11月12日、日本フィル…ラフマニノフ1番!
日本フィルハーモニー交響楽団 第635回定期演奏会(サントリーホール)
ショパン/ピアノ協奏曲第1番(Pf:岡田博美)
ラフマニノフ/交響曲第1番
指揮:アレクサンドル・ラザレフ
(コンサートマスター:扇谷泰朋)
土曜日を振り返る。
目の覚めるような素晴らしい演奏会でした。
岡田博美さんのショパンがまず良かった。
誰でも彼でも弾くショパンの1番だけど、こんなに瑞々しく詩情あふれる演奏は本当に久々に聴いた気がする。
岡田さんというとまず、都響の1月定期で邦人作曲家の得体の知れない(失礼)ピアノ協奏曲を鮮やかに弾きまくる超絶技巧の人、というイメージなんだけど、とてもとてもその程度の枠に収まる人ではない。
音の美しさ、緊張感の鮮やかな持続と目指すもののぶれの無さが素晴らしい。
ここ最近聴いた、大きなコンクールでちょっと1位になった程度の若い人たちの「上手な」演奏など、及ぶところではない確かさだった。
休憩後のラフマニノフ1番は、更にスケールアップした見事さだった。
熱く舞い歌う弦と、切れ味鋭くたたみかけるティンパニ、エネルギー充填120%で(まるでロシアのオケのように)轟きわたる金管。
休憩時間に、たぶん首席トロンボーンの藤原さんだと思うんだけど、舞台上で実に伸びのある見事な音でロングトーン(音出し)をされていたのを聞いて、これは後半が楽しみだな、と思ったのだが、期待以上だった。
ホントにこれ日本フィルか、と思ってしまった。
ラフマニノフの1番というと、初演の大失敗のおかげで作曲者自身しばらく作曲ができないほどのノイローゼに陥ったという、いわく付きの失敗作ということになっているけれど、いやあ、全然そんなこと無いじゃないですか。
と思ったら、こちらのブログを読むに、これは最初からラザレフ大将の「花形満の予告ホームラン」だったようですね。
お見事、である。
ラザレフという人は、日本フィルに着任して最初にプロコフィエフのチクルスを始めるに際し、たまたま同時期にゲルギエフとロンドン響のチクルスと重なったのだが、その時にもジャーナリスト相手に
「私たちのほうが絶対にいい演奏をしますから、」
と大見得を切ったということがあった。
そのときは、意気込みは素晴らしいけれどいくらなんでもそれは…と思ったものだったが、あれから3年が経って、単なるハッタリでない内実と実績を備えつつあることを実感する。
予定ではとっくに完結しているはずだったプロコフィエフのチクルスは、いろいろあってまだ終わっていないけれど、今般始まったラフマニノフのチクルスと共に、大いに期待したい。
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