレパートリーを一気に披露したということのようで、ある意味「リサイタル」というものの本来あるべき姿ではある。
アンコール無し、休憩が1回(ジャンジャンの後)入った他は曲間の出入りも無し。気取りも迷いもなく、自分たちがいま為すべきことだけをしました、という趣。サムライですね。

サクソフォンアンサンブルにありがちな豊満で分厚い響きとは一線を画す、軽く密度の低い音色が新鮮だった。ただでさえ響きが塊になりがちな天井の低い地下室の会場だっただけに、なおさら。たとえば雲カルみたいな「風のようにひゅーっと鳴る響き」というのは、これの延長線上にあるのだろうと思う。…ただ、曲目が進むにつれて、ありがちなサックスアンサンブルぽい音に近づいて行ったのが、惜しいと思った。遅れて着いて最初に聴いたランティエ、次のジャンジャンなんか、本当に今まで聴いたことのないような清新な演奏だっただけに。

ともあれ、邪念を持たずに、自分たちがこの路線で行きたいと思っているのであればその通りにまっしぐらに進んでほしい、と思わせる、いまの時代に珍しいような率直な個性を持ったアンサンブルだった。
来週のコンクール本選でもご一緒できるのが、楽しみ。

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2007.03.13

音大生によるサクソフォーン四重奏の夕べ2007(?)

音大生によるサクソフォーン四重奏の夕べ(日本サクソフォーン協会主催)
川崎市高津市民館・Noctyホール

とりあえず行ってはきたが、聴けたのは15校中最後の5団体のみ。しかも体調最悪でぼーっとしていて音楽が頭に入ってこないし、やっと覚めてきたと思ったら今度は咳を我慢するのに必死で演奏を聴くどころではなかった。
という訳で、いつものようなレポートを期待された方、すみません。国立音大が雲カルみたいなサウンドでなかなか気持ち良かったようなおぼろな記憶が。

曲目・出演校はこちら(協会サイト内)をご覧ください。

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2007.03.11

YWOサクソフォーンアンサンブル

今週はずっと調子が悪い。どうも風邪のようで、熱っぽくて身体がだるいし、鼻をかむとまっ黄色な鼻水が出てくる。
この週末はめずらしく(いくつか入っていた予定がみんな没って)平穏なので、休養に努めるつもり。

それでも、古巣楽団の仲間たち、YWOサクソフォーンアンサンブルの演奏会にだけは行ってきた。
昼間は『真夏の夜の夢』の編曲作業の続きをやっていたのだが、最後「結婚行進曲」が結構いい調子で進んで、集中して作業していたところ、ふと時計を見たら午後6時!うわっ、やべぇ、と慌てて飛び出す(演奏会は7時開演)。
結局最初の2曲は聴けなかった(開演前に「Thunderさんが来てないぞ、どうしたんだろう」と話題になっていたらしい(^^;)。
「イタリア協奏曲」が聴けたからよしとしよう。

いつもながら、短い準備期間とは思えないようなそつの無い仕上がり。
これで半年なり1年かけてちゃんと準備すれば、もっとすごいものが出来るのだろうになあ、とはいつも思うことだけれど、なかなかそうもいかないのだろうな。
「イタリア協奏曲」は25日のコンクールでもう1回聴ける。

曲目
P.ランティエ/アンダンテとスケルツェット
P.M.デュボワ/サクソフォン四重奏曲
J.S.バッハ/イタリア協奏曲
星出尚志編/ゴスペル・メドレー
真島俊夫/ラ・セーヌ~サクソフォン八重奏のための
L.バーンスタイン/「ウェストサイド・ストーリー」セレクション

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2007.03.08

萩元さんのこと

Hagimoto Haruhikoとてもあたたかく心に残るコンサートを聴いた。

ハギモトハルヒコ 夢コンサート'07(カザルスホール)

プレコンサート(Org独奏:浅井寛子)
朗読:谷川俊太郎
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ変ロ長調K.454(Vn:堀米ゆず子、Pf:児玉桃)
フォーレ/ピアノ四重奏曲第1番(Vn:フィリップ・グラファン、Va:今井信子、Vc:宮田大、Pf:児玉桃)
ポッパー/レクイエム(Vc:山崎伸子、加藤陽子、門脇大樹、辻本玲、堀内詩織、宮田大)
リドー/フェルディナンド~花の好きな牛(Vn:フィリップ・グラファン、語り:藤田弓子)
ラヴェル/弦楽四重奏曲(Vn:堀米ゆず子、フィリップ・グラファン、Va:今井信子、Vc:宮田大)
司会:マリ・クリスティーヌ

2001年に亡くなられたテレビ界・音楽界の名プロデューサー萩元晴彦氏をしのび、氏の誕生日に毎年ここカザルスホールで開催されているコンサート。
テレビマンとしての、あるいは「室内楽の使徒」としてのクラシック音楽プロデューサーであった氏の豊かで幅広い交友関係を物語る、見てのとおり驚くばかりに豪華な出演者陣による素敵なひとときだった。フォーレのピアノ四重奏曲凄かったなあ。アダージョ(3楽章)冒頭の今井信子さんのヴィオラの音には鳥肌が立った。チェロの宮田大という人はまだ桐朋の学生だそうだが、これほどの大物演奏家達に交じって全くひけを取らず堂々と自己主張している。先が楽しみだ。2005年の日本音コン1位だそうだが、きっと近い将来もっと大きなところに名前が出てくるに違いない。
藤田弓子さんの朗読(ヴァイオリン独奏とナレーションのための作品)も楽しかった。こんなにきちんとマイクに乗る、きれいな日本語の発音は久しぶりに聞いたような気がする。
しかし谷川俊太郎さんって、ホントにどこにでもいそうな普通のじいさんなんですね…

また驚いたのは、出演者ではないが、当日のステマネを、かの舞台裏の神様、まあちゃんこと宮崎隆男氏がみずから務めていたこと。なんと今日の主役の故人より年上の御歳80歳(!)にして、両手に椅子でも譜面台でも2脚持って曲間の舞台上を忙しく立ち回っておられた。
舞台上でお姿を見たのは久しぶりだったが、今も水戸芸術館のステマネとして現役なのだそうだ。すごい…。こういう人にはいつまでもお元気でいてほしいものです。

