川口リリア、新井さん
新井靖志 サクソフォン・リサイタル~夕べの歌 Abendlied(川口リリア・音楽ホール)
仕事帰りに聴くには川口はいささか遠くて、残念ながら後半しか聴けなかった。
神戸や福島から聴きに来ていた友人知人たちの前で、遠いなんて言っちゃったらバチが当たるが(笑)
まあ、ブラームス(Op.120-2のソナタ)が聴ければいいや、と思っていたら、前半にやられてしまった。うあああ。
それでも、後半のポッパー(テナー、原曲チェロ)、ミヨーのスカラムーシュ、スパークのパントマイム(テナー)を、しみじみと聴いた。
あの、どこまでもなめらかな音。
あれを「レガート」と呼ぶならば、私が普段吹いているのなんかレガートでも何でもない。
そして、特にテナーで顕著な、完璧という以上の技術とコントロールと、人間の心の内面へと傾斜する深い情感の共存。
新井さんって、ヨーヨー・マのような演奏家だと思った。
後半は曲間でマイクを持って喋りながらの進行だったけれど、感極まって気持ちが入りすぎたか、話がやたらと長くなってしまった(笑)
純粋な人ですね。
純粋な人ほどこういうときの話が長い、というのは私の持説。
新井さんらしからぬコントロールの乱れも、たぶん気持ちの入りすぎの故。
まあ、いいじゃないですか。
超満員、とはいかなかったけれど、あまり宣伝もしていなかったにしてはそこそこ結構埋まった客席を見ていると、どれほどたくさんの人が新井さんの復活を待ち侘びていたかが、はっきりと、しかし暖かく感じ取れた。
アンコールに、まずバーンスタインのウェストサイド・ストーリーより「マリア」。(やべえ、アレンジは違うけど、オレもこれ明後日吹くんだよなあ)
そして、CDのタイトルにもなったシューマンの「夕べの歌」。
最後の伸ばしの音のディミヌエンドが、ピアノの響きの減衰の中に、夕闇が落ちるようにゆっくりと溶けていった。
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