カテゴリー「コンサート(2005年)」の記事

2005.12.21

終わった。

昨日に引き続き、都響定期第2夜(東京文化会館)。
ジャン・フルネのラストコンサートが、満場のスタンディング・オベイションの中、終演。
…聴き終わったら泣いちゃうんじゃないかと思っていたけど、意外とそうはならなかった。フルネさんの音楽が、虚仮おどしの感動の押し売りや安っぽいドラマ性とは最後の最後まで無縁だった、ということ。

今日も、昨日にもまして素晴らしい集中と献身に支えられた演奏だった。ホールのせいもある。改めて東京文化会館って良いホールだと実感した。2階センターで聴いた昨日のサントリーホールよりも、3階左翼席で聴いた今日の東京文化のほうがずっと克明でバランス良く綺麗な響きで聞こえた。
(音の好き嫌いはあるだろうけれど、東京文化会館を「響きが悪い」とかって言う人は、ハッキリ言って音痴だと私は思う。)
会場にテレビカメラが入っていた。1/22の教育TV「芸術劇場」で放映されるそうだ。皆さん是非ご覧になってみてください。

コンサートの最後には、楽員を代表して山本コンマスからフルネ夫妻(奥さんはオランダ放送フィルのコーラングレの名手、ミリアム・ジェイクスさん。以前の奥さんは10年以上前に先立たれ、最近再婚されたそうだ。昨日今日と1曲目の「ローマの謝肉祭」序曲で素晴らしいソロを披露された)に、花束と「都響永久定期会員証」という巨大なチケット型の感謝状が手渡された。
拍手鳴りやまず、オーケストラが全員引っ込んだ後、二度もステージに呼び返されていた。…

これで、本当に終わったんだなー、と、「ジャン・フルネ」の名前のない都響来季の公演日程表を眺めながら、感慨。
フルネさんの指揮を初めて聴いて驚嘆したのが、ちょうど20年前。当時フルネさんは72歳、既に今の私の父と同じ歳だった。もう次は聴けないかもしれない、聴ける時は聴こう、と思って、以来来日する度の「オッカケ」が始まったのだった。
まさか、その後20年も、そして本当に最後の演奏会まで聴き続けることが出来るなんて、思いもしなかった。

ジャン・フルネ。偉大なその音楽と素晴らしい人生に、感謝。

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2005.12.20

ジャン・フルネ引退公演、始まる

tirasi560東京都交響楽団 第618回定期演奏会(サントリーホール)

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番ハ短調K491(Pf伊藤恵)
ブラームス/交響曲第2番
 指揮:ジャン・フルネ

明日もあるので、簡単に。

聴く方は気を入れて-少し緊張もして臨んでいる引退公演ながら、今年1月の600回記念定期以来11ヶ月ぶりに見るフルネさんは、いたっていつも通りのフルネさんだった。まるで、来年になればまたいつも通り東京に現れそうな雰囲気も感じさせつつ。
ブラームスの2番。最後がフランス音楽でないのはちょっと残念だけど、こういう、日常の中の幸せのような雰囲気の中、のんびりと美しい響きを紡ぐ音楽というのは、フルネさんのような音楽家の最後にふさわしいのかもしれない。

演奏は素晴らしかった。都響の底力を再び見た思いだ。この指揮でこういうふうに弾くかあ。皮肉とかではなく、本当に感心した。
明日の東京文化会館、第619回定期が、本当の最後となる。

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2005.12.10

【聴いた】ベートーヴェン、シューベルト、エマール

tirasi558昼間は東京芸術劇場へ。
ピアニストのピエール=ロラン・エマールが現在来日していて、是非聴きたかったのだが、ソロリサイタルの日程が自分の予定とことごとく合わなかったので、読売日響とのコンチェルト(ベートーヴェンの3番)を聴いたという訳。

3階天井桟敷のG席(2000円)に座る。S席、A席、B席と来て一番安い席がなぜG席なんだろう、読売だからジャイアンツと関係あるのかしらん、そんなばかな、と思っていたらGalleryのことだそうだ。言われてみりゃその通りだが。
大きなホールの最上階後部は、壁や天井が近くて反射音が多いせいか意外とよく聞こえることが多い。東京文化会館の5階席が良い音なのは有名だし。

で、勿論ベートーヴェンは素晴らしかったのだが、後半のシューベルト「グレート」がまた、凄く良かった。
全く隙がなくよく整った響きで、しかも瑞々しく、まさにウィーン流儀というのか、なんとも魅力的な音。音色自体は9月に聴いたロジェストヴェンスキー(読響名誉指揮者)指揮の時よりずっと素敵だと思った。
指揮はカルロス・カルマー。知らなかったのだが、あのデプリーストの後任として2003年からオレゴン交響楽団の音楽監督を務める人らしい。なるほどねぇ。

ふと思い立って行ったにしては、非常に得たものの大きいコンサートでした。

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2005.12.04

静岡遠征

友人の指揮者・中原朋哉氏が今般新しく立ち上げた室内オーケストラ、シンフォニエッタ静岡のデビュー公演(島田市 プラザおおるり)を聴きに、新幹線で往復してきた。
旅先で聴くコンサートというのは、気分的にも独特のものがあって後々までも印象に残ることが多い。この楽団はまた特別で、なにしろ9月の依頼公演では私自身がエキストラとして呼んでいただいていたということもあった訳で。おかげでもう一方の音楽監督の志田さん(ピアニスト)から、常連裏方のSちゃんに至るまで、顔見知り多し。

リンク先を見ると判るとおり、教育プログラム、室内楽、オーケストラそれぞれのステージを独立させた4回公演で、チケットも別、客もその都度入替えという、あまりないスタイルだった。
トマジの「芸者の遊び」なんて曲がこっそり入ってたりして、なにげに意欲的なのだが、プロの楽団ということで考えると、演奏レベルはともかくとしてもう少しお客さんの数を確保したいところだ。言うは簡単だが。
お客さんを増やす方法、なんてものが簡単にあるのなら私だって教えてもらいたいぞ。

今の時代、演奏団体を新しく立ち上げるというのは冒険だけど、頑張って欲しいと思う。
簡単ながら、明日も早いのでとりあえずこのへんで。

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2005.11.27

【聴いた】ラフマニノフづくし

tirasi557東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズ・作曲家の肖像#58 ラフマニノフ

ピアノ協奏曲第2番(Pf横山幸雄)
交響曲第2番
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

早々に全席完売していた話題の公演。これもやはり「のだめ」効果?
最初から最後まで、アンコールもラフマニノフ(ピアニストはプレリュードop.32-12、オケは「ヴォカリーズ」)の、お腹いっぱいのコンサート。といっても、ロシア的なコテコテさよりも、ヒューマンで人生肯定的な暖かさとおおらかさ、しかしそれでも細部はとても繊細な印象、を感じるのは、やはりデプリーストさんだからか。
4日前のときとほとんど同じ席なのに、聞こえてくる弦の量感は全然違う。そう、こうでなくっちゃ!

