波多江・平賀門下生の会
波多江史朗・平賀美樹門下生サクソフォン発表会(幡ヶ谷・KMアートホール)
土曜日(7日)、上記のような催しの客席に座る。
波多江さんの門下会には以前、カルテットで出場させていただいたことがあったりと、なんだかんだで浅からぬつながりがあり、また今回はトリが元カルテットの仲間(現在遠方出張中)ということで、楽しみにしていた。
会場は、京王新線の幡ヶ谷駅から昔日の玉川上水の跡である広い緑道を歩いた先の、住宅街のさ中にあるサロン。
5部構成、5時間におよぶ発表会で、遅刻して2部が始まってしばらくしての到着となってしまった。
プログラムはこんな感じ。
すごいでしょ。
音大生、音大受験生、卒業生、アマチュアとりまぜて20人(ひとり急病キャンセル)。
サクソフォンのスタンダードなレパートリーをほぼ網羅する展覧会、という趣。
途中からとはいえそれでもたっぷり3時間以上は聴いていて、これだけ聴いたら疲れるだろうなあと思っていたが、実にそれぞれに聴き応えある演奏の連続で、全然そんなことはなかった。
これだったら最初から全部聴いたとしても全然OKだっただろう。
聴けなかった皆様ごめんなさい。
面白さや聴き応えの内実は人それぞれで、演奏から感じとれる音楽とそこへの探求、というのは人の数だけある。
初めて聴かせていただいた方の清新な印象や、何度か聴いたことのある方の変化と定着と熟成、その軌跡と予感。
そういう意味での、すばらしい新境地を見せてくれた人もいたことは、ひたすらに嬉しかった。
技術というのは漸進的に伸びる(こともある)けれど、センスというのはそうじゃないな、などとも思った。具体例は挙げないけれど。
技術以外のそういったセンスの有無や多少というのは、アマチュアと音大生、音大生でも何年生かという年齢や経験の差とも、あまり関係がないようにも思う。
レッスン室とホール、また、ホールと言っても500人以上の大きな会場と今回のような数十人規模の小さな会場での響かせ方の違いを感得している人は、意外といないなあ、とか。
そうそう、このプログラムのピアノをほぼ一人で全て弾いたピアニストの泉谷絵里さんに、最大限の拍手。
考えてもみてほしい。ひとりのサクソフォン奏者が、1回のリサイタルでこれらの曲目を全部吹こうなんて、絶対に思わないしあり得ないでしょ。
ほとんど、故岩城さんやコバケンの「一晩でベートーヴェン全曲」みたいな世界だ。
でも、ピアニストに対しては、引き受けてくれるのをいいことにこんな無茶を頼んでしまう。
グラズノフ、イベール、クレストン、デザンクロからデニゾフにまで至るこれら全てのレパートリーを、1日の間にプロフェッショナルのクオリティを以て演奏できるということの凄さは、どんなに強調してもし過ぎることはない。
発表会の最後は、講師お二方と泉谷さんの3人で、ジャン=ミシェル・ダマーズのトリオ。
原ひとみさんと栃尾さんのために書かれた曲である。
フランス近代の忘れ形見のような独特のハーモニーが、みんなの出番が全部終わってリラックスした空気漂うサロンに響いた。
記念撮影など。
打ち上げは近所の中華料理店にて、久々に会う友人知己たちとあれこれ歓談。
サックス吹きの宴会は楽しい(笑)
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