マーラー・イヤーの締めくくりに…デュトワN響千人
NHK交響楽団 第1715回定期演奏会[Aプログラム](NHKホール)
マーラー/交響曲第8番「千人の交響曲」
Sp:エリン・ウォール、中嶋彰子、天羽明惠
Alt:イヴォンヌ・ナエフ、スザンネ・シェーファー
Tn:ジョン・ヴィラーズ
Bar:青山貴
Bs:ジョナサン・レマル
東京混声合唱団(合唱指揮:松井慶太)
NHK東京児童合唱団(合唱指揮:加藤洋朗)
指揮:シャルル・デュトワ
2010/2011年の2年にわたるマーラー・イヤー(生誕150年/没後100年)の終わりに、極めつけにでかいヤツが待っていた。
(次のメモリアル・イヤーは50年後で、その時には私はもう生きていないだろう)
あの広い広い体育館のようなNHKホールの舞台が一番後ろまでぎっしり、というのは滅多に見られない光景だった。
千人とまではいかないが、800人くらいは乗っていたらしい。オケはなんと20型(ヴァイオリンだけで38人、コントラバスが12人)。
今日と明日の2回公演だが、3700席のこの巨大会場が両日完売だそうだ!
世の中には、どうして感動するんだか考えてみるとよく分からないが聴けば必ず感動する音楽、というのがあって、マーラーの8番というのはそういったものの再右翼だろうと思う。
結局のところこの音楽の発想とテキストが、私たちとは根本のところで違う西欧文化の要諦である、ということなんだけど。
さて今日の演奏、細かいことはいろいろあったけれど、いや、やっぱり凄い曲だと心底思ったし、これを演奏するというのはホントに一大事業だと思いましたよ。
マエストロ・デュトワはまさに本領発揮、というカリスマ性を以てこの場を支配した。
ベルティーニの晩年もそうだったが、あの精力的で的確で素早い身体の動きは、とても今のこの人の年齢(75歳)が信じられない。(ちょっと振り分け過ぎのような気はしたが)
デュトワという人は私にとって、数多く演奏(実演)に接するうちにだんだん好ましく思わなくなっていった、というところはあったけれど、今度ばかりは悪い印象をいったんチャラにしても良いかな、とさえ思った。
ただ、この人は音楽家というよりは職人なんだな、ということはいつもにも増してよくわかった。
児童合唱(N児)が素晴らしかった。
プロの東混を食ってしまうかのごとき巧さと鳴りにはびっくりした。(東混は弱音部分の安定感などはさすがプロ、と思ったが)
オーケストラは、これほど大がかりな場でも日本的なお祭り騒ぎに陥らない客観性と鋭さを保持していた
ホルンセクションが印象的。今回、引退された松崎さんが一時復帰してトップを吹いていたんだけど、ソロでも全員でも安定感がいつもとは段違いで… この人を引退させたのは間違いだろ、と思うと同時に、これほどの人の後継者はなかなかいないんだろうな、とちょっと同情もした。
とまあ、いろいろ。あとはTVで観てくださいな。
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