萩元晴彦さんには、私が15年前にカザルスホール・アマチュア室内楽フェスティバル(ACF)に出場した際に、一度だけ間近にお目にかかったことがある(萩元さんは当時、カザルスホールの総合プロデューサーを務めておられた)。
当時都内で活動していた、東京シティウィンドアンサンブルという、付けたもん勝ちな名前のサクソフォンカルテットで出場した時のことだった。私は30歳になったばかり、最年長でアルトを吹いていて、最年少は16歳、かわいらしい高校生だったソプラノのSさん。先生と生徒のように歳が離れているので「師弟ウィンドアンサンブル」、とか言ってたっけ(^^;
ソプラノとアルトは向かい合って座るので、練習や本番の度に真正面から若く一途な音とパワーが飛んでくるのがとても楽しみで、また眩しかったものだ。
終演後のレセプションでは、萩元さんはSさんをつかまえてかなり長いこと話し込んでおられた。Sさんは当時既に、将来はプロになりたいと言ってレッスンにも通い始めていた頃だったので、演奏を聴いた萩元さんとしては、プロデューサー的に何か感ずるところがあったのだろうと思う。
Sさんが将来プロになって、ここカザルスホールでリサイタルを開く未来を夢見ていたあの頃だった。

Sさんはのちに芸大に進み、卒業後はオランダのアムステルダムへ留学、今はかの地でサクソフォンと笙の演奏家、作曲家として活躍中とのこと。
Sさんが日本に帰ってきたら、また何か一緒に面白いことをやりたいな、と思っていたけれど、結局すっかり向こうに居着いてしまったようだ。

カザルスホールはと言うと、ご存じのようにバブル崩壊後の紆余曲折の末、「室内楽の殿堂」を夢見た設立当初の理想とは似ても似つかぬ姿となって、今日に至る。
ホールの名前にも、今は頭になんだかどっかの大学の名前がくっついているけれど、私にとっては「カザルスホール」は常に「カザルスホール」であり、それ以外の名前で呼ぶつもりはない。

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2007.03.04

野木へ行く

暖かい1日。
私たちのアンサンブルでたいへんお世話になっている大栗司麻さんのコンサートにお邪魔するため、湘南新宿ラインを1時間半北上、栃木県南端の町、野木を訪れる。
昨年の4月以来、二度めの訪問。

20070304

催し自体は、リサイタルではなくて「0歳からのファミリーコンサート」と銘打った親子向けコンサートだけれど、われらがしまっぷー先生が年に一度こちら地元で主役を張る機会なので、これは聴かなければ。

20070304

写真はホールに貼られたポスター。チケットは完売の盛況。
ホールの外は、一面の畑。
お客さんはさすがにほとんどが子供連れだが、アンサンブルの仲間数人、その身内、元団員、またフランス帰りのS嬢やアクタスのT支配人など、東京方面からやってきた音楽関係者の顔も、そこここに。

打楽器の方をゲストに迎えて、1時間のショート・プログラム。
子ども向けのコンサート(に限らないが)で打楽器奏者の出番というのは、視覚的に惹き付けるものがあって、面白い。
入口で配られたシェイカー(ひまわりの種+フィルムケース使用)をみんなで振ったり、歌を歌ったり、それでも曲目の中には「タンゴの歴史」(ボルデル1900)やビゼーの「ハバネラ」のかなり技巧的な変奏曲など、ご本人的に吹き甲斐のあるであろう曲もしっかり入っている。

野木というところを二度めに訪れてつくづく思うけれど、大栗さんのストレートで率直な音楽性というのはこの、地も空もひろびろとした、地平線の見えそうな開けた土地で育って培われたものに違いない。
子どもの頃にどういう環境の中で育つかということが、その人の感性のかなりの部分を知らず知らずに決めてしまうということは、興味深くもあり、怖くもある。

ワタシゃというと、東京の下町(地理的には下町というほど下町ではなかったけれど、街の雰囲気は下町そのもの)の町工場の2階、朝5時から深夜0時半まで目の前5mをひっきりなしに電車が走り過ぎる私鉄の線路際、なんてところで育った者ですからね。
自分の演奏にも、そういうものが反映されているんだろうか?自分では判らないけれど。

いろいろな土地を訪れて、その地の音楽家の演奏を聴く、というのは、そんなわけでとても面白い、かもしれない…

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2007.03.03

休日はたとえばこんな風に

忙しくしている間に、いつのまにか3月になってるし。

朝、新宿2丁目の行きつけのお店へ。楽器のメンテナンス。
ソプラノを半年ぶりに調整してもらい、アルトをオーバーホールのため置いてきた。
アルトは買って今年でちょうど15年。プロの方や学生さんのようにしょっちゅう使っている訳ではないとはいえ、数ヶ月に一度の定期調整だけでよく頑張ってくれたもんだ。

昼前にいったん家に戻り、今度はソプラノとテナーを担いで、横浜みなとみらいへアンサンブルの練習に。
先週配った「真夏の夜の夢」のノットゥルノの、改訂版を配って合奏。
今日もテナーのメンバーは揃わないので、自分で代吹きして無理やりテナー三重奏を合わせる。気持ちいいぞ。
アンサンブル結成以来、自分としては修行のつもりでソプラノ吹いてるけど、基本的に自分の性格は内声向きだなと思っている。

また、ご承知のように?、25日の日本サクソフォーン協会アンサンブルコンクールの本選に通ってしまったので、昨年の演奏会で披露したメンデルスゾーンの(これもメンデルスゾーンだ)プレリュードとフーガを慌てて練習し直しているところ。
通過が決定してから本番までに、合わせは3回予定。今日は2回め。例によって例の調子だけれど、今年はこれでも多いほうだ(爆)。

Tirasi0703034時半で終了、解散。
次はミューザ川崎へ向かう。
ジーンズにジャンパー姿、サックス2本担いで、もうひとつ楽譜がいっぱい詰まった大きな鞄。コンサート聴きに行く格好じゃないな(苦笑)

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集#25

ショスタコーヴィチ/ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲(Pf:小山実稚恵)
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番
 指揮:高関健

東響はここ最近聴く機会が増えているけれど、老獪にプロフェッショナルなところと不自然に素人ぽいところが同居している、不思議なオーケストラだと思う。
ちなみに、東京在住のファンの間では常識だけれど、東京都交響楽団(都響)とは全くの別団体です。念のため。
今日は指揮者が高関さん(ドラえもんに似ている)だからか、なかなか良かったのではないか。

