【聴いた】ロータスQのブラームス
JTアートホール室内楽シリーズ~No.377
ブラームス/
弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第2番
クラリネット五重奏曲
セバスティアン・マンツ(Cl)
ロータス・カルテット(小林幸子・マティアス・ノインドルフVn、山碕智子Va、斎藤千尋Vc)
12月になった。
11月最後のふりかえりは、29日(木)のJT室内楽。
普段オーケストラとサクソフォンばかり聴いていると、バランスを取るために時々こういうごく普通の室内楽とかを聴きたくなる。
というか、聴いていちばん勉強になるのは実はこういう演奏会だったりする。
自分が演奏するとして、音をきちんと並べる、というレベルを超えて何をしなければならないか、という問いに対する様々な示唆(普段は見えない方向からの)、があるからだろうか。
ロータス・カルテットは、日本で結成されたが、そのままドイツに本拠を置いて20年が経つという国際的カルテットだそうだ。
1stVnの方はすんごい衣装で出てくるのかと思ったら別にそんなことはなく(笑)
東京カルテットの衣鉢を継ぐ、という触れ込みだったが、たしかに技術的水準では東京カルテットを超えているんじゃないかと思ったほど。
休憩後のクラリネット五重奏曲が素晴らしかった。
クラリネット奏者は先年のミュンヘンコンクールの覇者で、シュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者だそうだ。
すばらしく繊細でなおかつ明るい、魔術のようなピアニシモを操る方で、前半で堅固に披露された弦楽四重奏という閉じて完成された世界に風穴を開けて、柔軟で解放された「歌」を引き出していた。
4人だけで一晩の演奏会を持ったら、こういう興味深い結果にはならなかっただろうな。
「集団」や「組織」と「個」のかかわりについて考えさせられた。
それぞれ35分くらいかかる3曲のプログラムに、アンコールでモーツァルトのクラリネット五重奏曲のアダージェット(!)まで披露し、終演は9時半を超える。
ホールを出る頃には雨となっていた。
ところで今日の演奏会、入場料は(JTのこのシリーズは全部同じだが)3000円である。
ちょっとした若い人のデビューリサイタルと同じくらいの値段を考えると、素晴らしいホール(300席弱)にこれだけの顔ぶれの出演者、というのは本当に安いというものだ。
東京というのは恵まれた街だよなあ。
こんな演奏会がいくらもあるのだから。
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