ブルーオーロラ、ブルー・バッハ
三連休の最終日は、ソプラノサックス片手に終日外出。
時折雨のぱらつく蒸し暑い1日だったが、なんとか傘は使わずに済んだ。
昼は渋谷のアクタスにて、ブルーオーロラ・サクソフォンカルテット(BASQ)の、セカンドアルバム発売記念コンサートへ。
このコンサート、入場料は3000円なんだけど、
「ご来場の方には、もれなくブルーオーロラの新CD『ブルー・バッハ』(3000円)をプレゼントいたします」
とのことで、要はコンサートというよりはCD発売記念イベントの一種なんですね。
タワレコとかの店頭でよく、無料ミニコンサート+CD即売会+サイン会、というイベントをやってるけれど、そういうのの発展形というか。
無料イベントだと聴くだけ聴いて帰っちゃう客てのが絶対いるけれど、このやり方だと確実にCDは売れる訳だし、一種の「おトク感」で引き寄せられる客も来る訳で(私もまさにそうだ。笑)、面白いやり方だと思うけれど、「コンサート」の開催の仕方としてはちょっとどうかな、と思わなくもない。
ともあれ、会場に着いて受付で件のCD(店頭発売は26日で、今回は先行販売)と宣伝チラシを渡され、席に座る。
80席ほどの会場は、最終的にはほぼ満員。
プログラム冊子というものも無かったので、CDの収録曲を書いておきましょう。
主よ、人の望みの喜びよ
G線上のアリア
トッカータとフーガ
マタイ受難曲より アリア「憐れみ給え、わが神よ」
平均律クラヴィーア曲集第2巻より 第1番
平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第17番
コラール「来れ、異教徒の救い主よ」
コラール前奏曲「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」
ゴルトベルク変奏曲より
プレリュード(平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番)
BASQプレリュード(平均律クラヴィーア曲集第1巻第2番)
これらの中から、4人の夢幻的な完全即興によるイントロを伴う「主よ」に始まって、得意の「BASQプレリュード」(全員立奏、これが平均律の2番だって言われたって判んねえよ、というぶっ飛んだ例のアレ)で終わる、休憩なしの1時間ほどのプログラムが披露された。
主に平野さんのかなりにグダグダな(笑)MCで進行。
一番の問題作の「ゴルトベルク」がコンサートでは演奏されなかったから、ということもあると思うけれど、予想外に楽譜に忠実なアレンジの曲目が多かった、という印象があった。
「トッカータとフーガ」とか、平均律のプレリュードとフーガとか。
それでも、「トッカータとフーガ」などでは、「クラシック」の演奏では普通やらないようなバリバリの発音とか、かなりに強烈なアプローチに驚いた。
でもそれはそれで良いのだ。この時代の演奏は、即興が当り前だったんだし、不等音符(ちょうど私たちが「Swing」と書かれた楽譜を演奏するように、同じ音価の音符が並んだらわざと付点ぽく弾くこと)などという言葉があるように、楽譜を崩して弾くのも普通だったのだから。
肝心なのは、どんなに崩しても、どんなにハジケてアレンジをかけても(あるいは「楽譜どおりに」演奏したとしても)、そこに「バッハの音楽そのものによる感動」、が残っているかどうかで、その点ではBASQの演奏は立派にバッハの真実を伝える役を果たしていると思えた。
最終的な印象は、うーん、なんだかんだ言っても、バッハはやはり偉大である。ということ。
コンサートとしては「もう少し聴きたい」、という長さだったが、「続きはCDで」、というのが趣旨なのだから、これで良いのだろう。
終了後はその場に机を並べてサイン会。4人にサインを戴いて退散。
西本さんの漢字のサインが新鮮だった。
…
余談だが、CDのライナーノート(木幡一誠)に
「(「トッカータとフーガ」の)サクソフォン四重奏による録音はおそらく世界初だろう」
と書いてあるけれど、そんなことはありません。
私は少なくとも2種類のCDを聴いたことがあるし、実演にも何度か接した。
楽譜もRoger Greenbergという人のアレンジが出版されていて、私も(本番ではないけれど)吹いたことがある。
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