最初の「ステージ・オーケストラのための組曲」(つい最近まで「ジャズ組曲第2番」と呼ばれていた)は、非ッ常ーにベタにポピュラーな行進曲やワルツやポルカのスタイルを臆面もなく採り入れた、8曲からなる組曲。サックス4本(今日は波多江・松原・有村・東という変則スピリタスメンバー)、ピアノ、ギターにアコーディオンまで使われている。なかなかゴージャス。滅多に生でなんか聴けません。サックス良く聞こえました(^^)
ただこの曲、こういう立派な大ホールで、大編成のオーケストラでかしこまって聴くのが何か似合わない感じもする。せっかくバラエティに富んだ楽しい曲なのに、逆に単調に聞こえてしまうような。
紀尾井ホールくらいの大きさの場所で、それこそピットのオーケストラみたいなチープな編成で聴いたら、本当に底抜けに面白いかもしれない。

今日一番の聴き物は意外にも、2曲めのラフマニノフだった。小山さんメチャうま。いや、勿論昔から上手い人だけれど、今日はまた一段と冴えて聞こえた。音がでかいのはいつものことだが、この人の音がこんなに輪郭がくっきり立って、しかも透明な音色で聞こえてきたのは初めてのことかもしれない。会場との相性も良かったのかも。
高関さんの、普段はそれほど表に出てこない恐るべきバトンテクニックも、存分に堪能(この人、いつの間にか桐朋学園大の助教授になってたんですね)。
小山さんの、終演後の「えーっ、あたし、こんなに拍手もらっちゃって、良いんですかぁ」みたいな仕草が、私好きです。ぜんぜん不自然さがなくて、可愛い。

メインは「5番」。ものすごく自然で、純音楽的な解釈。率直すぎて物足りないと思う人もいるかもしれないけれど、良い演奏だったと思う。
この方向に深みが加われば、デプリースト師みたいな感動的な演奏になるのかも。

9時ちょっと過ぎに帰宅。
最初に家を出てから、12時間強。ふう…

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2007.02.26

練習場で演奏会

アンサンブル練習日。
とりあえず書き上がった「真夏の夜の夢」のノットゥルノを、音出し。
昨夜1時にはスコアが完成していたのだが、Sibelius2の挙動不審によりなかなかパート譜が出来上がらず、実際の完成は朝5時半。うぅ眠い。
冒頭のファゴット2本+ホルン独奏のアンサンブルを、せっかくテナー三重奏に書いたのに、今日は3人揃わなかったので実際の出来はまだ判らないが、今日鳴らした限りではそれほどヘンな音はしていないので、安心した。
まあ、そもそもが名曲なので、元々のスコアが良く書けているのだから、そのまま写せば自然に良い響きが出るというものだ。

夏に大きな本番がひとつ入った。
私たちにとって、もしかしたら楽団結成以来最大の晴れ舞台となるかも。
詳細はまだ明らかにできないけれど、楽しみだ。


練習室のあるみなとみらいホールの同じ建物内の小ホールで、サクソフォンアンサンブルSaxofono Rossoが演奏会をやっていたので、練習を早めに切り上げて(皆で楽器持ってぞろぞろと)客席にお邪魔する。

G.ピエルネ/民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
高橋伸哉/パッション:サクソフォーン三重奏
B.ウィーラン/リバーダンスより
C.ドビュッシー/ラプソディ
F.プーランク/三重奏曲
E.エルガー/序奏とアレグロ(八重奏)
チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割人形」(ラージアンサンブル、客演指揮:西尾貴浩)
同 /スラブ行進曲(同)

遠藤朱実さんの門下のアンサンブルチーム。
ウチのアンサンブルの卒業生が在籍していたり、逆にこちらの元団員がウチの現団員だったり、それ以外でもなにげに各方面での知り合いが乗っていたり、まあ、狭い世界ではある。
第1回の演奏会には、私のソプラニーノが出演したこともあります(^_^)
プーランクから聴けた。いい曲だ。エルガーも然り(もうちょっと易しければもっと演奏されるだろうと思うんだけれど)。それにしてもこのホール、8人くらいまでの編成だと本当に美しい響きがする。
30人近い人数が乗った最後のステージでは、いろいろな意味で限界も感じたが。
西尾さんの指揮ぶりは、相変わらず絶妙な濃さで、良かった。

お互い頑張りましょう。

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2007.02.21

都民芸術フェスティバル(その2)

Tirasi070220都民芸術フェスティバル オーケストラ・シリーズ/新日本フィルハーモニー交響楽団(東京芸術劇場)

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
同 /ヴァイオリン協奏曲(Vn:佐藤俊介)
同 /交響曲第2番
 指揮:小泉和裕

1月20日(日本フィル)に引き続いて、都民芸術フェスティバル公演へ。
今日は、最近少々ご無沙汰(今年になって初めて)の新日本フィルによる、シベリウス特集(「フィンランディア」は残念ながら間に合わず)。

思ったけれど、小泉さんの指揮はやはり都響でこそ本領が発揮されるようだ。
いつもながらオーケストラをたいへんに巧くまとめていたけれど、これが都響だったらおそらく、音楽そのものの形がもっと鮮やかに立ち上がってくるだろうと感じた。
また、小泉さんの大振りにオケが幻惑されたのか、なんとなくいつもの新日本フィルらしくない(良くも悪くも)音が出ていたような。今の都響だったら、そういう不自然さは絶対ないんだけど。

とはいえ、うるさいことを言わなければ充分楽しめる公演ではあった。チケットも安いし。今日もほぼ満席。
シベリウスの2番は最近別のオケでも聴いたけれど、木管とホルン、ティンパニの音色は、今日のほうが断然好み。
ソリストも、若々しく技巧も確かで、なかなかよございました。

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2007.02.18

saxophone day

Tirasi070218管打楽器シリーズ~Saxophone Day(東京藝術大学奏楽堂)

例年この時期に芸大サクソフォン科の演奏会があるのだけれど、今年は学校主催の公演として、芸大学内の奏楽堂を会場に、学生・教官総出演の豪華かつたいへん大規模なコンサートとなった。
これは、私Thunderとしては行かない訳にはいかんでしょう。

芸大の奏楽堂には、開館間もない頃に一度入ったきりで、どんなだったかすっかり忘れていた。キャパ1140、開館してもう9年くらい経っているはずだが、いまだ真新しい印象の本格コンサートホールだ。
それでも天井の照明が蛍光灯というところがなんとなく「学校の施設」というイメージを残している(^^;。
舞台正面のオルガンは芸劇のバロック面にそっくり(同じビルダーらしい。某教授の趣味なのかな)。

開演3時、終演は6時半近く。
1曲1曲についてコメントしている余裕がないので総体的な感想だけれど、長いコンサートながら、19世紀のショーピース・ミュージックから野平一郎のような最前衛に至るまで、その長い時間を無駄にしないだけの内容を聴くことができた。…と簡単に書いたけれど、それって大変なことですよ。改めて、芸大というのは空恐ろしい学校だと思った。ひとつの学校の先生と生徒だけで、これだけのことが出来ちゃうんだから。
冨岡・須川・平野という3世代の先生が、それぞれの持ち味をきちんと(生徒の演奏にも)反映させていることにも、言ってみれば当り前のことなんだけど、驚嘆。

