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カテゴリー「コンサート(2005年)」の記事

2005.12.23

Xmasコンサートのハシゴ

祝日。
寒い日が続く。東京は良い天気だけど、大雪の地方の皆様にはお見舞申し上げます。どうか気をつけてお過ごしください。

コンサート通いの1日。昼の部はヤマハ目黒吹奏楽団(めぐろパーシモンホール)。
綺麗な新しいホール、「スカイ・ハイ」に始まり最後ルロイ・アンダーソンの「クリスマス・フェスティバル」に至る、完全クリスマスポップスコンサート仕様の親しみやすい曲目、よいお日柄もあってか、600用意したプログラムが全部無くなる大入り。めでたし。
実は私の元所属団体。辞めてはや10年が経ち、当時から居て今日も乗っている団員さんはほとんど一桁になってしまった。
まあしかし、皆上手くなりましたね。私が入団するちょっと前ぐらいが音楽的にも運営的にもドン底だったのだろうと思うけれど(入団2年めの定期演奏会で、100台を低迷していた入場者数を一気に350に増やし、大いに盛り上がったことを思い出す)、少しずつでも良くなって行っているとしたら、嬉しいことです。
あとは、「良い音」で説得力のある音楽をするという「基本」に、常に立ち返って欲しいと思う。

tirasi561夜はサントリーホールへ移動。

サントリーホール クリスマス・オルガンコンサート

J.S.バッハ/プレリュードとフーガ ト長調BWV541 *org
シューベルト/アヴェ・マリア *org, saxQ
フランク/天使の糧 *org, saxQ
ベッリーニ/歌劇『ノルマ』から「清らかな女神よ」 *org, ASax
ヴィヴァルディ/『四季』より「冬」 *org
デザンクロ/サクソフォン四重奏曲 *saxQ
水野均編/クリスマスキャロル・メドレー *org, saxQ
長生淳/彗星 *saxQ
メンケン(長生淳編)/美女と野獣 *org, saxQ
長生淳/Natch-knocker(チャイコフスキー「くるみ割り人形」による) *org, saxQ
 水野均(Org)
 トルヴェール・クヮルテット

何が聴きたかったって、何といっても「トルヴェールのデザンクロ」だったんだが、いやー、さすがと思った。この曲をあそこまで肩の力抜いた感じで出来るんだ、と。
いかに普段私たちがガチガチで硬直した音楽をやっているかって事が、良く判った。主旋律は大きめに出して他(対旋律や伴奏)は抑える、とかいう、単純なアンサンブルテクニック上のバランス調整だけのレベルのお話では全然!ない。
何故こういうことが出来るのか、理由は色々あるだろうけど、やはりmp以下(ppp-pp-p)のダイナミクスとニュアンスのコントロール能力が図抜けている、ということなんだろうな。普通のサックス吹きが最も苦手、かつ「見ないことにしている」領域だ。
トルヴェールのデザンクロを聴くのは、時代がまだ20世紀だった頃の紀尾井ホールでの演奏会以来久しぶり。あまりやってくれないけれど、もっと色々な機会に聴きたいものだし聴かれて欲しいと思う。例えばこれ、CDに録音して一般家庭のCDラジカセやミニコンポで再生したとしたら、「普通に巧い」演奏に聞こえるだけなんじゃないか。サントリーの大ホール、みたいな大きな空間、そして距離(2階席左サイドの頂上近くで聴いていた)、生演奏ならではの音量、があればこその響きの感覚というものがある訳で。

他の曲はまあ、普通に普通の人が楽しめる、ちょっと豪華なコンサートという趣でした。サントリーホール恒例のクリスマスコンサートということで、普段の私の守備範囲の国内オーケストラやサックスの演奏会とは客層が少々違ったようだし、オルガンコンサートと銘打った割には随分サックスが出しゃばっているので(^^;不思議に思われた方ももしかしたらいたかもしれないが、「珍しい」サクソフォンの音色を楽しんでもらえたんじゃないかと思う。

最後の長生さんの曲は、例によっていつもの調子のアレでした。冗談音楽としては良く出来ている、というもの。

2005.12.21

終わった。

昨日に引き続き、都響定期第2夜(東京文化会館)。
ジャン・フルネのラストコンサートが、満場のスタンディング・オベイションの中、終演。
…聴き終わったら泣いちゃうんじゃないかと思っていたけど、意外とそうはならなかった。フルネさんの音楽が、虚仮おどしの感動の押し売りや安っぽいドラマ性とは最後の最後まで無縁だった、ということ。

