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2011.11.22

ジョリヴェ「火の玉」CD化とデファイエ

先般、かつて「火の玉LP」と呼ばれた(?)ジョリヴェのピアノ協奏曲「赤道コンチェルト」の名盤が、遂にCDで発売された。
フィリップ・アントルモン(ピアノ)、ジョリヴェ指揮パリ音楽院管弦楽団による、1965年の録音。
録音以後46年経っての、なんと待望の世界初CD化である。(Sony)

CD, Sony SICC1522

1951年のパリ初演時には、「春の祭典」以来の大騒動となったという問題作。
初演後未だ15年、当時の時代ならではの「熱さ」を、そのまま眼前してくれるような作品であり演奏である。
しかし録音と演奏の鮮やかさは、とてもこの時代のものとは思えない。
この曲はオケ中にサクソフォンが使われているのだが、Donaxさんの判断によるとデファイエが吹いているとのことである。
私もその判断に同意する。
カップリング(ミヨーのピアノ協奏曲と「世界の創造」ピアノ五重奏版)、ジャケットデザイン、中の日本語解説もオリジナルのLPどおり。
30センチ角の真っ赤っ赤なLPジャケットの迫力からすると、12センチ角のCDジャケットはずいぶんおとなしく見えるけれど、このデザインを残してくれたことは嬉しい。

CD, Solstice SOCD81

ジョリヴェのピアノ協奏曲は、CDでは既にずいぶん前からこれが出ていた。(Solstice)
エルネスト・ブール指揮ストラスブール放送交響楽団、デスカヴェ(Luciette Descaves)独奏による1968年のライブ。
でも、改めて聴いてみると、演奏の切れ味はアントルモン盤にははるかに及ばないと思う。ピアニストの音色はとても綺麗なんだけど。
こちらはむしろ、ジョリヴェ自作自演の「交響曲第3番」(1966年ライブ)が聴きもの。
全3楽章26分、「ピアノ協奏曲」より、もっと弾け飛んだ「現代音楽」である。
オーケストラはフランス国立管弦楽団(Orchestre National de France)とのことだが、1966年当時このオケはまだ無かった筈なのだが…?
こちらにもサックスが使われている(アルト、テナーの2本)。ライブ録音で音像が遠くて判断しづらいけれど、アルトはデファイエである可能性が高いと見ている。

デファイエの音は、一聴してすぐそれとわかる音だ。
ロンデックスは来日時のインタビューで、「ミュールの音は、街角のラジオから1フレーズ聞こえてきただけですぐにそれと分かる」と言っていたけれど、その調子で言えば、デファイエの音はオーケストラの音群の中から一瞬聞こえてきただけで私にはすぐに分かる。
何の基準で、と言われると自分でもよく分からないんだけれど、十代の後半という時期に毎日のようにこの人のレコードを聴いていた、ということは大きいと思う。

ミヨー自演の「世界の創造」とか、マルティノン指揮の「ルル」とか、これはデファイエではないか、と思われる音の聞こえるCDについて今までにも書いたことがあるけれど、この機会にもうひとつ、私がこれは絶対デファイエだ、と思っている録音をご紹介。

CD, Erato 4509-98526-2

モーリス・デュリュフレ(1902-1986)作曲、オーケストラのための「3つの舞曲」。デュリュフレ指揮フランス国立放送管弦楽団。(Erato)
デュリュフレは高名なオルガン奏者で作曲家(「レクイエム」が有名)で、パリ音楽院の和声の先生(デファイエの師でもある)で指揮者でもあるという、フランスの高等音楽教育の成果を体現するような「ミュジシアン・コンプレ」(完全な音楽家)である。
この曲は日本でも時々演奏されているようだけれど、第3曲「タンブラン」後半の、堂々たる大サックスソロを機会があったらぜひ聴いてみてください。

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コメント

“火の玉”って呼ばれてるんですか?!(笑)
CDになりましたね、ついに!

このLPを手にいれたのはもう30年も前のことです。その当時でも発見場所は中古レコード店でした。

たしかにこの“ジャケットデザイン”に惹かれて買った一枚でした。“ジョリヴェ”云々の前に。

よくぞ残してくれました!

また買うつもりはないけど店で見つけたら買ってしまうと思います(笑)!

私は、このLPは一度1300円くらいで値下げ再発売された機会に買いました。やはり30年くらい前だと思います。
LPはかなりの数処分しましたが、これはまだ手元に残っています。

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