デプリースト月間の最後を飾るにふさわしい、充実した演奏だった。
さて、来月はいよいよジャン・フルネのラストコンサートであります。
楽しみ、という言い方は違うし、こういう場合何と言ったらいいんでしょ。

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2005.11.15

【聴いた】フォーレ

tirasi5552日続けてのコンサート通い。
今日の曲目は、昨日とうって変わってフォーレのピアノ四重奏曲第2番とピアノ五重奏曲第2番という、超渋い2曲(カザルスホール)。

フォーレといえばこの人、堀江真理子さん。
フォーレの室内楽曲やピアノ曲は大学生の頃から聴いてはいたけれど、自分のものとして本当に愛好するようになったのは、この方が1993~95年にやはりここカザルスホールで開催した全曲演奏会を聴いて以来のことだ。恩人です。
ヴァイオリン澤和樹、ヴィオラとチェロはフランスより駆けつけたパリ音楽院の先生2人。演奏も万全。凛々しく気高く美しい音の奔流を楽しんだ。2ndVnのお姉さん、知らない名前の日本人奏者だったが、弾いている時のお顔が実にステキでした。


今日はサーヤ(紀宮さま)&黒ちゃんの結婚式。TVとかはその話題ばっかり。
別にワタシは国粋主義者ではないけれど、日本国民のひとりとして率直にお祝いしたいと思います。
ということでBGMは、フォーレの「祝婚歌」(組曲『シャイロック』より)。
これほど幸福感というものを感じさせる音楽はそうそうないと思う。
演奏は、ジャン・フルネ指揮・東京都交響楽団でどうぞ(Fontec/FOCD9217)。

cd007

さて、今日はこれから明日締切りの原稿1200字、というのに呻吟する予定。
この原稿が何なのか、という話は、時間がないのでまた後日。

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2005.11.14

【聴いた】ショスタコ1番

tirasi554東京都交響楽団 第616回定期演奏会(東京文化会館)

武満徹/弦楽のためのレクイエム
モーツァルト/協奏交響曲K364(Vn矢部達哉、Va鈴木学)
ショスタコーヴィチ/交響曲第1番
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

都響の後期シーズン開幕の11月は、われらが常任指揮者ジェイムズ・デプリーストの月間。
後半のショスタコーヴィチが期待通りの素晴らしさ。出だしはちょっと呼吸が合わないところはあったが、控えめなテンポで精確に進んだ2楽章から先は、3楽章の灼けつくような響きからフィナーレの息を呑む盛り上がりまで、文句なしの仕上がり。「1番」ってこんなにすごい曲だったんだ。内容の凝縮ぶりは後期の長いシンフォニーに負けやしない。こんなものを音楽学校の卒業制作として作ってしまうんだから、まさしく天才だ。
前プロは少々物足りなかったかな。武満作品はデプリーストさんが振るならもっと似合いそうな曲がありそうだし、モーツァルトはオケとソリストに任せて指揮を降りてしまった。矢部さん達のモーツァルトはそれはそれで美しく、楽しかったけれども。

デプリースト氏は今般、アメリカ合衆国の文化勲章にあたるNational Medal of Artsを受賞し、10日がホワイトハウスでの授与式だったそうだ。ということは式を終えてすぐに東京に飛んで、翌11日からの練習に臨んだことになる。指揮者ってタフだなあ。少々お疲れだったのかもしれない。

来年度(2006-2007シーズン)の主催公演ラインナップも発表された。
7年ぶりのエリアフ・インバルの客演が、何といっても楽しみ。R.シュトラウス(アルプス交響曲)とショスタコ11番ですか。
全体に、マーラーと近代フランス物がほとんど見当たらないのが、都響らしからぬところだが。

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2005.11.13

フランセばっかり

相方の祖父の米寿を祝って、この週末は一族が熱海に集まったので、私も行ってきた。
妹夫婦の子供と曾祖父の対面式ということでもある。それにしても初子の赤ん坊というのは地上最強のアイドルですな。
お宮の松を初めて見ました。しかしこの、貫一がお宮を足蹴にしている場面というのがブロンズ像になっていて、夜になるとライトアップ;されるんだとか。なんだかなあ。

tirasi553帰宅途上、横浜経由で大岡山に寄って、コルドンブルー室内管弦楽団を聴く。
11日のエントリにも書いたとおり、全部ジャン・フランセ(1912~1997)の作品のみによる室内楽演奏会。木管四重奏曲、恋人たちの時間(木五+Pf)、ディヴェルティスマン(木三)、八重奏曲。会場のルーテル大岡山教会は、靴を脱いで上がる本当に普通の街中の教会の礼拝堂だった。

旅疲れで眠くて記憶はところどころ飛んでいるけど、全体を通してフランセという作曲家の面白さがちゃんと伝わるに足る演奏だったのには正直、感心した。勿論フランセの作品は技巧的に格別に難しいので、演奏そのものは言えば色々なことは言えるにせよ。
こういう演奏会だったら、私も仲間を引き連れてフランセのサクソフォン小四重奏曲(Petit quatuor pour saxophones)をご紹介差し上げたかったものだ、と思った。
1曲めと3曲めに乗ったクラリネット奏者のセンスの良さに感心した。
アンコールの2曲めは要らなかったかな。

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2005.11.04

未知の才能

tirasi552飯野明日香 ピアノリサイタル(東京文化会館小ホール)

エスケシュ/二重の戯れ
フォーレ/バラードop.19
プーランク/即興曲集より第1、3、7、15番
同 /『ナポリ』より イタリア綺想曲
ロパルツ/夜想曲第1番
メシアン/『幼子イエズスにそそぐ20のまなざし』より
 「ノエル」「預言者と羊飼いと東方三博士のまなざし」「聖母の最初の聖体拝領」「喜びの精霊のまなざし」

