ジャン・フルネ未発表ライブ
大晦日になりました。
今年最後の更新は、その生誕100年の年の最後を飾って発売された、私の最も敬愛する指揮者ジャン・フルネ(1913-2008)と都響の、新しいCDについて。
サン=サーンス/交響曲第3番、フランク/交響曲ほか(Fontec/FOCD9605~6)
フルネ師の晩年の演奏様式は、本人が意図した以上に「巨大化」してしまった感もあって、古くからのファンとしてはちょっと複雑な気持ちもあるんだけど、今回新たに発売された2002~2003年のライブは(すべて私は客席で聴いていた)、それでもなお神々しいまでに感動的だ。
特に、びっくりするくらい各所がゆっくりのテンポで始まるサン=サーンスなど、もし今の時代に実際に聴くことができたら、先日のパリ管の同じ曲などメじゃないくらいに感動することだろう。
フィナーレのコーダに入る直前、テンポをぐっと上げたあと、一気にリタルダンドしてクライマックスになだれ込むところなんざ、鳥肌が立つかのようだ。
現代では珍しいレパートリーである、エネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」も含め、これらがフルネ師生誕100年の年に発売が間に合ったのは、なんともめでたくも感慨深い。
私にとって、フルネ師は「敬愛する指揮者」以上の存在だった。
学生時代は、お金を払ってコンサートを聴きに行く、なんて発想が一切なかった私が、現在のような年100回超えのコンサート・ゴーアーになったのは、フルネ師と都響、あるいはフレデリック・フェネル師と東京佼成woといった、80年代の東京での最も充実したコンビの生演奏を聴いて、プロの演奏家たちの真の集中と献身、そしてそれによってもたらされる唯一無二のかけがえのない時間、というものを再認識したことがきっかけだった。
興味を持って他のオーケストラも聴いてみて、はじめて、ほんの数年前の常識も通用しないような、東京のプロオーケストラ界のおそるべき充実ぶりも知ることになった、ということだ。
私の人生を変えた指揮者を、謹んで「師」という称号で呼ばせていただく。
来年もすばらしい年でありますように。
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