当り前のことが当り前に出来る、というのは、「プロ」であることの第一条件だ。
「芸大」というのはプロを養成する学校である、という、前世紀から変わらない矜持を聴いたような気がした。

曲目・出演者は以下(少し変更があったようだが、とりあえずプログラム冊子の通り)。

F.ボルヌ/カルメンファンタジー
 石橋梓(A.Sax)、羽石道代(Pf)
石毛里佳/Trio(初演)
 田村哲(B.Sax)、下地亜依(Pf)、中山航介(Perc)
F.シュミット/伝説 Op.66
 作田聖美(A.Sax)、原田恭子(Pf)
J.M.ダマーズ/トリオ
 鳥井綾子(S.Sax)、杉田久子(B.Sax)、羽石道代(Pf)
E.ボザ/アンダンテとスケルツォ
 寺田麗美(S.Sax)、佐藤琴美(A.Sax)、荒木絵美(T.Sax)、角口圭都(B.Sax)
E.ショーソン/ピアノ四重奏曲Op.30より第1楽章
 高橋陽香(S.Sax)、鈴木崇弘(T.Sax)、大石俊太郎(B.Sax)、羽石道代(Pf)
林田祐和/4本のソプラノ、3本のバリトン・サクソフォンのためのラプソディ「記憶の欠片」(初演)
 林田祐和、伊藤あさぎ、荒木絵美、依藤大樹(S.Sax)
 細川紘希、須永和宏、坂口大介(B.Sax)
平野公崇/2本のサクソフォンのための練習曲(初演)
 平野公崇(A.Sax)、須川展也(S. & A.Sax)
野平一郎/サクソフォン四重奏曲
 須川展也(S.Sax)、石橋梓(A.Sax)、細川紘希(T.Sax)、坂口大介(B.Sax)
C.ドビュッシー(伊藤康英編)/ラプソディ
 冨岡和男(A.Sax)、平野公崇(指揮)、サクソフォンオーケストラ
山内雅弘/ 3 Movements for Saxophone Orchestra(初演)
 須川展也(指揮)

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2007.02.17

TKWOのフランス音楽

Tirasi070216東京佼成ウインドオーケストラ 第92回定期演奏会(紀尾井ホール)

E.ボザ/子供の序曲
F.シュミット/リートとスケルツォ(Hn:上原宏)
B.ゴダール(仲田守編)/3つの小品(Fl:前田綾子)
P.M.デュボワ(仲田守編)/ディヴェルティスマン(A.Sax:田中靖人)
R.アーン/バレエ音楽「エステ家のベアトリーチェの舞踏会」
G.オーリック/ディヴェルティメント
 指揮:下野竜也

東京佼成wo.の定期は普段、もっと大きな会場で開催されるけれど、年に一度、ここ紀尾井ホールでの時は、日頃あまり演奏されない管楽器のための室内楽的作品の特集で、たいへん興味深い。
今宵は、見てのとおりフランス系の作品でまとめられた、挑戦的な、あまり使いたくはない言葉だけど「マニアック」な、と言っていいプログラムで、ワタシ的にはたいへん注目度高し。しかも指揮は下野さんだし。
とくにレイナルド・アーンの「エステ家のベアトリーチェの舞踏会」が聴けたのが嬉しかった。管楽合奏による近代の擬古趣味風音楽、というのは(プーランクのフランス組曲をはじめとして)いくつか例を挙げることができるけれど、そういった類の佳作のひとつだと思う(演奏もいちばん良かったのでは)。
曲はどれも「小品」なので、コンサート全体を通じた統一感や印象がいまひとつ定まりにくいのは、まあ仕方がない。フロラン・シュミットの10管楽器のための「リートとスケルツォ」は傑作だと思うけれど、かといってメインプロにできるような曲ではないしね。
ボザの「子供の序曲」は、ミヨーが作曲した「ローマの松」、という趣。
サックス吹き的に注目の田中さんのデュボワ。楽器をヤマハに替えてからの田中さんの音は初めて聴くけれど、あの独特の繊細さが素直に表れるようになって、良いんじゃないでしょうか。仲田さんの編曲も溢れんばかりに色彩的で、原曲を超えたかと思ってしまった位だ。BRAVO!

全部が良かったかというと、うーむ、あとは…金管が少々雑なところが目立つのが、不満。どうしちゃったんだろう。フェネルが振っていた時代の、あのぴたりと方向性の揃った、魂を揺さぶるかのごとき響きを、もう一度聴きたい。惜しい。

saxまあ、なんだかんだ言っても、綺麗なホールに珍しくも楽しい曲目、と、よい演奏会だったと思う。

チラシに使われていたサックスのオブジェ(古い楽器の上から塗りをかけたようだ)が、ロビーに展示されていた。

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2007.02.15

午後8時のリサイタル

Tirasi070215平野公崇 サクソフォンリサイタル(浜離宮朝日ホール)

C.Ph.E.バッハ/シンフォニア ニ長調
J.C.バッハ/4つの四重奏曲Op.19より第1番 ハ長調
C.Ph.E.バッハ/ラ・フォリア
J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲より変奏26、19、7、30(クォドリベット)
 平野公崇(Sax)、松本和将(Pf)

平野さんのリサイタルをちゃんと聴くのはとても久しぶり。
今回は午後8時開演、休憩なしで少々短め(9時15分終演)、チケットも若干安め(2500円)、という珍しい催しで、調子づいて7時40分まで職場に居残って仕事してました。それでも間に合うから有難い。
客層はホールの固定客とおぼしき一般の方が多く、中高生などの若い方が殆どいなかったのが独特の雰囲気だった。

見てのとおり基本的に最新CD「シンフォニア」の流れの選曲だけれども、そこは平野さんそれだけで済む訳はなくて、最後の「ゴルトベルク」からアンコールへは、ピアニストも巻き添えにしての大即興演奏の応酬と化した。「ゴルトベルク」ではまだ、さすが平野さん、どこまで即興でどこから楽譜に戻ってるのか全然判らないなあ(明らかに判る場合も勿論あるけど)、などと感心している余裕もあったけれど、最後なんかもうすごかったんだから。「平均律のプレリュード2番、」とアナウンスしてから始めたのに、聞こえてくる音楽はピアソラかチック・コリアか、ってな勢いで、曲名などはもはや、演奏を最低限成り立たせるためのかろうじての約束事、という、ジャズのコード進行と同じ程度の意味しかなくなっていた。

