【ハインツ・ホリガー(9月19日)】
9月19日(火)
ハインツ・ホリガー オーボエリサイタル
東京文化会館小ホール
M.ラヴェル/
ハバネラ形式の小品
カディッシュ
O.メシアン/
ヴォカリーズ・エチュード
初見視奏曲
H.ホリガー/
ライフライン~クララ・ハスキル讃(2020/21)*ピアノ独奏
コン・ズランチョ(2018)*オーボエ独奏
オーボエとピアノのためのソナタ(1957)*未発表
ピアノのためのソナチネ(1958)
A.ジョリヴェ/オリノコ川の丸木舟を操る人の歌(1953)
C.サン=サーンス/うぐいす
M.ラヴェル(D.Walter編)/ソナチネ
アントン・ケルニャック(Piano)
1939年生まれ、84歳の音楽界の巨人が、オーボエ1本で一晩のリサイタル。
ちょっと最近コンサート聴き過ぎなんだけど、20世紀と21世紀を跨いで音楽に関わった者としては、これは聴かない訳にはいかない。
客席は見渡す限り空席は一つもなかった。立錐の余地もない、とはこのことか。
自分の聴いたものが信じられない。
選び抜かれたフランス音楽の幾つかと、自作品によるプログラム。
自作はドビュッシー風のバルトークのような若き日の習作からハイパー前衛の近作まで、全く耳を飽きさせない。
サンサーンスの「うぐいす」は、誰もが彼のオーボエソナタの第2楽章を連想したことだろう。
そしてプログラム最後は、ソプラノサックスでもよくやられるWalter編のオーボエ&ピアノ版のラヴェルのソナチネだったが、正直言ってこの版、その変なオブリガート要らないから原曲どおりピアノだけで聞かせてよ、としかほぼ思ったことが無かったけれど、今日は納得した。こうでなくてはならん。
年齢を感じさせる部分は一切なかった。
ホリガーという「人間」さえ、もしかしたらいなかったかもしれない。
「音楽」そのもの、しかなかった。
すごい。途方もない。
テクニックがすごいとか、84歳!なのにあそこまで吹けてしまうのがすごいとか(充分にすごいけど)ではなく、本当のすごさはそれらをはるかに超えた上の次元にあり、そこにいた我々もがその次元へと連れて行かれる、ということだった。
アンコールを3曲も!人間じゃねえ。
私はランパルもニコレも、アンドレもランスロも生で聴くチャンスはありながら(来日公演のチラシや案内を見た記憶がある)結局聴かぬままだった者で、それはもう取り返すことはできないけれど、この日のあの至高の時間を過ごした記憶は忘れることなく携えて、この先も生きて行こうと思った。
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