今日も、昨日にもまして素晴らしい集中と献身に支えられた演奏だった。ホールのせいもある。改めて東京文化会館って良いホールだと実感した。2階センターで聴いた昨日のサントリーホールよりも、3階左翼席で聴いた今日の東京文化のほうがずっと克明でバランス良く綺麗な響きで聞こえた。
(音の好き嫌いはあるだろうけれど、東京文化会館を「響きが悪い」とかって言う人は、ハッキリ言って音痴だと私は思う。)
会場にテレビカメラが入っていた。1/22の教育TV「芸術劇場」で放映されるそうだ。皆さん是非ご覧になってみてください。

コンサートの最後には、楽員を代表して山本コンマスからフルネ夫妻(奥さんはオランダ放送フィルのコーラングレの名手、ミリアム・ジェイクスさん。以前の奥さんは10年以上前に先立たれ、最近再婚されたそうだ。昨日今日と1曲目の「ローマの謝肉祭」序曲で素晴らしいソロを披露された)に、花束と「都響永久定期会員証」という巨大なチケット型の感謝状が手渡された。
拍手鳴りやまず、オーケストラが全員引っ込んだ後、二度もステージに呼び返されていた。…

これで、本当に終わったんだなー、と、「ジャン・フルネ」の名前のない都響来季の公演日程表を眺めながら、感慨。
フルネさんの指揮を初めて聴いて驚嘆したのが、ちょうど20年前。当時フルネさんは72歳、既に今の私の父と同じ歳だった。もう次は聴けないかもしれない、聴ける時は聴こう、と思って、以来来日する度の「オッカケ」が始まったのだった。
まさか、その後20年も、そして本当に最後の演奏会まで聴き続けることが出来るなんて、思いもしなかった。

ジャン・フルネ。偉大なその音楽と素晴らしい人生に、感謝。

2005.12.20

ジャン・フルネ引退公演、始まる

tirasi560東京都交響楽団 第618回定期演奏会(サントリーホール)

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番ハ短調K491(Pf伊藤恵)
ブラームス/交響曲第2番
 指揮:ジャン・フルネ

明日もあるので、簡単に。

聴く方は気を入れて-少し緊張もして臨んでいる引退公演ながら、今年1月の600回記念定期以来11ヶ月ぶりに見るフルネさんは、いたっていつも通りのフルネさんだった。まるで、来年になればまたいつも通り東京に現れそうな雰囲気も感じさせつつ。
ブラームスの2番。最後がフランス音楽でないのはちょっと残念だけど、こういう、日常の中の幸せのような雰囲気の中、のんびりと美しい響きを紡ぐ音楽というのは、フルネさんのような音楽家の最後にふさわしいのかもしれない。

演奏は素晴らしかった。都響の底力を再び見た思いだ。この指揮でこういうふうに弾くかあ。皮肉とかではなく、本当に感心した。
明日の東京文化会館、第619回定期が、本当の最後となる。

2005.12.15

Happy Sax 2005

tirasi559職場を6時に飛び出して、中央会館(いつの間にか「銀座ブロッサム」なんていう名前になっていた)へ。

Toshihisa Ogushi HAPPY SAX CONCERT 2005

ブラボー・サックス!(星出尚志)
バラード(A.リード)
翼をください(村井邦彦/西上和子編)
ポギーとベス(G.ガーシュウィン/冨岡和男編)
オペラ座の怪人(A.L.ウェッバー/成本理香編)
クワイエット・サンセット(真島俊夫)
ボレロ(M.ラヴェル/樽屋雅徳編)
ラテン・フィエスタ(鈴木英史編)
 小串俊寿(Sax)、白石光隆(Pf)、横山達治(ラテンPerc)、ゲスト:冨岡和男(Sax)

小串さんのHappy Saxコンサートに来たのはものすごく久しぶり。自分のサイトで(^^;調べてみたら6年ぶりだった。しかし相変わらず最上級のエンターテインメントではある。白石さんの超絶技巧(あまりにも巧すぎるので逆にピアノの存在を忘れてしまう。それほど巧い)、ダジャレンジャー横山さんの陽気なノリ、豪華作・編曲陣による独創的で雰囲気豊かな音楽、そして何より、最高にHappyで蠱惑的な、小串さんのサックス。

