有村さんリサイタル2011
11月4日。
ここのところ、興味深いことごとが毎日毎日起こるので、ブログに書き留めるのが間に合いましぇん。
有村純親(Sax)&松浦真沙(Pf) デュオ・リサイタルVol.6(サントリーホール・ブルーローズ)
ドビュッシー/ラプソディ
ファリャ(P.コハンスキ編)/スペイン民謡組曲
ロベール/カデンツァ
松浦真沙/水毬~箏、テナーサクソフォン、ピアノのための(初演)
箏:田中奈央人(奈央一)
ブラームス/ソナタOp.120-2
残念ながら遅刻、着いたら2曲めのファリャが始まったところで、前半最後のロベールから席に着く。
でも終わってみたら、途中からしか聴けなかったことを忘れてしまいそうな、すばらしく充実した演奏会だった。
とにかく巧い、のは勿論なんだけど、ここまで「巧い」人というのは、演奏になにかしらの「感じの悪さ」が出てしまうことが往々にしてあるのだが、そういうのが一切ないのが良かった。
あの激烈なロベールが、とてもリリック(抒情的)な音楽に聞こえたのが印象的だった。
ロベールという人の音楽にこういう面があるということを教わるのは珍しい。
有村さんのリサイタルには毎回、様々な意表をついた興味深い楽器(など)のゲストが登場するけれど、今回は箏。
箏という楽器には、一弾きの音で周囲の世界を一変させる力がある。
これだけキャラの強い「和楽器」と、サクソフォンとピアノを協奏させるというのはかなり手強い試みだったようだけれど、なんと曲のインスピレーションをギリシャ神話(アレトゥーサの泉)に求めるという荒技に出た。
シマノフスキの「神話」の1曲めと同じ題材だ。
勿論、出来上がった印象はシマノフスキとはまるで違い、少し活劇調のところもあったのはこの編成に似つかわしく感じた。
アンコールという訳ではないが、箏奏者の田中奈央人(奈央一)さんによる楽器の説明と独奏曲のデモンストレーションはたいへん面白かった。
「須磨の嵐」のさわりでの箏弾き語りによる美声の唄には、満場しんと静まり返って耳を傾けていた。
自分がいったい何の(誰の)コンサートを聴きにきているのか、一瞬分からなくなった。
メインがブラームスで良かったな。これの後にヘタにサックスのオリジナル曲とかを持ってきたら、位負けしそうだったから。
発売になったばかりのおふたりの新譜CD「ロマンス」(Fontec)を、ロビーにて購入。
なんとテナーで演奏したシューマンの「3つのロマンス」とか、アレンジ物中心による大胆な選曲。
昨年のリサイタルで披露されたブラームスの「1番」ソナタを所収。
ヒンデミットの次に置かれた松浦さんの作品が、この流れの中で全く違和感無かったことに驚嘆した。
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