合宿の記憶
先週末の金曜の夕方から日曜まで、彦坂さん、アシスタントの長澤さんを迎えて、千葉の白浜で恒例春のレッスン合宿だった。
コテージ2棟を貸し切って、最大瞬間人数19人。
たぶん半分近くは初対面か、あるいは咄嗟には思い出せなかったくらい久々に会う方々だったけれど、何ということなく打ち解けてしまうところはやはりサックス吹きでした。
日常の時間というものは容赦なく記憶を洗い流して行くけれど、覚えているうちに振り返っておこう。
こんな鄙びた場所で3日間を過ごした。
きゃべつ畑と菜の花畑と松林の向こうは海。
桜は都心は満開だけど、こちらはまだまだ。
2日め(土曜)、個人レッスンはドビュッシーのラプソディ、私のいつものアンサンブルの初参加の仲間たちと受けたカルテットレッスンは、いろいろあって福島弘和編曲のシューマン「子供の情景」。
有名な「トロイメライ」を含むピアノ曲の、AATB版四重奏。
どちらもレッスン内容は入念を極め、コテンパンに絞られた。
個人レッスンは勿論、4人で受けたカルテットレッスンさえ、いわゆる「アンサンブルレッスン」という水準も、自分の日常の守備範囲もはるかに超えて、楽器を鳴らすという行為の根源まで溯る内容となった。
某音大卒という華麗なる学歴を持つメンバーも、「学生時代以来の本格的レッスン」だと言ってた。
それにしても、敢えてこのメンバー(ソプラノ無しのAATB編成)、この曲目で半ば無理やり受けたレッスンだったけれど、無理にでも受けて良かったと思った。
彦坂さんに
「この楽譜って凄く良い編曲だと思うけど、誰もやりませんよね」と言ったら、
「だって難しいもの。フランス物をペラペラ吹いてる方がよっぽど簡単だからね」
と事もなげに返された。
レッスンが終わって、夕食までの空き時間、4人で海へ散歩。
コテージの裏を流れる川に沿って遊歩道を5分ほど下ると、そこは太平洋。
浜辺にはウミネコ君たちがにゃーにゃー鳴きながら休んでいる。
なぜかひとりだけ群れからはぐれて私たちのまわりを歩き回るモデルウミネコ君がいて、皆で撮影会となった。
置物じゃありません。
何やってんだか。
コテージに戻って、スタジオで他の方のレッスンを見学とかしているうちに、夕食タイムとなる。
挨拶担当はなぜかいつも必ず長澤さん(笑)
自炊のコテージなんだけど、とてもそうとは思えないようなバラエティ豊かなメニューが並び、食べている間にもまるで呑み屋のように新しい皿が出来上がっては回ってくる。
料理長(笑)以下炊飯チームに、感謝。
そのままシームレスに宴会に突入。当然演奏あり。
初日夜からそうだったんだけど、ソロ、カラオケ、アンサンブルこきまぜて、高校生参加者の超まじめなラクール(45番)やクローゼから、彦坂・長澤両センセイの迫真のカラオケ演奏、かと思うとグダグダの即席初見カルテットまで、色々。
そんな中、長澤さんの生徒の初心者の大人の方(合奏経験殆どなし)が一人で吹いた「家路(遠き山に日は落ちて)」は、真っ直ぐでピュアで、なんだか心が洗われる思いがした。
私たちも「子供の情景」を披露しました。
彦坂さん曰く「ところどころレッスンの成果が聞こえた」(苦笑)
しかし酔っぱらって吹く曲じゃなかったな。
1時過ぎまで宴は続く。
合宿というと普通あまり建物の外には出ないんだけど、今回コテージ2棟を使っているおかげで、夜中とかに屋外を歩いて別棟とを行ったり来たりする機会がことのほか多かった。
空が広かった。月の光ってあんなに明るいんだ、と久々に実感した。
明けて最終日、やはり自炊の(彦坂さんお手製のオムレツは当合宿名物)朝食のあとは、荷物をまとめて別棟スタジオに集合し、全員合奏のリハーサル。
曲は高橋宏樹作曲「月森の詩~サクソフォン八重奏のための」。
私たち「サクソフォンアンサンブル・なめら~か」が2005年に初演した曲である。
去年のこの合宿に持って行って以来、彦坂さんはこの曲をいたく気に入って、各地のやはりこういうアマチュアの集い等で演奏してくださっているし、先日は上野学園大学サクソフォンアンサンブルの定期演奏会でもとりあげていただいた。
嬉しい事である。
2時間みっちりとリハーサル、そして通し。
解散後は、なめら~か4人組は慌ただしく皆と別れて路線バスに乗り込み、館山駅へ。
メンバーおすすめの「館山 中村屋」なるレトロな喫茶店で昼食。
ウェイトレスは全員妙齢のおばちゃん(笑)
モカソフトが美味。
15時台の高速バスで横浜へ。
途中「海ほたる渋滞」でかなり到着が遅れたが、寝ていたのであんまり関係なかった(笑)
白浜・館山の鄙びた空間から、いきなり横浜の大雑踏の中に放り出されて、ちょっと面食らった。
« 合宿に出発 | トップページ | 小泉都響モーツァルト&カルミナ・ブラーナ、別れの春 »
コメント