小串さんの音色は、我々クラシックのフィールドのサックス吹きにとって最も模範的なものに近いと私は思う。世の中には、魅力的だけど「真似をすると怪我をする」音というものがあるけれど、小串さんの音の暖かさ、艶やかな透明感、なめら~かなソノリテは、(ヴィブラートが少し昔風なのが好みを分かつかもしれないが)どれをとっても最も高い次元での目標たり得る。
去年(2004年)の「音の輪」で、アルフレッド・リードの『シチリアーナ・ノトールノ』のソロを吹かせていただいた時、小串さんの同曲のCDを毎日のように聴いたものだった。そこに漂う音楽のアトモスフェアの一部でも自分のものにしたかったのだが、それに成功したかどうかは自信がない。…
この雰囲気の中では、ゲストの一見堅そうな冨岡センセも、サックス吹きとしての本性を思わずポロッと出してしまうのが、可笑しい。

中央会館はなにげにサクソフォンの「聖地」だ。
小串さん自身もアナウンス中で触れていた、リード氏が指揮をして小串さんが『バラード』のソロを吹いたジャパン・スーパー・バンドの演奏会、故・阪口新先生の平成元年のリサイタル、キャトルロゾーの結成十周年記念リサイタル(1984年)、そして、結成されたばかりの頃のキャトルロゾーがゲストで出演した、デファイエ・カルテットの来日公演(私が高校2年生の時だ)まで、みんなこの客席で聴いたものだ。
来年のHappy Sax 2006もここらしい。新たな「伝説」を作ってほしい、と願う次第。


帰りは、東銀座の「萬福」で、昭和4年の創業以来変わらぬ味、という中華そばを食す。懐かしき昭和の味でした。

2005.12.10

【聴いた】「ビジネスクラス」SE

(承前)夕方は次なる目的地、すみだトリフォニーの小ホールへ。
ビジネスクラス・サキソフォンアンサンブル(3月のアンサンブルコンクール本選でご一緒した)の演奏会のチラシを某所で偶然(ホントに偶然)拾い、行ってみようと思ったのだ。

途中、本日発売のバンドジャーナル最新号を買う(昨日のエントリ参照)。
件の追悼特集、移動の電車の中でざっと目を通したが、いやー読み応えあります。超豪華執筆陣一同に集結、というか。お葬式というと親類縁者友人がみんな集まってくるみたいな、あの感じ。
この顔ぶれの中に加えていただいたというのは、光栄なことです。

すみだトリフォニーに到着。小ホールは久しぶり。

 櫛田てつ(月失)之扶/「花鳥風月」II~intention
 富山県民謡より おわら節、こきりこ節、麦屋節(秋透・編)
 日本の歌~四季の彩り~
 ・琉球のふたつのうた(池辺晋一郎・編)
 ・どんぐりころころ(池辺晋一郎・編)
 ・冬景色
 ・春の小川(前田憲男編)
 ガーシュウィン/3つの前奏曲
 同 /「ポギーとベス」より(野本洋介・編):佐藤秀徳(Tp、FGH)
 同 /ラプソディ・イン・ブルー(渡部哲哉・編)

強力なコンセプトを感じる曲目だ。誰がどうやって選曲したのかな。興味がある。各カルテットチームとかがやりたい曲を持ち寄っただけでは、こうはならないだろう。(うちのアンサンブルでも、以前は各チームにお任せで選曲していたこともあったけれど、そうすると大抵、客の立場としては聴く気も起こらないような結果となってしまうのだ。)
演奏は、1部の日本物と、アンコール最後のSomeone to Watch over Me(ガーシュウィン)が良かった。日本人が日本の曲をやるというのは、自然なことなんだな。多少の技術的な隙なんか全然気にならない。
対して後半のガーシュウィン物は、難度の高い編曲だということはあるけれど、そうでなくても何かしら音楽自体が「無理」を強いているところがあって、それが正直に演奏に表れてしまう、というか。難しいものです。

それにしても、池辺晋一郎編曲の「どんぐりころころ」の面白さは昔から知っていたけど、前田憲男編曲の「春の小川」の素晴らしさに改めて感銘を受けた。そういえば楽譜持ってたような気がする。今度やってみようかな。

【聴いた】ベートーヴェン、シューベルト、エマール

tirasi558昼間は東京芸術劇場へ。
ピアニストのピエール=ロラン・エマールが現在来日していて、是非聴きたかったのだが、ソロリサイタルの日程が自分の予定とことごとく合わなかったので、読売日響とのコンチェルト(ベートーヴェンの3番)を聴いたという訳。

