【サクソフォーン・フェスティバル初日覚書】
第39回ジャパン サクソフォーン フェスティバル
小金井宮地楽器ホール
前回は2019年の3月だったから、4年ぶり。ずいぶん昔のことみたいだ。
2日めは行けなかったので初日(3月4日)、11時半の開演から20時半の終演まで、めいっぱい楽しんできた。
私が初めてこのサクソフォン・フェスティバルを聴いたのは第2回、1981年だけれど、こんなふうにみんなでそれぞれの流儀で「サクソフォン」を盛り上げよう、楽しもう、という雰囲気が定着してきたのは、実はようやく最近のことだったかもしれない。ずいぶん時間がかかったな。でもよかった(本来、最初からこうでなくちゃいけなかった)。
初日のメモをいくつか。
★「世界の栗林くん」作成の「日本クラシカル・サクソフォン全史」のロビー展示は圧巻だった!
これはある意味、「誰もやらなけりゃ私がやるしかない」仕事だったから、意思を継いでくれる人間がちゃんと現れたことの嬉しさと有難さははかり知れない。
このコンテンツは是非、1回や2回の展示で終わらせず、誰でもアクセス可能な場所に置いておきたい。
★愛好家ステージ。募集していたのを知らなかった(気づいた時は締切だった)。
4団体聴いた。立派でしたよ。國末さんのウェニヤンをこの枠で聴けたのはよかった。
最後の関西から来た若人二名にはいろいろ驚かされた。私は彼らくらいの歳の頃(1980年代)、上の年齢層の方々から「新人類」と呼ばれた世代だけれど、当時はきっとこんなふうに見られていたんだろうなあ。歴史は繰り返す。
★SAXOFOXのちゃんとしたステージを初めて観た!
かぶりものの存在感がすごい。
そして、やっていることは素面のときとそんなに変わらない(〇カルぼっくすとか)。芸達者!
★各音大対抗(違)によるサクソフォン・カルテットの夕べ。
例年は独立した催しだっただが、今回はフェスティバルの一環として開催。後半を少し聴いた。
「マスランカ祭り」みたいな曲目は往時とはずいぶん変わったが、教育の場で必要な音楽や求められる音楽性というものは時代が変わってもそう違うものではないだろう。「基本」あるいは「古典」というものの大切さを痛感。
最後の愛知県立芸大の、素直でシンプルな音楽が印象に残った。
★宮崎真一サクソフォーン博物館。1860年代の「アドルフ・サックス」から最新のシリーズⅢまで10本並べての、サクソフォン175年の総覧。
初日のハイライトだった。私のような「スレッカラシ(笑)」にとっては常識のような内容も含むが、それでも新鮮な気づきや新しい発見、実演ならではの面白さもいろいろ。実際の空間で生で聞かないとわからない違いや特徴もあるしね(というか、それこそが重要)。
★彦坂眞一郎タンギング講座。
脱線が多くて確たる印象が薄いのだが、「正解はない」ということと(だからこそ探求には果てがない)、ハーフタンギングの重要性。
私は40年近く前にロンデックス門下のO先生の下でレッスンを受け始めた時に、ロンデックス直伝のロングトーンならぬ「ショートトーン」というのをやらされたのを思い出した(メトロノームで2拍吹いて2拍休んで、音階を上から下まで。そこでタンギングと息の支えを徹底チェックされる)。目的としてはハーフタンギングの練習とかなり共通していたと今となって思う。
★大ホール夜のメインコンサート、ヤコブTVショー。
ちょっと癖ありな企画だし、ヤコブTVを8曲も続けて聴くのはいくらなんでも飽きが来るんじゃないかと思え、どうしようか迷ったが結局聴いてみたら結構面白かったぞ。やるほうが本気で面白がっている、あるいは面白がれるものを提供する、というのは大事だ。
« 【レイランド都響、シューマン「ライン」(2月24日)】 | トップページ | 【メッツマッハー&新日フィル(3月6日)】 »
「サクソフォン」カテゴリの記事
- 【訃報】ユージン・ルソー(Eugene Rousseau, saxophonist)(2024.08.28)
- パリ音楽院サクソフォン科、新教授決定(2024.03.16)
- 【サクソフォーン・フェスティバル初日覚書】(2023.03.06)
- 雑誌「The Sax」112号(2023.03.01)
- 赤松二郎先生の訃報(2022.12.21)
最近のコメント