平野さんって、勇気あるよなあ…。即興というものは、ここまで来ると技術や能力ではなく、その瞬間に思ったり感じたことを、どこまで「勇気を持って」実行できるかという、その一点にかかっているのだ、と痛感。
平野さんという演奏家の資質は、まさに、そこにある。
即興でなくても、演奏というのは、いや、人前で何かをするというのは、本来的にそういうもんなんだけど。

本プロがなんだかおまけみたいになっちゃったのは、コンサート自体の時間が短いので仕方ないところもある。
私が生まれて人前で初めて吹いたサクソフォン四重奏は(16歳のとき)、J.C.バッハのシンフォニアだったので、そういう意味でとても懐かしいというか、近しく聴ける曲目ではあったのだが。
こちらもここしばらくずっと3時とか4時就寝の日々が続いているので、「ラ・フォリア」なんか完落ちしちゃったし(^^;。
やー、気持ちよかった(^^;;

やっぱり、これだけ幅広い芸風を持った演奏家は、ひと晩フルに時間をとってじっくりと聴きたいですね。

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2007.02.10

フランスの風

Tirasi0702099日のこと。

レ・ヴァン・フランセ(大田区民ホール・アプリコ)

J.ケージ/管楽器のための音楽
F.J.ハイドン/ロンドン・トリオ第2番、第3番
T.エスケシュ/MECANIC SONG(日本初演)
ベートーヴェン/ピアノと管楽器のための五重奏曲
プーランク/六重奏曲

Les vents français(フランスの風)。現代の世界管楽器界の最高の顔ぶれを、自宅すぐ近所の区営ホールで聴けるというのは、なんと贅沢なこと。
素晴らしい音楽だった。彼らの巧さ、プレーンでストレスのない振舞い、作ったり習ったりしたものという感じがなく自然に湧いて出てくる音楽的感興というのは、日本人の管楽器奏者がいくら巧くなったと言っても、越えることのできない彼我の差だという気がする。

彼らの音楽は基本的にフランス・ローカルではなく、インターナショナルなものを指向していると思うけれど(ハイドン、ベートーヴェンにジョン・ケージという曲目からして、そうだ)、これが最後プーランクとなると、待ってましたとばかりに正調フランス方向へ演奏がギア・チェンジされるのは、さすがだ。それまで比較的ファゴット的な音を出していたジルベール・オダンのバソンも、この曲になると俄然「そう、これだよこれ!」という音色が表れてくる。これはもう「血」のなせる業ですな。
このプーランクの六重奏という曲の、さまざまな相反する要素が同居する複雑なキャラクターを、手品のように解きほぐしていく。2楽章の最後、このような楽しさとやすらぎと、そして「儚さ」を同時に痛切に感じさせてくれたというのは、類例がない。
アンコールになんと、ルーセルのディヴェルティスマン。フランス産のピアノ+木五という編成のマスターピースのひとつであり、本プロ、またメインプロでも全く違和感ない傑作だ。これが聴けたのは良かったなあ。

070209

終演後はロビーでCD即売会&サイン会なんぞを開催していた。スゲェ人数。

そのまま東中野へ出て、お誘いを受けていた、波多江さんをゲストに迎えた呑み会に途中合流。
これがまた楽しすぎ。明日早いので顔だけ出して帰ろうかと思っていたのだが、昨夜寝る前にちょろっと書いたとおり、結局2時間も居座って終電帰りとなりました(^^;。いやはや。

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2007.02.06

コンチェルト5曲

Tirasi070206明日を担う音楽家による特別演奏会2007-文化庁芸術家在外研修の成果(東京オペラシティ・コンサートホール)

メンデルスゾーン/6つのオルガンソナタより 第2番Op.65-2(Org:長谷川美保)
サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ(Vn:高橋和貴)
トマジ/サクソフォン協奏曲(Sax:有村純親)
ラヴェル/ツィガーヌ(Vn:瀬﨑明日香)
イベール/フルート協奏曲(Fl:甲斐雅之)
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第2番(Pf:高田匡隆)
 円光寺雅彦指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

当日券で聴いてきた。文化庁の肝入りによる、留学帰りの若手演奏家たちの饗宴。最初の方はオルガンの独奏で(オペラシティのオルガンはなかなかそれらしい雰囲気で良かった)、あとの5名はオーケストラとのコンチェルト。たいへん聴き応えのあるコンサートだった。
とくに後半(休憩後)の3人はそれぞれに素晴らしく完成された音楽家で、サックスの印象をかき消してしまうものがあった(^^;。最後のピアノの方は、このドッカンな曲を、透明で艶やかな音色を最後の最後まで保ったまま弾きのけていたし、フルートの方はさすがN響の現役団員、ステージマナーも含めて余裕をかましている。バックのオケを思いやったかのごとき絶妙なテンポ運びも、もはやベテランの風格だし。
先日須川さんのイベールの時にも思ったけれど、サクソフォンという楽器はレパートリー上のハンデをなんとかするのが急務だと思った。有村さんの演奏が悪かった訳では決してないのだけど、次の「ツィガーヌ」がそうだったように、その楽器そのものの持つ魅力や特質を100%発揮できる名曲を持ってこないと、こういう無差別勝負の場では勝てないことを痛感。

サクソフォンのそういう曲って、例えば? イベール、ドビュッシーのラプソディ(これ、地味だけどたいへんな名曲だと思う)、吉松の「サイバーバード」、あと何があるだろう?
良いコンサートだったけれど、サックス吹きとしては少々複雑な心境。

バックのオケは、指揮者のせいかオケのせいか、なんか知らん(どの曲も)反応が悪く、「もっと先へ振れよ!」と心の中で指揮者をドヤシつけながら聴いてました(^^;。
須川さんのコンチェルト演奏会(昨年9月)の時と同じオーケストラとは思えなかった。

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2007.02.04

都響プロムナード#321

Tirasi070203東京都交響楽団 プロムナードコンサートNo.321(サントリーホール)

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:岡崎慶輔)
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
 指揮:小泉和裕

昨日聴いたコンサート。

見てのとおりの名曲コンサートながら、お手軽な感じは皆無。満席(全席完売)のサントリーホールの華やぎの中、たいへん充実した時間が過ぎていった。
それにしてもこの数年、都響で指揮者に小泉さんの名前がある時の「外れ」の無さは素晴らしいものがある。単に技術的に安定しているだけでなく、演奏のスタイルの的確さが徹底しているので、どのようなプログラムであれ音楽に集中して楽しんで聴くことができる。
10年くらい前に小泉さんが都響の首席指揮者をしていた頃は、正直そんなにいいとは思っていなかったんだけど、小泉さん自身の円熟と都響のオーケストラとしての充実がリンクして進行しているように思う。