飯野明日香(いいの・あすか)。見るのも聴くのも初めてのピアニスト。
偶然告知を目にして、こういうプログラムでリサイタルをする若い(たぶん20代終わりか30代そこそこ)ピアニストってのは一体どんな人なんだろう、と俄然興味を持ったのだ。

まあ、こういう曲目を選んでくる時点で、そもそも只者ではない。音の立ち上がりのスピードの物凄く速い、クリスタルな硬質のタッチと技巧を駆使した、素晴らしい才能だった。鮮やかな音色を持った人なので、メシアンやプーランクの「イタリア綺想曲」のような、派手に明滅する色彩を持った曲がよく似合う。
楽しみにしていたロパルツも、なかなか良かった。北海沿岸の曇天に覆われた風景の中に、祭りのざわめきの幻想が聞こえてくる。幻影はやがて去って、辺りはもとの曇天。でも、さっきまでとは何かが違っている。そんなイメージ。くすんだ色の風景を描くからといって、最初からくすんだ色の絵の具を用意すればいいってもんでもない訳で。
アンコールにラヴェル「水の戯れ」。見事っ!!

この人の名前は、覚えておこうと思う。12/4には、オペラシティ内の近江楽堂でフォルテピアノのリサイタル(メインプロはベートーヴェンのワルトシュタインで、あとハイドンとフンメルの作品)を開くそうで、想像以上に多才な方のようだ。
練習日でなければそちらも聴いてみたかったが。

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2005.10.26

「エニグマ」再発見

tirasi551東京都交響楽団 第615回定期演奏会(サントリーホール)

ウォルトン/行進曲「宝玉と王の杖」
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:神尾真由子)
エルガー/エニグマ変奏曲
 指揮:小泉和裕

今季(2005年前半)最後の定期。
期待どおりの、なかなか良い演奏だった。ウォルトンがすっきりと(ある意味想定範囲内で)仕上がっていたのはともかく、聴く前は小泉さんのイメージとちょっと結びつきにくかった「エニグマ」が、たいへん模範的に鳴っていたのが印象的。イギリス人の演奏とは微妙に流儀が違うけれど、オーケストラのあるべきサウンドとしては実に見事なものだ。思わず楽譜を見直したくなるような新鮮な発見も多い。第7変奏のトロンボーンを完全にレガートで吹いていたり(スコアを見ると確かにスラーが書いてある)、第13変奏のティンパニのppのロールを素手で叩いて非常にいい雰囲気出してたり(スコアにはスネアドラムのスティックで叩く指示があるのだが、静かな部分なので打撃音が目立ちすぎて不自然に聞こえる場合が多いのだ)。
真由子ちゃんは8月のベルク以来か。とってもひたむきなソロで応援したくなるんだけど、まだ若いのにちょっと仕事させられ過ぎ、みたいなところもある。

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2005.10.21

ボッセさんのハイドン

tirasi550東京都交響楽団 第614回定期演奏会(東京文化会館)
 指揮:ゲルハルト・ボッセ

楽しみにしていたボッセ翁のバッハ&ハイドンプロ。職場を出遅れて前半のバッハ(ブランデンブルグ6番と管弦楽組曲4番)は間に合わず、後半のハイドン(交響曲第1番&第92番『オックスフォード』)だけ聴けたが、いや、見事なものでありました。83歳だそうだが、ぜんぜん歳を感じさせない軽やかに引き締まった音楽の運びとアレグロ楽章の快活なテンポ。
「『クラシック音楽』とはこういうものだよ、キミたち!」とニコニコ顔で(決して謹厳実直でなく)言ってくれているような、そんな充実感があった。
オーケストラの編成は10型(10-8-6-4-2)。東京文化のような会場でハイドンをそれらしく鳴らそうとしたら、まあ、このくらいが妥当なのだろう。


さて、当ブログも開設して8ヶ月余、エントリのカテゴリー分類の中で、やはり「コンサート」という分類のものが突出して多いことがはっきりしてきたので、一番機会の多い都響のコンサートに関しては独立したカテゴリーを設定することにした。
サクソフォン関係のコンサートに関しては既に独立を果たしていたが。

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2005.10.14

【聴いた】紀尾井シンフォニエッタ

tirasi549紀尾井シンフォニエッタ東京 第51回定期演奏会(紀尾井ホール)

ヴァスクス/弦楽のためのカンタービレ
シベリウス/劇音楽「クオレマ」より 悲しきワルツ、カンツォネッタ、鶴のいる風景
モーツァルト/2台のピアノのための協奏曲
ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ハイドン/交響曲第104番「ロンドン」
 ハープ:マリー=ピエール・ラングラメ、吉野直子
 指揮:ユハ・カンガス

(ワタシ的には)久しぶりのコンサート。紀尾井シンフォニエッタを聴くのも何年ぶりだろう。1年や2年ではきかないような気がする。しかしさすが、巧いもんです。ホールの響きもあって、このぐらいの編成(弦が8-6-6-4-2)としては理想的な音がする。お客さんもずいぶん増えたようで、ほとんど満席の盛況。

指揮者はフィンランドの人だそうだ。大振りの棒で、剛毅な、しかし相当突っ込みの細かい練習をしそうな雰囲気。日本やアメリカの指揮者にはあまりいないタイプかも。
かなりに盛り沢山の曲目で、印象が分散してしまった感じもある。楽しみにしていたシベリウスが良かったのは勿論だが、ハープ2台で演奏されたモーツァルトの2台ピアノ協奏曲が、ギャラントの極み。さすがにピアノみたいな訳にはいかなくて時々モタつくけど、そこがまた良いんです。愛しの吉野直子様、しばらく見ないうちにちょっとオバサン入ってきた感じもあったが(^^;
休憩後のドビュッシーは、ラングラメ(ベルリンフィル首席ハーピスト)が1人で弾いた。現代的な、スポーティな演奏。
最後のハイドンは実に素晴らしかった。力強いサウンド、充実の極致。『ロンドン』の初演を聴いた当時の批評家が「世の作曲家は今後五十年間、ハイドンの模倣以上のことは出来ないだろう」と興奮気味に書いていたとのことだが、その気持ち判る、と思った。

なぜ、ハイドンはあんまり演奏されないのかな(ハイドンの交響曲がメインプロの演奏会なんて、私が聴いた中では記憶にないくらい久しぶり)。二千人のホールに百人のオーケストラ、という現代のコンサート・システムの中では身の置き場がないということなんだろうか。勿体ない話だ。

