ミンチュク&都響
東京都交響楽団 第769回定期演奏会(東京文化会館)
ストラヴィンスキー/小管弦楽のための組曲第1番
ヴィラ=ロボス/モモプリコシ~ピアノと管弦楽のための幻想曲(「ブラジルの子どもたちの謝肉祭」による)
Pf:ジャン・ルイ・ストイアマン
ラフマニノフ/交響曲第1番
指揮:ロベルト・ミンチュク
(コンサートマスター:山本友重)
新年度が明けて最初の都響定期は、ブラジル人指揮者ロベルト・ミンチュクの客演。
5年前の2009年にオペラシティで開催された、ヴィラ=ロボス没後50年を記念した空前絶後の企画、「ブラジル風バッハ全曲演奏会」のために初来日した方である。
そのためか、今回のAシリーズ定期は、そのヴィラ=ロボスの珍しい作品(日本初演)を配した、少々玄人向けのプログラムとなった。
しかしこのミンチュクという人、南米の指揮者という「色物」として見られるだけではない、極めて正統的な実力の持ち主でもある。
快刀乱麻な合奏の捌きっぷり、とても整理された透明な響きは、特に最後のラフマニノフで見事に発揮されていたと思う。
この曲の初演が大失敗だったというのは分かる気がする。あれもこれも言いたいことを何でも詰め込んだ、若い作曲家ならではの意欲作なので、よほどちゃんとやらないとグッチャグチャになっちゃうんだろうな。
冒頭のストラヴィンスキーは、まるでサティか誰かの作品みたいなシンプルな何気なさがたいへん興味深かった。響きはストラヴィンスキーそのものなんだけど。
ヴィラ=ロボスに関しては、さすがにこの曲は知らないなあ、と思っていたら、なんとウチにCDがあった。
ヴィラ=ロボス本人が1950年代にフランス国立放送管弦楽団他を指揮した自作自演選集(6枚組ボックス)があるのだが、その中にひっそりと入っていた。さすがにCD6枚組となると隅から隅まで聴き込むことはなかなか難しいようで(「ブラジル風バッハ」とかは聴いていたんだけど)、見落としていたらしい(苦笑)。
そもそもMomoprecoceという曲名を何と読むのかも知らなかったし。
聴いているとサクソフォンの音が聞こえてくる。(今日は新井さんが吹いていた。)
ソリスト(ピアノ)もやはりブラジル人のオジサンだったが、これ1曲のために呼ばれたということだろうか。なんかすごい。
アンコールに、「ヴィラ=ロボス」、と一言呟いて、ブラジル風バッハ第4番(ピアノ独奏版)の「コラール」。
先週のBシリーズ(サントリー)を日記に上げてなかったので、書いておきましょう。
ブラームスが実にオーソドックスで純音楽的で綺麗な音で、心打たれた。
ミンチュクという人、1989年まで旧東独ライプツィヒのゲヴァントハウス管でホルンを吹いていたそうだ。
この人の、あらゆる意味でバランスの取れた正統的なスタイルは、そのようなキャリアの所以かもしれない。
4月3日(木)
東京都交響楽団 第768回定期演奏会(サントリーホール)
ウェーベルン/パッサカリアOp.1
バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第1番
Vn:エステル・ハフナー
ブラームス/交響曲第1番
指揮:ロベルト・ミンチュク
(コンサートマスター:四方恭子)
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