サマーフェスティバルその3~ハインツ・ホリガー
サントリー音楽財団 サマーフェスティバル2015
【8月27日】テーマ作曲家<ハインツ・ホリガー>(サントリーホール)
C.A.ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
グザビエ・ダイエ/2つの真夜中のあいだの時間(日本初演)
ハインツ・ホリガー/レチカント~ヴィオラと小オーケストラのための(日本初演)
Va:ジュヌヴィエーヴ・シュトロッセ
ハインツ・ホリガー/デンマーリヒト-薄明-~ソプラノと大管弦楽のための5つの俳句(委嘱作品・世界初演)
Sop:サラ・マリア・サン
シャーンドル・ヴェレシュ/ベラ・バルトークの思い出に捧げる哀歌
東京交響楽団
指揮:ハインツ・ホリガー
サントリーホールの夏祭り、今年は結局3つも聴いてしまった。
私はサントリーホールのメンバーズクラブの会員なのだが、会員限定のご招待募集というのを見つけて応募してみたら当たったのだ♪
ドビュッシー「牧神の午後」で始まり、ホリガーの旧作日本初演と委嘱新作の初演を経て、最後はホリガーの作曲の師であるヴェレッシュの「哀歌」(1945)で締めくくるという、大きな弧を描くようなプログラム。
それにしてもホリガーという人、世界で一番巧いオーボエを吹いて、なおかつ作曲家としても指揮者としても超一流だなんて、ズルイ(笑)。カケラでいいから才能を分けてほしい。
そして本日初演の委嘱新作は、自作の俳句!(ドイツ語)をテキストとしたソプラノとオーケストラのための作品で、この人の頭脳の構造というのはいったいどうなっているんだろうかと思ってしまう。
それにしても、ヨーロッパ語圏で"Haiku"というもの(5音節-7音節-5音節による3行の短詩)を愛好する方が一定数いらっしゃるというのは知識としては知っていたが、実際の作品を見たのは初めてかも。
聞こえてくる音は、特殊奏法でも何でも駆使して、夕べの空を流れる雲や夜露に濡れた木々の葉や吹きわたる風をオーケストラで鳴らす、という趣の、恐ろしいほどに繊細な響きの世界。
ホリガーが高く評価するというダイエ(1972~)の、デュティユーを思い出させるような明らかにフランス的な感性も印象的だった。
ホリガー氏が「牧神の午後への前奏曲」に寄せたコメントが素晴らしいので、以下に引用してみる。
簡潔で圧倒的な賛辞。
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私にとってドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』とは、近代音楽の始まりにおける灯台のような存在と言えます。この作曲家の動機的な構造、形式や音色を扱う際の全く新しい手法、複数のリズム構造を用いる際の新しいアプローチ、そして時間と動きを宙吊りにするやり方など、この曲は私が書こうとする、あらゆる音楽のひとつの規範となっています。
ハインツ・ホリガー
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