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2005.09.11

楽友室内楽

横浜楽友協会吹奏楽団の室内楽演奏会を聴いた。(但し、楽団サイトにはこのコンサートの情報は一切載らなかったが)
会場は本郷台のリリス。家から行くにはちと遠いけれど、「田園都市」という雰囲気の街で、結構好きな場所だったりする。
とめ氏をはじめとする知った顔もたくさん出るし、アンサンブルの宣伝・チラシ挟みもしなければならなかったしで、行ってきた。

年に2回の吹奏楽演奏会本番の傍ら、こういう有志による室内楽の演奏会を毎年続けているという姿勢はいつもながら素晴らしいと思うし、頭が下がるというものだ。
とはいえ、純粋に聴くだけの立場として見ると、演奏のレベルの差というより音楽に向かう姿勢の差という点で、スゲェなーと感心させられるチームと、相変わらずのことやってるなーというチームがはっきりと分かれ、その差は回を重ねるにつれて開いているように感じられるが。

それにしてもクレストンのマリンバ・コンチェルティーノを聴けるとは思ってもいなかったな。実は私、大学3年生のとき(23年前だ)、大学の吹奏楽団の定演で演奏している。吹奏楽伴奏版の作品21Bという楽譜がはじめて出版されたのが(ピアノ伴奏版やレンタルのオケ版はそれ以前から出ていたが)ちょうどその頃で、芸大の吹奏楽が日本初演、ウチらが2番めだったはずだ。ソリストは当時の大学のトレーナーの先生の知り合いで仙台フィルの団員だった方にお願いしたのだった。いやー懐かしい。聴いていて当時のいろんなことを(すっかり忘れていたのに)思い出した。一度私が下振りを担当して、手も足も出なかった屈辱とかね。
ぜーんぶ聴くにはいささか疲れる2時間半の演奏会の最後は、Sax8人のアンサンブル。
本日のいろいろの演奏を、とりあえずきちんと締めてくれた。


終演後はさっさとその場を辞し、用事をいろいろ片付けた後、衆院選の投票のため横須賀線に乗ろうとしたら(投票所はいつもの最寄り駅ではなく横須賀線の駅の近く)、千葉方面の大雨のため?ダイヤが乱れまくっていて、帰着が午後8時に間に合わなかった。ううむ。選挙権を得て20ウン年、初めての棄権。くやしいぞ。
選挙の結果自体は、なんだかなあ、という感じのようだが。

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2005.09.10

都響【ベートーヴェン】

tirasi546都響の秋シーズン開幕は、ベートーヴェンの肖像と題する演奏会(東京芸術劇場)。

ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
同 /ピアノ協奏曲第1番(Pf菊池洋子)
同 /交響曲第5番「運命」
 指揮:クリストフ・エーベルレ

初めて聴く若い(といっても1959年生まれ)ヨーロッパの指揮者ということで、最近流行りの理屈っぽいベートーヴェンを聴かされるのかと思ったら全然違って、伝統的なスタイルでありながら清新な気分にみちた、素晴らしいベートーヴェンだった。アンサンブルも1曲めの序曲からいつになく隅々まで手入れが行き届いていて、これは相当細かい練習を積んだのだろうと思わせる。
メインの「運命」は、迫力には少々欠けるところがあったけれど、プロフィールを見るにウィーン室内管の首席指揮者をしていたそうで、室内オーケストラの感覚が根底にあるのだろうかと思った。ともあれ、なかなかいい指揮者だ。
アンコールに、やはりベートーヴェンの「11のウィーン舞曲」WoO.17より3曲。これがまた、若き日のベートーヴェンのウィーン風情に溢れた素敵な曲・演奏だった。そういえば都響に生粋のオーストリア人指揮者が来るのは珍しい。

自分からチケットを買ってまで行こうとはなかなか思わないプログラムだけど(シリーズ・セット券の中にあったので行ったんだけど)、聴いて良かった、と思った。


終演後、池袋ヤマハに寄ったら、楽譜の半額割引ワゴンセールをやっていて、思わず長居。
メジャーな作曲家から武満・黛・石井真木といった邦人現代まで、曲は微妙に「売れ線」から外れたものがいろいろ揃っていて、なかなか楽しかった。マニアにはたまらんっす。

いろいろ気になるものはあったのだが、とりあえずミヨーの「ロンドンの謝肉祭」ポケットスコア(Salabert)を、税抜1350円で購入。
この曲、1管編成のオーケストラ曲なのだが、サックスが大活躍する。非常に親しみやすい、楽しい曲です。

carnaval_de_londres

こんな感じ(クリック拡大・部分)

普段あまり見かけないフランス物もいろいろあって、なかでもデュリュフレの「3つの舞曲」には最後まで迷わされたけれど、割引前の値段が10200円では、ちょっと見送らざるを得なかった。

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四季朗詠【読響】

tirasi5459月、即ち、秋のコンサートシーズン開幕後最初に聴いたのは、東京芸術劇場での読売日響

グラズノフ/交響曲第4番
同 /バレエ音楽「四季」(西行の短歌の朗誦付き)
 指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
 歌詠み人:栗原小巻、滝田栄

今日はシティフィルが上野で「三角帽子」をメインとしたスペイン・プロを組んでいた筈で、いわばバレエ音楽対決だったのだが、私としてはやはりグラズノフの「四季」全曲が生で聴ける機会が(今までも無かったし)今後そうそうあるとも思えなかったので、こちらにしました。

職場を出遅れたので、交響曲は途中からロビーで聴いた。知らない曲だったが(グラズノフのシンフォニーは5番と8番しか知らない。余談だが、Sax吹きの方は「8番」を是非聴かれるとよいと思います。びっくりするから)、不思議に明るく人懐っこい、楽しい交響曲だ。フィナーレの最後、どう終わらせたらよいのかよく分からないまま延々と盛り上がり続けるような雰囲気も、いかにもグラズノフ。

休憩後の「四季」は、各場面の前にそれぞれの季節を歌った内容の西行法師の和歌の朗誦が付くという、珍しい趣向。ソリスト(?)2人は、和装で舞台に登場。各季節ひとり3~4首ずつ、滝田栄はストレートな読み下しで、栗原小巻は御詠歌のような節回しをつけて詠んだ。
今までにない試みで、たいへん印象に残ったが、いったい何という歌を詠んだのか、テキストがプログラム冊子にもどこにも無かったのが、残念。また、秋を詠んだ歌というのは物淋しいものが多いのだが、そのすぐ後にノーテンキなバッカナールが始まるというのも、ちょっとヘンな感じではある(^^;。まあ、仕方ないけど。