ソリストもなかなか良かった。最初ちょっと鳴りがいまいちかなとも思ったが、2楽章から先は全く文句なし。さすが、難関ミュンヘンコンクールで1位という経歴は伊達ではない。
ブラームス2楽章のオーボエソロは本間さん。ブラヴォー。

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2007.01.27

須川さんのイベール

アンサンブルの練習日。
朝、PCとiPod-miniがトラブルを起こして少々遅刻。iPod-miniのリセットコマンド(選択+menu)の存在を初めて知った。へぇー。まあ、なりは小さいけどコンピュータですからね、これも。

練習では相変わらずグラズノフ。難物。
出版されている五重奏楽譜の定番、リャードフの「8つのロシア民謡」を持参したので、初見で音出ししてみる。なかなか良いかも。

Tirasi070127終了後はサントリーホールへ移動。

東京交響楽団 第543回定期演奏会

細川俊夫/スカイスケープ(空の風景) 委嘱作品
イベール/コンチェルティーノ・ダ・カメラ(Sax:須川展也)
シベリウス/交響曲第2番
 指揮:大友直人

須川さんが「色物」でない正統的なサクソフォンのコンチェルト(特に、イベール)で東京のプロオケの定期に乗るのを聴くのは久しぶりだ。
マイクなし、アンコールなし。須川さんが主体として芸を聴かせるのではなく、オーケストラが自分たちの定期公演という場で、シンフォニーオーケストラのレパートリーとしてイベールを聴かせる、ということ。
客席も、サックス吹きがいっぱい押し寄せている、って雰囲気でもないし(それでも、長野から来ている友人にお逢いしたりとか、いる人は居ます)。
こういう機会がもっと増えて欲しいし、こういう場で演奏されるべきサクソフォンのレパートリーというものがもっと開拓されるべきだと、常々思っている。
演奏も、大きな破綻もなく(須川さん本人は後で「今日はほぼ完璧、」と笑っておられた)、お客さんを惹きつける音楽的感興もきちんとあるものだったと思う。
このイベールという曲はとにかく演奏が(ソロも難しいけれど、それにもましてバックのオーケストラが)難しくて、つい最近まであっちこっち傷だらけの演奏が当り前だった。たとえ曲を知らないと判らないような傷であっても、なんとなくうまくいかなかった雰囲気というのは普通のお客さんにも敏感に伝わってしまうもので、今日のような演奏が当り前に出来るようになった昨今というのは、日本のオーケストラの進歩を実感させるというものだ。

1曲めの細川作品。プログラムを手に取って開いて読むのも憚られるような、超繊細な音世界。いくつか聴いたことのあるこの人の作品と同傾向だった。
メインのシベリウス。なかなか流れのよい、オーケストラの持つ力を率直に解放した演奏で、実は大友さんって音楽が説明臭くてあんまり好きな指揮者じゃなかったのだが、今日はちょっと見直したかも。オーケストラの音色が明るすぎていまいちシベリウスらしくない、というのは贅沢な文句か。

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2007.01.24

小倉朗、間宮芳生、バルトーク

Tirasi070124東京都交響楽団 第639回定期演奏会(サントリーホール)

間宮芳生/合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」(TOKYO FM少年合唱団、世田谷ジュニア合唱団)
小倉朗/舞踊組曲
バルトーク/2台のピアノと打楽器のための協奏曲(Pf:田部京子、小川典子、Perc:安藤芳広、小林巨明)
バルトーク/舞踊組曲
 指揮:高関健

職場を出ようとした寸前に無理難題が舞い込んで、一番楽しみにしていた1曲めの「子供の領分」が聴けなかった。
会場のサントリーホールに着いたら、ちょうどロビーのスピーカーから、懐かしさにあふれた児童合唱とオーケストラによるわらべ歌の響きが聞こえていた。…

今回のテーマは「音楽における民俗性」ということのようだが、1曲めを欠いた曲順で聴き進むと、民族的とは言ってもいささか抽象化が進みすぎた強面な音楽が並んでいる印象だった。
演奏は実に唖然とするばかりに見事なもので、そういえばバルトークの「舞踏組曲」、10年くらい前に古巣バンドで吹いたっけなあ、と思い出したが、とてもじゃないがこんなにコンパクトにすっきりと見通し良くなんてまとめられるもんじゃない。高関さんさすが。恐れ入りました。良い仕事してますなあ。

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2007.01.20

都民芸術フェスティバル

休日。恒例、青梅へ父の見舞い。
帰りは県境の山を越えて、飯能経由で池袋に出る。
東武デパートで、恒例の北海道物産展をやっているので、10Fに上がり、ものすごい人渦の中、一巡。
マルセイバターサンドを無事入手。(^^)

Rokkatei

さて、本日の本題、東京芸術劇場へ。

都民芸術フェスティバル オーケストラ・シリーズ/日本フィルハーモニー交響楽団

オッフェンバック/「天国と地獄」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調(Vn:神尾真由子)
ドヴォルザーク/交響曲第8番
 指揮:北原幸男

毎年恒例、東京の8つのプロオーケストラが日替わりで登場する、都民芸術フェスティバルのオーケストラシリーズ。
名曲プロで、チケットも比較的安い(最高で\3800。今日は3階の最前列だったが\2800)ので、親子連れ等で賑わっている。今日もほぼ満席。
毎年、この中からいくつか選んで聴き比べる(数年前には、セット券を買って全部聴いたこともある。さすがに最近は忙しくてそこまではできないが)というのは、江戸っ子の粋のようなもんだ。

久々に聴く日本フィル
明るい音色と、前向きな演奏が好ましい。前向き過ぎて時々荒っぽくなっちゃうのも、このオーケストラならでは(^^;。そういうところが面白いんだけどね。
弦の響きがなんか薄くてtuttiになると金管に負けてるとか(その金管の音色にしても、いささか私の好みとは違うが)、言えばいろいろあるけれど、ま、いいじゃないですか。
真由子ちゃんも今年で20歳か。早いものだ。

アンコールに、ドヴォルザークのスラブ舞曲第10番(op.72-2)。

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2007.01.19

ミヨー、オネゲル、松村禎三

Tirasi070119東京都交響楽団 第638回定期演奏会(東京文化会館)