3階天井桟敷のG席(2000円)に座る。S席、A席、B席と来て一番安い席がなぜG席なんだろう、読売だからジャイアンツと関係あるのかしらん、そんなばかな、と思っていたらGalleryのことだそうだ。言われてみりゃその通りだが。
大きなホールの最上階後部は、壁や天井が近くて反射音が多いせいか意外とよく聞こえることが多い。東京文化会館の5階席が良い音なのは有名だし。

で、勿論ベートーヴェンは素晴らしかったのだが、後半のシューベルト「グレート」がまた、凄く良かった。
全く隙がなくよく整った響きで、しかも瑞々しく、まさにウィーン流儀というのか、なんとも魅力的な音。音色自体は9月に聴いたロジェストヴェンスキー(読響名誉指揮者)指揮の時よりずっと素敵だと思った。
指揮はカルロス・カルマー。知らなかったのだが、あのデプリーストの後任として2003年からオレゴン交響楽団の音楽監督を務める人らしい。なるほどねぇ。

ふと思い立って行ったにしては、非常に得たものの大きいコンサートでした。

2005.12.04

静岡遠征

友人の指揮者・中原朋哉氏が今般新しく立ち上げた室内オーケストラ、シンフォニエッタ静岡のデビュー公演(島田市 プラザおおるり)を聴きに、新幹線で往復してきた。
旅先で聴くコンサートというのは、気分的にも独特のものがあって後々までも印象に残ることが多い。この楽団はまた特別で、なにしろ9月の依頼公演では私自身がエキストラとして呼んでいただいていたということもあった訳で。おかげでもう一方の音楽監督の志田さん(ピアニスト)から、常連裏方のSちゃんに至るまで、顔見知り多し。

リンク先を見ると判るとおり、教育プログラム、室内楽、オーケストラそれぞれのステージを独立させた4回公演で、チケットも別、客もその都度入替えという、あまりないスタイルだった。
トマジの「芸者の遊び」なんて曲がこっそり入ってたりして、なにげに意欲的なのだが、プロの楽団ということで考えると、演奏レベルはともかくとしてもう少しお客さんの数を確保したいところだ。言うは簡単だが。
お客さんを増やす方法、なんてものが簡単にあるのなら私だって教えてもらいたいぞ。

今の時代、演奏団体を新しく立ち上げるというのは冒険だけど、頑張って欲しいと思う。
簡単ながら、明日も早いのでとりあえずこのへんで。

2005.11.27

【聴いた】ラフマニノフづくし

tirasi557東京都交響楽団 東京芸術劇場シリーズ・作曲家の肖像#58 ラフマニノフ

ピアノ協奏曲第2番(Pf横山幸雄)
交響曲第2番
 指揮:ジェイムズ・デプリースト

早々に全席完売していた話題の公演。これもやはり「のだめ」効果?
最初から最後まで、アンコールもラフマニノフ(ピアニストはプレリュードop.32-12、オケは「ヴォカリーズ」)の、お腹いっぱいのコンサート。といっても、ロシア的なコテコテさよりも、ヒューマンで人生肯定的な暖かさとおおらかさ、しかしそれでも細部はとても繊細な印象、を感じるのは、やはりデプリーストさんだからか。
4日前のときとほとんど同じ席なのに、聞こえてくる弦の量感は全然違う。そう、こうでなくっちゃ!

デプリースト月間の最後を飾るにふさわしい、充実した演奏だった。
さて、来月はいよいよジャン・フルネのラストコンサートであります。
楽しみ、という言い方は違うし、こういう場合何と言ったらいいんでしょ。

2005.11.23

本多俊之のコンチェルト、初演

tirasi556日本フィルハーモニー交響楽団 サンデーコンサート・スペシャル(東京芸術劇場)

ビゼー/「アルルの女」第1、第2組曲
バーンスタイン/「キャンディード」序曲
デュカス/魔法使いの弟子
ハチャトゥリアン/「ガイーヌ」より レスギンカ、子守歌、ばらの乙女たちの踊り、剣の舞
本多俊之/風のコンチェルト Concerto du vent(初演)
 須川展也(Sax)