演奏はさすがロジェヴェン、なかなかよございました。スケールが大きく、甘く暖かい音色で、こってりと歌う。いわゆるひとつのロシア風。スケールが大きいぶん棒そのものはかなりに大雑把で、オケは苦労していたようだけど(^^;、それがまた良いのだろう。「秋」の最初の部分に少しカットがあったのが残念だったが、滅多にない機会を楽しんだ。
隣の席には、「四季」のオケ版フルスコアのコピー(神奈川県立某高校吹奏楽部のハンコが見えた)をめくりながら聴いている女子高生、なんてのもいたりして。

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2005.08.30

久々のコンサート

tirasi544コンサートも夏枯れの季節、久々にサントリーホールに行けた。

●サントリー音楽財団 サマーフェスティバル2005~20世紀のウィーン

シェーンベルク/ワルツ~弦楽オーケストラのための
ウェーベルン/カンタータ第2番op.31(1943)
同 /眼の光op.26(1935)
リスト(ウェーベルン編)/労働者の合唱(1924)
クシェネク/交響的悲歌(1946)
ベルク/ヴァイオリン協奏曲(1935)
 高関健指揮 東京都交響楽団
 神尾真由子(Vn)
 森川栄子(Sp)、加賀清孝(Bs)、東京混声合唱団

毎年この季節恒例の、サントリー音楽財団主催の現代音楽祭。
今日は最も「普通の」曲目の日だが、それでもなかなか凝っている。
客席もかなりに濃くて、休憩時のロビーで池辺晋一郎、一柳慧、江村哲二の3人が何気なく談笑していたりとか。

音楽史的には非常に興味深い、知的好奇心のそそられるプログラムながら、普段自分が好んで聴くタイプの音楽とは全然違うので、曲そのものを堪能するまでには至らず、途中少し睡魔に襲われた。演奏はなかなか良かったが。高関さんの指揮はいつもながらの堅実なものだし、真由子ちゃんのベルク、すごくひたむきで瑞々しくて、この曲こういうやり方もあるのね、というか。
ベルクと、ウェーベルンの2曲には、宗貞センセ(A.Sax)の姿がステージに見えた。
休憩前の最後、フランツ・リストの(シューマンみたいな)オーソドックスなスタイルの合唱曲にウェーベルンが非常に祝祭的なオーケストレーションを施した曲(日本初演)が挟まれ、演奏者の側もこの時ばかりは思いきり楽しそうで、場内も大いに沸いていました。

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2005.07.30

真夏の第九

tirasi542東京都交響楽団 創立40周年記念演奏会【第2日】(サントリーホール)

ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付」
 指揮:小泉和裕
 佐々木典子(Sp)、寺谷千枝子(Ms)、吉田浩之(Ten)、河野克典(Br)
 晋友会合唱団

今日も行ってきた。
朝早く起きて、週末恒例の藤野への父の見舞の後駆けつけたので、眠くてしょうがない。

この季節に「第九」を聴くというのは不思議な気分。
小泉さんの指揮、さすがに、オーケストラをまとめる手腕に関しては見事なものがある。破綻のない、模範的な演奏。速いところはスポーティに速く、遅い楽章は一転してロマンティックに歌い上げる、流線型の音楽。カラヤンの演奏みたいだ。
私が小さい頃から聴き慣れた「第九」は、カラヤン=ウィーン・フィルの古いLP(なぜか家にあった、1947年録音の疑似ステレオ盤)だったので、こういう演奏には思いっきり親近感を覚える。なぜ最近の指揮者はこういう演奏をしないのかな。なんだかまるで、こういう風にはしちゃいけない、と思い込んでるみたいな。
終演後のサントリーホールは、ひときわ大きな喝采に包まれた。
会場では、意外な顔見知りにも何人か逢ったり。

終演後に謝恩パーティがあった筈なのだが、私は今夜は家族の誕生日パーティのため出席しなかった。
10年に一度だから、出てみたかった気もするけど。
思い出せば、10年前の30周年記念演奏会も、今は亡きペーター・マークの指揮で「第九」だったな。

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会場を出たところで、昨日の主役マエストロ・デプリーストに遭遇。

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都響40周年・第一夜

東京都交響楽団 創立40周年記念演奏会【第1日】(サントリーホール)

ヴェルディ/レクィエム
 指揮:ジェイムズ・デプリースト
 中村智子(Sp)、竹本節子(Ms)、市原多朗(Ten)、福島明也(Br)
 二期会合唱団

明日は早いので、簡潔に。

素敵な演奏だった。久々登場の矢部達哉コンマス率いる弦軍団の精妙な音色に、「ディエス・イレ」で大暴れする金管部隊の、重さや鈍さを排除した都響ならではのソノリテ。先日のマーラー5番の時も思ったけど、都響の金管はやっぱウマイわ。発音にストレスがないというか。
合唱はさすがプロならではのすごい迫力と安定感。ざっと数えたところ90人程(二期会コーラスとしてはかなり大編成)だったが、アマチュアコーラス300人分くらいの音量か。
ソリストは、市原さんと竹本さんがブラヴォーでした。

デプリーストの指揮ぶりは、特に弱音部分の(この曲、ちょっと聴きには派手な部分が印象的だけど、よくよく聴いてみると8割以上は静かな音楽だ)まるで日常の中にある祈りの感情のような、素朴でピュアな音楽の運びが印象的だった。
明日も楽しみ。

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2005.07.23

マーラー5番、地震付き

tirasi541モーツァルト/フルート協奏曲第1番(Fl:高木綾子)
マーラー/交響曲第5番
 若杉弘指揮 東京都交響楽団

会場の所沢ミューズホールといえば、須川さんのクレストンのコンチェルトと「シェエラザード」を聴いた(ライブCDにもなっている)東京佼成woの演奏会がすごく印象に残っているんだけど、もう10年以上も前なんですね。
今日は都響得意のマーラー、かつ私自身は一度も生で聴く機会のなかった若杉のマーラーということで、少々遠いが足を伸ばしてみた。

ys-11最寄り駅の航空公園(西武新宿線)駅前には、YS-11の実物が。
昔見た、羽田空港に発着していたYS-11は、周りの大型ジェット機たちの間では圧倒的にかわいらしかったけれど、近くで見ると意外と大きい。