松村禎三/管弦楽のための前奏曲
同 /ピアノ協奏曲第1番(Pf:野平一郎)
ミヨー/ケンタッキアーナ
オネゲル/交響曲第5番「3つのレ」
 指揮:下野竜也

都響の1月の定期は毎度、20世紀日本の古典的名作と、それと対置するヨーロッパの傑作、というコンセプト。N響のmusic tomorrowに対抗する?「music yesterday」なんだそうだ。
プロデューサーの別宮貞雄氏と今月のゲスト指揮者との鼎談がこちらにupされている。なかなか興味深い。

今回のテーマは、「音楽における真面目」ということだろうか。松村もオネゲルも、なんというか、常軌を逸して真面目なのですよ。ある意味、ちょっと困ったもんだ、ってくらいに。
間に挟まれたミヨーのノーテンキに明るい響きは、この流れの中では一見異質で、演奏終了後の拍手はかなり当惑を含んでいたけれど、音楽はかくのごとく多様であるべきだ、という考えを妥協なく実行に移す、というところが、やはり真面目。
指揮者の下野さんというのがまた、ホント、真面目な人なんですねえ…。この人とオネゲルって、すごく合ってるかも、と思った。

オネゲルの「3つのレ」という題の由来は、3つの楽章の最後の音がすべてティンパニの「レ」の音の一打で終わるからだそうで、しかもティンパニはそれ以外に一切出番がない(@_@)。
今日のティンパニ奏者は、舞台上手の一番客席寄り、コントラバス群の手前(!)に楽器1個だけ置いて、そこで叩いていた。私の席からは見えなかったが(3階のサイドブロックだったので、ちょうど真下あたり)、見えていたら面白かっただろうなあ。

野平さんのピアノは、相変わらず人間業じゃなかった。

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2007.01.14

井上麻子・大城正司ジョイント

Tirasi070114大城正司&井上麻子saxophone concert(アーティストサロンDolce)

イベール/2つの間奏曲
C.ロバ/アルス
ミヨー/組曲op.157b
ラヴェル/クープランの墓より
プーランク/ピアノ、オーボエとバソンのための三重奏曲
 大城正司、井上麻子(Sax)、藤井快哉(Pf)

パリ音楽院をプルミエプリ(一等賞)で卒業、大阪音大の先生を務める井上さんが来京。沖縄出身で芸大卒・管打コン一位、東京で活動しつつ洗足学園と岡山(くらしき作陽大)で教鞭を執る大城さんとの、デュオのコンサートを聴く。
遠隔地の名手の異色の組み合わせであり、さほど大きくない会場は立ち見も出る大入り。曲目もワタシ好みのフランスづくしで、じつに楽しかった。

豊かでおおらかなサウンドと繊細な音楽性の持ち主の大城さん、細身で鋭くエッジの立った音色で男前!な音楽を奏でる井上さん、という具合に、おふたりはなかなか対照的な音楽の持ち主なので、どちらかというと同じ楽器(ソプラノ同士とかアルト同士)の前半よりも、楽器を違えた後半(ラヴェルとプーランク)のほうが率直に楽しむことができた。クープランの墓、最近あまり聴いていなかったが(いくら良い曲でも、さすがに30年も聴き続けていると少々飽きるので)、いやこれ、やっぱりいい曲だわぁ、と改めて実感。プーランクも、今回ソプラノとテナーでの演奏だったが、よく聴く(自分でもやったことのある)ソプラノ&バリトンの組み合わせよりも、フランス式のバソンを使った時の原曲の雰囲気に近いかもしれない、と思った。

プーランクの最後の最後、2人の奏者がオクターヴのユニゾンで締めくくりのメロディを朗々と吹くところが、大好きだ。
ふたりで(あるいは、誰か自分以外の他人と)一緒に音楽をするということの、本当に根本的な喜びと幸福感を炸裂させるような。
#自分で吹いていると、途中でいろいろいろいろあって大変だけれども、最後で全部報われた気分になれる。

アンコールに、フォーレの「ドリー」よりスペインの踊り、「スカラムーシュ」の3。

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2007.01.12

新春を寿ぎ

Tirasi070112東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第7回ティアラこうとう定期演奏会

近衛秀麿編/越天楽
ドビュッシー/交響組曲「春」
グリーグ/ピアノ協奏曲(Pf:海瀬京子)
シューマン/交響曲第1番「春」
 指揮:矢崎彦太郎

東京のオーケストラの今年初聴きは、ご覧の通り「新春」にふさわしい実に洒落たプログラム。めでたし。
ティアラこうとうというホール、自分が乗ったことはあるけど客席で聴くのは初めてかも。もっと遠いかと思っていたら意外と近かった。職場(新橋)からだと芸劇やオペラシティよりよほど近い。小さめのホールなのでオーケストラが近く感じられてよい雰囲気だ。

雅楽の響きを見事に西洋のオーケストラに移し替えた「越天楽」で幕開き。
近衛秀麿のオーケストレーションには、なぜか唐突にソプラノ・サクソフォンが1本含まれているのだが、管の音色にサックスが含まれるということが、今日のような会場で聴くと非常に効果的に感じられる。なるほど、そういう響きの効果を狙ってたんですね、近衛秀麿慧眼なり(奏者は波多江さんのようでした)。
2曲めはドビュッシーの「春」。これが聴きたいがために行ったようなもんだ。「苦しげに生まれ、成長し、やがて花咲き歓喜に達する自然の姿」を、若き日のドビュッシーならではの濃厚で炸裂するような色彩感で描いた音楽。滅多に生では聴けないけれど、新春コンサートでこの曲をとり上げるなんて、なんという素晴らしいセンスだろう。演奏も今日の中で一番良かったのでは。
休憩前はグリーグ。ソリストは2005年の日本音コン1位というお嬢さん。東京音大の院生だそうだ。写真より実際のほうがずっとかわいらしいので、写真撮り直してもらったらいかがでしょう(本人は美人なのに、写真というと必ず顔が引きつって写っちゃう女の人って時々いるけれど、そういう方なのかしら(^^;)。最初のソロで音を派手に外してヒヤッとしたが、その後は堅実にかつダイナミックに弾き通していた。オケが(指揮者が?)もっとちゃんと付けていればなお良かった。
休憩後はシューマンの「春」。1楽章の序奏はなんだかふらふらしていたが、尻上がりに調子が良くなってきた。しかしシューマンの交響曲をちゃんと聴かせるのって、難しいんですねえ。

