【トルトゥリエ&都響、日本初演のF.シュミット】
2月14日(火)
東京都交響楽団 第967回定期(Bシリーズ)
サントリーホール
フォーレ/オペラ「ペネロープ」前奏曲
フローラン・シュミット/オーケストラとピアノのための協奏交響曲Op.82
阪田知樹(Piano)
ショーソン/交響曲変ロ長調Op.20
指揮:ヤン・パスカル・トルトゥリエ
いやはや見事。
すばらしい演奏会だった。
なんといってもフローラン・シュミットの秘曲の、おそらく日本初演。30年前に世界で初めて録音されCDが発売されて以後、世界のどこでも演奏された形跡がないという。
「ディオニュソスの祭り」と「詩篇」の豪奢と複雑さと濃密さを合わせて更に磨きをかけて、しかも演奏時間40分に拡大したかのような作品で、かつとてつもない難曲。よくやったもんだ。ソリストの阪田さんの強い要望で決まったとのこと。幸いであった。
演奏はまさに総力戦といっていい唖然とするような集中を見せた鮮やかなもので、もし30年前だったら日本のどこのオーケストラでもこの水準の演奏は絶対に不可能だっただろう。演奏終了後のトルトゥリエさんの嬉しそうな顔がすべてを物語っていた。
前後のプログラムもたいへん上首尾で、とくにメインプロのショーソンには感動的だった。
この曲は故ジャン・フルネ師の十八番で、フルネさんが客演した様々なオケで素晴らしい演奏を聴いてきたものだが、そのとき以来の久々の感銘。
フルネさんよりはかなりドラマティックな持って行き方だったけれど、変ロ長調という表記ながら憂愁に包まれた雰囲気と、胸の張り裂けるようなパッションと、金管がかなり活躍する熱く灼けるような輝かしい響きとが並び立った名演となった。
フルネさんが亡くなった後にこの曲をとりあげた人というと、カンブルランとか秋山さんとかヤマカズ君で、勿論この曲をわざわざやろうというくらいだから並みの人ではないのだが、それでも今回は桁違いの感銘だった。
トルトゥリエさん、前世紀の終わりから今世紀初めにかけて頻繁に都響に来ていた頃は、精悍な中堅指揮者というイメージだったけれど、ちょっと変わったな(ずいぶん貫禄もついた)。でもやはり、すごい人だ。
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