開演。1曲めは高木綾子のモーツァルト。オケは弦が8-6-4-4-2という小編成。なかなかよございました。つうか、高木さんって結構素晴らしいプレイヤーだったのね、と初めて知った。日本コロムビア専属の美人演奏家ということで、今までまともに聴く気が起こらなかったのだが、この人は本物の「音楽家」だ。
プロフィールをよくよく読んでみたら、管打楽器コンクール第1位、日本音楽コンクール第1位なんて、並の演奏家のキャリアではない。己の不明を恥じました。
「美人」かどうかはまあ、人それぞれの好みもあろうと思うが、ワタシ個人としてはこういう顔の女の人はちょいと苦手。でも笑った顔はかわいいです。

休憩後のマーラー5番。冒頭、首席奏者高橋敦氏のトランペットが見事に決まり、一気にマーラーの世界に引き込まれる。そう、こうでなくちゃ!
都響のマーラーは、過去10年間でインバルとベルティーニによる交響曲全曲サイクルを二度も聴いているけれど、改めて聴くとやはり、こなれ方というか、響きの作り方への確信のようなものが格別だ。
スコアに指示されている「木管のベルアップ」なんかも、ここまでやってくれるオケはなかなかないだろうと思う。視覚的にも、見物だった。
今日は、若杉さんの説明過多でテンポがいまいち安定しない振り方が少々気になったけれど(^^;、遠くまで聴きに来た価値はあった。

第4楽章、美しいアダージェットの真っ最中、かなり大きな地震(震度4~5だったらしい)。演奏は特に中断することなく続行。
フィナーレ(第5楽章)で何か緊張感が途切れたような気がしたのは、地震のせいかそれとも別の要因か。

終演後、西武新宿線で高田馬場に戻ると、JR全線運転stopとの掲示。ありゃりゃ。西武線は何事も無かったように動いているというのに。
地下鉄も止まっているようなので、そのまま新宿に出て、タワレコで少々時間を潰すも(収穫は無し)、運転再開の気配もないので、かろうじて動いていた都営大江戸線経由で帰宅。演奏会が終わったのは5時なのに、家に帰り着いたのは9時半でした。
JR、復旧に時間かかり過ぎ。根性足りねーぞ。

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2005.07.10

モーツァルト・オーケストラ静岡

モーツァルト・オーケストラ静岡 2005演奏会(静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップ 大ホール「海」)

モーツァルト/交響曲第31番「パリ」
デュティユー/Sur le meme accord(同じ和音の上に)-ヴァイオリンと管弦楽のための夜想曲(日本初演)
ラヴェル/幻想曲~ヴァイオリンと管弦楽のための(VnとPfのためのソナタ・中原朋哉編)
ラドミロー/交響組曲「ラ・ブリエール」(日本初演)
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番
 ヴァイオリン:オリヴィエ・シャルリエ
 指揮:中原朋哉

という訳で、○サーチの本番ひとつ蹴飛ばして、静岡に行って帰ってきました。すいません。

なかなか素晴らしい演奏会だったんじゃないでしょうか。
デュティユーの新作の日本初演をアマオケ(実はプロ奏者も結構入っていそうだが)がやってしまおうという、その心意気というかチャレンジがそもそも素晴らしい。演奏もその責に充分足るものだったと思う。
正直、最初のモーツァルトを聴いたところでは、わぁー、モーツァルトって難しいのね、というところもあったけれど(^^;、舞台にシャルリエが登場して2曲めのデュティユーが始まった瞬間から、一気に核心を衝いた音が出てきて、ちょっとびっくり。
この曲は予習をしていないので(CDもたしかまだ1種類しか出ていないはず)、詳しくは判らないのだが、演奏者にすれば「会心の出来」、だったのではないかと想像する。

それにしても、オリヴィエ・シャルリエ、すごいです。
ラヴェルは一昨年の初演でも別のソリストで聴いているけど(今回は改訂版との由)、はっきり言って「格が違う」。
技巧が素晴らしいのは勿論だけど、フレージングの牽引力というのか、フレーズの持続の強靱さが並外れている。
ここまでの強靱さを備えたソリストは、世界中探しても数人しかいないのではないかと思う。

「ラ・ブリエール」も、美しい曲だった。
演奏は、最初おやっという感じだったが、尻上がりに良くなった。
和声や雰囲気的にはフォーレぽい系統ながら、ケルト風味というのか、イギリス民謡調もあるので、ディーリアスとかヴォーン=ウィリアムズが好きな人も気に入るんじゃないかと思う。

さて、今日撮った携帯写真いくつか。

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会場のグランシップが直結しているJR東静岡駅のコンコース。
…無駄に広い(^^;。しかも、人が全然いない。

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会場のグランシップ。
これだと大きさがよく分からないが、正面はともかく、奥行きが相当ある。東京国際フォーラムみたいだ。

050710c

で、ホール内。
で、でかい。(キャパ4600だそうだ)
…これは、チケットの売れ行きが悪いんじゃなくて、会場がでか過ぎるんだと思うぞ。
7~800席のホールだったら、結構満席な感じかもしれない、という客入り。

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終演後のサイン会にて、中原氏とシャルリエ氏。
シャルリエさん、写真より若く見えるかも。アンチャン、って雰囲気。
なんか知らん始終上機嫌で、私もCD(Arte Novaのデュティユー集成3枚組。シャルリエが『夢の木』を弾いている)をロビーで買って並んだのだが、シャルリエの写真がどこにあるか分からなくてブックレットを何回もめくっていたら「ハハハ、ここにいるよ、ここ!」という調子(英語)。

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2005.07.09

ジェラール・プーレ

tirasi540ジェラール・プーレ ヴァイオリン演奏会(Hakuju Hall)

ブラームス/ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」
クライスラー/ウィーン風小行進曲、羊飼いのマドリガル、シンコペーション、ボッケリーニの様式によるアレグレット、ロマンティックな子守歌、道化役者、ジプシー綺想曲
ショーソン/ヴァイオリン、ピアノ、弦楽四重奏のためのコンセール
 ジェラール・プーレ(Vn)、川島余理(Pf)
 エレオノーレ弦楽四重奏団(岡山潔、服部芳子、川崎和憲、北本秀樹)

