ブルーオーロラ
うぅ寒い。いくら「12月」になったからって、いきなりコレはないだろ。
という訳で、雪になりそうな冷たい雨の中、本年最後の1ヶ月が始まった。
初日からコンサート。
ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット CDリリース記念コンサート(浜離宮朝日ホール)
J.S.バッハ(平野公崇編)/コラール・プレリュード「来れ、異教徒の救い主よ」BWV659
モーツァルト(平野公崇編)/オーボエ四重奏曲より 第1楽章
チャイコフスキー(平野公崇編)/「四季」より 10月
ラヴェル(久保田麻里編)/「クープランの墓」より プレリュード
グラズノフ/サクソフォン四重奏曲
武満徹/一柳慧のためのブルー・オーロラ
バルトーク(平野公崇編)/「ミクロコスモス」第6巻「ブルガリアのリズムによる6つの舞曲」から
平野公崇/ララバイ(新作)
「あの」平野さんが満を持して結成したサクソフォンカルテット。
ハバネラQ.の日本版のようなものを期待したらちょっと違って、しかし平野ワールド全開のたいへん興味深いカルテットだった。
客席も盛況。普通のサックスの演奏会とはちょっと違う、平野さんの固定客が集まったのかな、という感じの年齢層高めなフレンドリーな雰囲気。
正直言って最初の小品4つは困惑した。
どのような価値観を以て臨んでいるのかよく分からなかったのだ。繊細ではあるけれど響いてないし、鳴ってもいないし、中押しの発音がすごく違和感があったし。
しかしグラズノフは感心した。
演奏者がその場で演奏しているのではなく、別の場所から遠隔操作で動かしてるんじゃないかと思うほどの恐ろしい客観性と、一種の素っ気なさと(にもかかわらず)集中とテンションには圧倒された。
国内外、いま昔のどんなカルテットでも聴いたことのないアプローチだ。
後半は、まさしく平野ワールド。
武満は、図形楽譜、楽器も編成(人数)も任意という、ちょっとズルイ、と言いたくなるような作品で、タイトルどおりのほの暗い青い照明の下、客席通路で回りながら(本当にぐるぐる回転していたのだ!)吹きまくる平野さんのソロに始まる、60~70年代の前衛のようなシアターピースが展開された(大石さんは楽器を一切持たず、扇子を手に舞い踊った)。
続くバルトークも、「江戸子守歌」を元ネタにした平野さんの新作も、いったいどこまでが原曲でどこまでが譜面に書いてあってどこが即興なのか全く分からない、自発性のカタマリ。
凄い勢いの拍手に応えてのアンコールが、この上、平野さんの十八番、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」に平均律2番のプレリュードという両「窯変バッハ」、と来ちゃうんだから、コチラとしても拍手するしかありませんでしたとさ。
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