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2012.11.22

ふりかえりその6、モーフィンQ、マスタークラス

17日の土曜日は、昨年の大阪国際室内楽コンクールで優勝したフランスのサクソフォン四重奏団、モーフィン・カルテットの優勝記念ツアーの東京公演だったのだが、練習日のため行けず。
残念に思っていたら、翌18日にアンナホールで音大生カルテットを対象とした公開レッスンが開かれる(しかも入場無料)、という話を聞きつけ、行ってきた。

モーフィン・カルテット(Quatuor Morphing)マスタークラス・レッスン(ノナカ・アンナホール)

受講者・曲目
デザンクロ/サクソフォン四重奏曲(1、2楽章)
 昭和音楽大学
 (S神保佳祐・A細川慎二・T牧野遼介・B奥野祐樹)
リヴィエ/グラーヴェとプレスト
 国立音楽大学
 (S浜田由美・A岡田恵実・T西田剛・B鈴木響子)
通訳:大石将紀

手元のメモによると以下のような感じで進行した。
「」内はモーフィンQメンバーの発言。
録音などをしていた訳ではなく、現場で聴きながらの走り書きにつき正確さについては保証できないので、引用等はしないでください。

まずは昭和音大チームのデザンクロ。第1楽章を通す。
たいへんよくまとまった手堅い演奏。
「ブラヴォー」
「一緒に長くやっているチームの演奏に聞こえるがどうか」
4年め、という答え。
「たいへんすばらしい演奏で、『教える』ということは特にない、一緒に勉強していきましょう」
冒頭のバリトンからソプラノの出までのつなぎを「もっとしなやかに」、と何度も返す。
なめらかに流れる主旋律部分と、合いの手のように入る鋭い部分の対比について言及。
「フレーズ毎の音色の変化をもっと」
「拍子やフレーズの意味、作曲者が何を意図してそう書いたかを考えるように」
Dの4小節め「そこからさらに違う色で」
Fの6前のバリトンソロ「そこはdim.ではあるが、4人分を支える力をもって。低音域に時間をかけて到達すること(いそがない)」
F2前のアクセント付きのソプラノソロ「そこは試みに、うんと自由にやってみてはいかがでしょう」と、すごいルバート付きでやらせた。
聴いたことのない流儀でちょっと驚き。
「他の団体がやらないような、自分たちの独自のやり方(versionという言葉を使っていた)を探してみると良いでしょう」とのこと。
ここまでに既にかなりの時間を費やしており、以下は同様、という感じで流す。

第2楽章。通して演奏。
「たいへん難しい曲だがとてもよくできている、ピッチも良い」
「このような曲では、楽譜からさらに遠くへ離れる姿勢が必要だ」
冒頭から返す。少し窮屈そうな感じ。
「冒頭の部分をしなやかに吹ける、発音しやすいセッティングを各自で研究すべき」とのこと。
「試しに、小さく吹かなければとかそういう技術的なことは考えずに、音楽のみに集中してやってみてください」
と言ってもう一度。みちがえるような自然で繊細な響き。素晴らしい!
「ナイーヴな流れを」
「どんなときでも、常に具体的なイメージをもって演奏してください」
「例えばこの楽章の最初は、何をイメージしますか?」とメンバーに質問。
アルト奏者が、子供の頃住んでいた家、と答える。モーフィンのソプラノ氏大きく頷く。
「メンバーでよく話し合って、イメージを共有してください、同じ家である必要はないが(笑)」
「楽譜を尊重する姿勢はもちろん必要だが、自分たちが自由に感じたものに従って演奏することが大事だ」
中間部の絡み等はたいへんよく出来ており、アンサンブルについての技術的な言及は無しで終わった。

休憩後は国立音大チームによるリヴィエ。
通して演奏。
全員雲井門下とのことで、前半のチームとはかなり違う個性が興味深い。
「グラーヴェ部分とプレスト部分の相互の関係性を持たせること」
「グラーヴェはうんとかなしく、プレストはもっと楽しく。音符や縦を揃えるよりもそういうことが大事」
こちらのチームは、ほぼ全ての音にヴィブラートをかけるスタイル。
「試しに冒頭はヴィブラート無しで、途中からかけるようにして」と冒頭からやらせる。
「ヴィブラートはケチャップのようなものだ、かけ過ぎると全部ケチャップの味になってしまう、ヴィブラートをかける場所、なぜかけるのか、その意味は、ということを考えた方がよい。(あなたたちの)ヴィブラート自体(かけ方)はとても美しい」
また、「発音の瞬間と音をのばした部分でピッチが変わってしまう。喉の開きをキープして」という指摘。
音楽的には、持続と変化、という対比に関して幾つかの突っ込み。
「(練習番号)8から9に入ったところ、もっと変化を」
「fff(フォルテ3つ)をもっと強く」
「テナーとバリトンの6連符は、ひとりの人が喋っているかのように」
プレストの再現部(練習番号12)、「面白く!」
練習番号13でモーフィンメンバー、両手Vサインで踊り出す(笑)
「ここはトム&ジェリーです」
コーダ(練習番号18の先のpiu vivo)、「ここからはさらに輝かしく、花火のように」
最後にヴィブラートの事と、喉の開きの件に再び言及して終了。

10分ほど休憩、その後は予定外にモーフィンQによるミニコンサート。
グラズノフの第3楽章、メンデルスゾーンのOp.81のカプリッチョ。
大きなスケールの中で、自分たちのやりたいことをやり尽くした、という趣の、自在かつ闊達な演奏だった。
何があろうと、何をしようと、私たちの正統性は揺るがない、という、ヨーロッパの音楽家ならではの絶対的な自信のようなものと説得力が、凄かった。
17日は聴けなかったが、今日こういう機会があったことは本当に良かった。
ヴィブラート云々については私も感じたところ・考えるところがあるので、いずれ書いてみたいと思う。

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