素晴らしい音楽会だった。
音が耳障りだったり、奏法とか理屈先行の多い世間にありがちなヴァイオリンとは全く違う。ある意味(クラシックの)サクソフォンのようになめらかで、ストレスのない音色、それでいて言うべきことはばしっと言い、表現されるすべてが核心を衝いていて「ぶれ」がない。
ジェラール・プーレ。伝説のヴァイオリニスト&指揮者(ドビュッシーのヴァイオリンソナタを晩年の作曲者自身のピアノで初演した)ガストン・プーレの子息で、元パリ音楽院教授。フランス・ヴァイオリン界の大御所の一人である。毎年春の京都フランス音楽アカデミーの演奏会で何度か聴く機会があって感心し、数枚のCDを入手して愛聴していたところだ。
最近東京で聴ける機会が増えたと思ったら、この4月から東京芸大の客員教授に就任したらしい。

譜面台を横向きに、ほぼピアノと並ぶように置き、ほとんどピアニストと同じ方向を向いて弾いた。ピアニストの斜め後ろから頻繁に大きなアクションで合図を出す様子は、まるでピアニストにレッスンを付けているかのようだ。
当初2曲めはファリャの「6つのスペイン民謡」が予告されていたのだが、クライスラーに変更になった。そしてこのクライスラーが最高の聴き物だった。これこそが音楽だ、と言わんばかりの確信、と同時に、前世紀の巨匠たちの、あのつまらない欲得を超越した雰囲気をも併せ持っている。
サックス吹き的には、阪やん(故・阪口新氏)以来久々に説得力あるクライスラーを聴いた、という感じ。(但し、晩年の阪やんのようなテクニックの衰えはない。)
プログラムの記載によると、最近クライスラー名曲集のCDを録音したらしい。発売されたら是非聴いてみたいものだ。

…そんなこんな。
「心が洗われるような、」とはこういう感覚を言うのか、という2時間余を過ごした。

そして、明日はオリヴィエ・シャルリエですか。
素晴らしい週末であることよ。
雨が止んでくれるといいんだけど。

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2005.06.30

フォーレの「ペレアス…」日本初演

日本フォーレ協会第XVI回演奏会~フォーレ生誕160年(めぐろパーシモンホール・大ホール)

フォーレ/劇音楽「ペレアスとメリザンド」(1898年初演稿・日本初演)
同 /歌曲集「イヴの歌」op.92

メーテルリンクの戯曲「ペレアスとメリザンド」を題材に書かれた音楽(フォーレ、ドビュッシー、シベリウス、シェーンベルク…)の中で、4曲からなるフォーレの組曲は最も知られているものだろうと思う。
私自身にしても、上記4人の作品中ではフォーレが最も親しみ深いし、日頃聴くことも多い。
今宵は、その原曲の劇音楽版(全12曲)の、日本初演を聴いた。

舞台上の真ん中の通路をはさんで、左手に弦(3-3-2-3-1という小編成)、右手に管のオーケストラ。
戯曲全幕を1時間強の1幕に再構成し、衣装も着けて、演奏会形式のオペラのような雰囲気で行われた。ただしオペラではなくお芝居なので、メリザンドの劇中歌1曲以外は歌は無く、せりふ+伴奏音楽のみ(フランス語、字幕付)。
元の戯曲自体が、全然「ドラマティック」なものではないので、せりふだけで進めるのはちょっと場が持たないところもあったけれど、構成自体はなかなかうまく出来ていたと思う。
オーケストラ(小鍛冶邦隆指揮)は思いのほか良い出来で、小さな編成ながら大編成の組曲版で聴き慣れた部分も巧みにそれらしく仕上がっていて、たいへん楽しめた。といっても、組曲版で使われた以外のナンバーというのは、ほとんどが1分もかからないような小品ばかりなのだが。

後半は、前半でメリザンド役を演じた坂本知亜紀(ソプラノ)の独唱による、歌曲集「イヴの歌」。意外なことにこちらも照明・字幕付き(照明はともかく、歌曲で字幕を使うというのはよい試みだと思う)。後期のフォーレ節(ブシ)横溢の、すばらしい曲だ。
歌手は、プロフィールを見るに、フランス歌曲界の期待の新人、というところのようだが、浜田理恵さんのデビューを聴いた時の衝撃には及ばなかったような。
ともあれ、全体には、知的好奇心、音楽的興味をともども満足させられる、良い演奏会でした。

persimmon

終演後のめぐろパーシモンホール・ホワイエを外から望む

しかし、パーシモンとは一体なんじゃらほい。「柿」のことなんだそうだが。
せっかく地名に因んでいるのだったら、素直に「柿ノ木坂ホール」と名付けりゃ良かったのに、と思う。そうすれば「紀尾井ホール」と並ぶ、都内の高雅な名前のホールとなっただろうに。
難しい事情もあるんだろうけれど、最近出来る公共施設のネーミングの訳の分からないセンスには閉口させられる。
かの小澤征爾氏は、「すみだトリフォニーホール」が出来た当時、「なぜ『トリフォニー』などという意味不明の言葉がくっついているのか分からない」と言って、頑として「すみだホール」としか呼ばなかったそうだが、最近はどうなんでしょう。

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2005.06.28

都響【トゥランガリラ】

tirasi539東京都交響楽団 第611回定期演奏会(東京文化会館)

原田節/薄暮、光たゆたふ時~オンドマルトノとオーケストラのための
メシアン/トゥランガリラ交響曲
 ピアノ:野平一郎、オンドマルトノ:原田節
 指揮:井上道義

いやはや、ものすごい演奏会だった。曲もものすごいし。
東京文化で聴く「トゥランガリラ」は、音のリアリティというか、こちら目がけてまともにぶつかってくる響きの威力に圧倒される(さすがに、あまりに長い曲なので途中ちょっと意識を失ったが)。
「がぁーーごぉーーげぇーー、ぱららららら、ひょい~~~ん、きゃこきゃこきゃこきゃこきゃこきゃこ」なんていう感じの音がさっきから頭の中をぐるぐる回っています。
「トゥランガリラ」とは、愛の歌というような意味なんだそうだが、このウルトラ兄弟勢揃いみたいな極彩色の音楽が表現する愛とは、どんな愛なんだろう。誰かが書いていたが(出典を思い出せないのだが)、地球人を救うためにやってきたウルトラマンが、怪獣と戦って地球人の住む家やビルを踏みつぶしてしまうような、超越的な愛、とでも言うのか。
演奏も、これだけエキストラを大量投入した巨大編成ながら、随所で聞こえてくる艶やかで色彩的な音色や、自発的で正確なリズムなど、日頃都響というオケで聴ける長所をちゃんと残していて、感心。