午前中は藤野へ、午後は「須川展也オーケストラル・オンステージ」を聴きに、池袋へ。

須川さん、前プロからソリスト衣装のままでオケの中に乗っていて(「アルル」と剣の舞)、相変わらずサービス精神旺盛な方だ。
注目の本多さんのコンチェルト。第1楽章 順風、第2楽章 風紋、第3楽章 新風 という3楽章から成る。
2楽章までは我々にとってたいへん耳馴染みのある、ちょっと現代アメリカの吹奏楽オリジナル曲みたいな雰囲気がしていて、面白いかも、と思って聴いていたが、最後3楽章に至ってはやっぱり「須川コンチェルト」でした(^^;(←須川さん以外には演奏不可能、つーこと)。
作曲者の本多氏は、ジャズのアドリブのフレーズを基に書いた、というようなことを演奏前のトーク(舞台転換の場つなぎ)で仰っていたが、聴いていてあんまりそういう感じはせず、映画音楽的な流麗でゴージャスな音楽に仕上がっていたように思う。

今日はそれより、前プロのほうがあまりにもあんまりな指揮ぶりで、余程途中で帰ろうかと思った位だった。この指揮者、海外のコンクールで優勝したとかN響の定期公演に出演したとか、華々しい経歴がプロフィールに書いてあるけど、にわかには信じがたいものがある。
日フィルは今年に入ってから3回くらい聴いていて、なかなかいい感じの演奏を繰り広げていたのに、今日は薄っぺらな弦に雑な管という、昔の印象に戻ってしまったようで、ちょいと残念(席のせいではないと思う。わりと普段からよく座る位置だったので)。

2005.11.20

三崎でのモレティ

すっかり秋です。朝は恒例、藤野まで父の見舞い、帰りは八王子から横浜線全線走破、京急に乗り換えて終点三崎口まで、更にバスに乗り、三浦市民ホールへ。ファブリス・モレッティのリサイタル。
今回の来日、関東圏ではここでしか演奏会がないのだ。

ファブリス・モレッティ(Sax)&服部真理子(Pf) オータム・コンサートin三浦

ヘンデル/ラルゴ、パストラーレ
J.S.バッハ/ソナタ第6番
リュリ/優しい歌とクーラント
モーリス/プロヴァンスの風景
ボノー/組曲
ルルー/ダンス・ノスタルジーク
シャイユー/アンダンテとアレグロ
林光/『もどってきた日付』より 壁のうた、八匹めの象、花のうた(ピアノ独奏)
カントルーブ/オーヴェルニュの歌より 野原の羊飼い、バイレロ、3つのブーレ

三崎港のすぐ脇、海産物センター(魚市場)の2階に、470席の立派な小ホールがある。時々魚の匂いが上ってくるのがご愛嬌だけど。
かなり無理をしてでも来た甲斐のあった、いい演奏会だった。クラシックのサクソフォンによる「音楽」の原点を見はるかすかのようなこのプログラムに、モレッティ氏ほど似つかわしい人は居ない。
そういう曲達を、都会から離れて海辺の港町で聴くというのも、また一興。
近所からやって来た普通のおばちゃんのお客さんとかに、モレッティを聴かせちゃうというのも、また。

ルルー(Leleu)の「ダンス・ノスタルジーク」は、モレッティ氏が11歳(!)の時に音楽院の試験で吹いた曲なのだそうだ。11歳ねえ。自国の言葉を操るのとほとんど同レベルに自在なその演奏には、そういうバックボーンがあるのか。
アンコールにシューベルトのセレナードと、ピエルネの「カンツォネッタ」。世界最高の素晴らしさ。これが聴けるなら、多少遠かろうが行ってしまうというものだ。

cd073

ファブリス・モレッティ/Serenade Italienne(モモンガラボ)

本日、会場にて発売開始の新譜。勿論買いました。
(ジャケット色違いの)前作は編曲物だったが、今回はサクソフォン初学者のために書かれたフランスの易しいオリジナル曲を集めたもの(リュエフの「シャンソンとパスピエ」みたいな雰囲気のもの、と言えば良いか)。
日本にはほとんど紹介されたことのないような曲も多く、しかしどれもたいへん分かりやすくお洒落で、かつ魔法のように魅力的な演奏であります。

Moretti

終演後はお約束、ロビーにてサイン会。

会場でご一緒した、古巣の楽団の仲間M氏、先日の演奏会でお世話になったピアニストのKさん等と、会場の隣の店で回転寿司を食す。
回転寿司とはいっても、ネタの旨さと新鮮さは都内なんかとは比較になりません。至福の時。

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