帰りがけにロビーで、志田さんに新年の挨拶。
終演後のロビーに楽団員の方が出てきてお見送りをしてくれるというのは、なかなかいい感じですね。

来年度だが、シティフィルの5月の定期で、なんとイベールの「祝典序曲」が演奏される!
これは、会社休んででも行かなければ。
後ろがオネゲルの交響曲第2番とプーランクのグローリア。「祈り」を感じさせる選曲だ。ジャン・フルネ師もかつて、終戦50年の年の都響客演の際に、やはりオネゲルの交響曲とプーランクのグローリアという曲目を組んでいた(そのときは3番)。
フランス音楽の「精神性」というものに触れる、貴重な機会になるかもしれない。

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2007.01.08

今日は静岡行き

今日は、(ほとんど恒例となりつつある)静岡へ。

シンフォニエッタ静岡 Sinfonietta Shizuoka, JAPAN 第4回定期演奏会(静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップ 中ホール「大地」)

J.シュトラウス2世/美しく青きドナウ、皇帝円舞曲、ポルカ「狩り」
マーラー/交響曲「大地の歌」(室内オーケストラ版)
 Ms:原田和加子 Sp:岡本実佳、斎藤晴美
 指揮:中原朋哉

冬晴れの好天の中、東海道線各駅停車に2時間半、トロトロと揺られてのんびりと会場へ向かう。
会場のグランシップ10階の展望台から富士山を撮ってみたんだが…これだと判らんなあ(画面中心より少し左、雲と一体化している)。

070108

前半のヨハン・シュトラウスは、17人編成程度に編曲されたバージョンだったけれど、こういう誰でも知っている有名な曲というのはなかなか厳しいものがあるなあ、と痛感。演奏上のちょっとした傷やアンサンブルの乱れ、メンバーひとりひとりが何かの加減で少しばかり音楽的に「後ろ向き」になってしまうこととかが、たちどころにマイナスポイントに直結してしまう。
休憩後のマーラー(シェーンベルク編曲による室内オーケストラ版)のほうがずっと聴き応えがあった。このバージョンは初めて聴いたのだが、全員がソリスト、みたいな線的な書法の楽譜なので、若さゆえのアンサンブルの練り上げ不足がそれほど気にならない(多少事故があったようだが、あまりよく判らなかった)。後期のマーラーの香りを聴くことができた。実際、メンバーも前半よりはるかに確信を持って弾いている、という印象だったし。
独唱は珍しくもソプラノとメゾソプラノで、ソプラノは1楽章と3・5楽章を2人で分担していた。ワタシ的には3・5楽章を歌った方が好みかな。メゾの方は熱唱だったけれど、もうすこし翳りのある声であればなお良かった。

終演後は、指揮者の中原氏と少しばかり話をしてから帰途につく。
とりあえず来シーズンも通うことにしている(9月シーズンはウチの演奏会とガチンコなので無理だが)。こうやってある程度の人数を束ねてプロとしてやっていくのは大変だと思うけれど、頑張ってほしいと思う。

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2007.01.01

謹賀新年

おけましておめでとうございます。
本年も拙ブログ「Thunder's音楽的日常」、ならびに本家サイトThunder's Webをよろしくお願い申し上げます。

Tirasi061231さて、とりいそぎ、昨夜の年越しコンサートのご報告。

岩城宏之追悼 ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2006(東京文化会館)

交響曲第1番(指揮:下野竜也)
交響曲第2番(指揮:岩村力)
休憩(15分)
交響曲第3番「英雄」(指揮:大友直人)
休憩(15分)
交響曲第4番(指揮:高関健)
交響曲第5番(指揮:井上道義)
休憩(60分)
交響曲第6番「田園」(指揮:秋山和慶)
休憩(30分)
交響曲第7番(指揮:小林研一郎)
交響曲第8番(指揮:ジャン=ピエール・ヴァレーズ)
休憩(30分)
交響曲第9番「合唱付」(Sp釜洞祐子、At坂本朱、Tn佐野成宏、Br福島明也、晋友会合唱団、指揮:外山雄三)
 イワキオーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)

昨年亡くなった指揮者岩城宏之の、最晩年のライフワークだった、ベートーヴェンの全部の交響曲を一気に聴いてしまえ、という演奏会。
休憩込みで9時間半、普通のクラシックコンサート4つ分。こういうおバカな(失礼)コンサートが実現できるのは、電車が終夜運転する大晦日しかあり得ない。私の場合は岩城氏云々というより、1回のコンサートでこれだけの指揮者の聴き比べができるというのが単純に面白いので、話のタネに聴きに行ったようなものだったが…

061231

ロビーには、岩城氏の遺品のスコアや燕尾服等が展示されていた。
また、スポンサー企業による焼酎の試飲コーナーや、血圧測定コーナー(^^;が開設されたり。
客入りも、最初少し空席があったけれど、「5番」が始まる頃にはほぼ埋めつくされ、満席の賑わい。

臨時編成のオーケストラ(コンマスはN響篠崎さん)は、弦は札響、新日本フィル、仙台フィル、広島響、大阪センチュリー響の若手コンマスを第1ヴァイオリンに入れている以外は、ほぼN響のメンバーが中核。というわけで、充実した音量といい、弱音の浸透性といい、指揮者が何をやらかしても崩れないアンサンブルといい、基本的にN響のキャラクターだった。
それに比べると管はかなり寄せ集め、という感じ。ホルンに出演予定だったN響の松崎さんが急病で休まれたのがかなり痛かった様子。基本的に交代で吹いていたが、ただ一人クラの横川さん(N響)だけは1番から9番まで一人でトップを吹き続け(!)、第9アダージョの見せ場までちゃんとその美音を保っていた。スゲェ…。

さすがにこれだけたくさん一度に聴くとなると、大雑把な聴き方しかできないけれど、とにかく同じメンバーのオーケストラでも指揮者が変わると全く音が変わる、ということを徹底的に実感出来たのが、楽しかった。
指揮者がオーケストラから引き出す音というのは、人の声や楽器の音色と同じ、その人独自のものなのだ。
若さの炸裂する、エッジの立った音が飛んでくる下野氏、ただひとりベーレンラーター版使用、対向配置でコダワリを見せた高関氏、天衣無縫な鳴らしっぷりを存分に見せてくれた井上氏、疲れの見えてきたオケに鞭を入れるようにスケール大きく走らせるコバケン氏。
圧倒的に美しい(あるいは、整った)声の持ち主といったら、秋山氏だろう。1時間の大休憩のあと一発めに出てきた、今までと別のオケのようななめら~かで練れた音色には、驚嘆。


15時30分開演、終演は明けて翌1時。いやはや、さすがに疲れた。
演奏された皆さんは、もっと疲れたことだろう。お疲れさまでした。

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