ステージ上の並び方が変わっていて、舞台平面の左手に大量の打楽器群、右手に管楽器群、真ん中に左からVn1、Vn2、Va、ひな壇の1段めと2段めにチェロ、一番上にコントラバスが横1列(10人!)。各群の音色が明確に対比されていて、なるほどと思った。
原田さんのオーケストラ作品というのは初めて聴いたのだが、題名からの印象のとおりの不定形な音楽ながら、オーケストラから出てくる音色のイメージが明瞭に把握されていて、ちょっと驚いた。オンド奏者としては勿論ずっと前から名前を知っていたけれど、ここまでちゃんとした作曲ができる人だとは失礼ながら初めて知った。

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2005.06.25

コルドンブルー

tirasi538暑い。真夏日。どこぞでは37℃とか記録したそうだ。やれやれ。

コルドンブルー室内管弦楽団第3回演奏会を聴いた(目黒区民センターホール)。

ラヴェル/序奏とアレグロ(Hp:岩城晶子)
プーランク/六重奏曲
イベール/モーツァルトへのオマージュ
ラヴェル/組曲「クープランの墓」(全曲版)

アマオケとはいいながら(東工大オケOBが中心とのこと)、フランス音楽好きとしてはなかなか興味をそそられる内容で、本家サイトのトップページでもご紹介していた関係上楽しみに聴きに行ったんだけど、期待は裏切られずなかなか楽しめました。

前半は室内楽。「序奏とアレグロ」はちょっと固くなっちゃったけど、プーランクは聴き物だった。かな~り難しい曲の筈なんだけど、ちゃんとこの曲に聞こえるんだもんな!音ミスはあったけど偶発的なものに聞こえたので問題なし。ピアノはヴィオラの団員の方が弾いたのだが、これがまた只者ではない弾きっぷりだった。

後半はフルメンバー。狭いステージからはみ出そうだ。
注目の全曲版「クープランの墓」。通常のオーケストラ版に入っていない「フーガ」と「トッカータ」を、芸大大学院(作曲)に在学中の飯田未知瑠という人が追加編曲している。
同じ試みとして、マイケル・ラウンドとかいう人の編曲によるアシュケナージ指揮N響のCDがあるけれど、この版をかなり意識しているように聞こえたのは気のせいかな。「フーガ」の色彩感がかなり近いし、「トッカータ」でのカスタネットやスネアを同じ使い方をしていた。しかし私の個人的印象では、今日の版のほうがラヴェルらしさという点でよりしっくり来るように思った。「トッカータ」の結尾の大胆な打楽器の使い方は「ラ・ヴァルス」を思い出させる。
演奏も、勿論技術レベルでは全くかなわないものの、杓子定規でファンタジーに乏しいN響の演奏より今日の演奏のほうが余程面白く聴けた、と言ってしまっては誉め過ぎなんだろうけれども。

何はともあれ、こういう演奏会をやりたい、と考えて、とにもかくにも実現してしまう、というエネルギーは、やはり若さのなせる技だな。
目黒区民センターホールには久々に入った。私の実家からチャリンコで行ける距離にあり、勿論何度も舞台に乗ったこともあるし、少なくとも私が高校1年生の時には既に存在していた(懐かしい)古いホールだけど、その時代のホールとしてはさほど悪い音響ではない。
こういうご近所のホールにふらっと行って、入場無料の催しに気軽に入り、このようにそれなりに質の高い音楽と演奏に身近に触れることができる、というのが「文化」なのだ、と思ったことだった。

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2005.06.23

フレンチ三昧

tirasi537室内楽フェスティバル・フランスの若き巨匠たち~木管楽器とピアノによる(カザルスホール)

プーランク/フルートソナタ、クラリネットとバスーンのためのソナタ
ドビュッシー/クラリネットとピアノのための第1ラプソディ
ドヴィエンヌ/チェロとバスーンのためのデュオ・コンチェルタントop.3-2、同op.3-5
コネッソン Guillaume Connesson(1970- )/フルート、クラリネットとピアノのための「テクノパレード」
ビゼー/「アルルの女」より(木管四重奏版)
サン=サーンス/デンマークとロシアの旋律によるカプリス(Fl、Ob、Cl、Pf)
オーリック/三重奏曲(Ob、Cl、Bn)
プーランク/オーボエ、バスーンとピアノのための三重奏曲

どうですかこの曲目!急に思い立って行ったコンサートだけど、大正解だった。
東京日仏学院の主催で、出演者はほとんど全員70~80年代生まれのフランスの若手ながら、フランクフルト・オペラ首席(Sarah Louvion, Fl)、ロンドン響副首席(Jerome Conte, Cl)、ストラスブール管首席(Sebastien Giot, Ob)、ロワール管首席(Gaelle Habert, Bn)といった具合に、既に第一線で活躍中のプレイヤーばかり。

プーランクの「トリオ」は、10月に私もサックスで吹こうとひそかに予定しているので(一昨年1楽章をやったので、今年は2、3楽章だ!)、一度聴いておきたかった。
ファゴットで聴いたことはあったけど、フランス式バソンでの演奏を生で聴くのは、初めて。…なるほどねぇ。
それにしても、なんという、幸福感が炸裂するような音楽だろうか。世界中の幸せや楽しさを一身に引き受けたかのような。
「アルルの女」は、解説が全曲分書いてあったので、うぉ、4人で全部やっちまうのか、と身構えて聴き始めたら、前奏曲の前半だけでおしまい(^^;。ちょいと拍子抜け(その部分の限りではかなり巧みな編曲ではあったが)。
…1曲1曲書いていったらきりがない。極彩色の音たちが花火のように飛び交い、明滅するような、フランス管楽器音楽の醍醐味を存分に味わいました。

ドビュッシーのプルミエ・ラプソディで、波うつオーケストラの響きのような素晴らしいピアノを弾いた、Juliana Steinbachというピアニストの名前は覚えておこうと思った。

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2005.06.15

都響【6月B定期】

tirasi536東京都交響楽団 第610回定期演奏会(サントリーホール)

董立強(ドン リーチャン)/ディスタンス
モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番(ピアノ:コルネリア・ヘルマン)
プロコフィエフ/古典交響曲(交響曲第1番)
チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
 指揮:李心草(リー シンサオ)

1971年生まれの中国の若手指揮者、李心草の初客演。遠目にはのび太くん風のトッチャン坊やで、高関健のドラえもんとコンビが組めると思う(^^;。それはいいとして。
1曲めはノーコメント。いかにも、って感じの現代音楽。
ピアノの