(改題)玉川上水の「マウンテン・ロード」
日付は前後するが18日(火)のこと。
大きな行事がやっと終わって落ち着いたところで、思い出しつつ書いてみる。
休暇を取って、いろいろな雑用、関係各方面への連絡等を片づけた1日となった。
午後は、先週末に行けなかった青梅往復。
帰りは拝島で降りて西武線に乗換え、玉川上水で降りる。
本日の締めくくりは、国立音大の室内楽演奏会(国立音大講堂・小ホール)。
午後6時開演なので、これに合わせて他の予定を組んだ。
駅名の由来の、玉川上水。
350年にわたって江戸~東京の上水道の水源を為し、現在も(この部分は)現役で稼働中。
去年もちょうど今頃の季節に来て以来の再訪となる。
いや、ホントは昔から何度か来ているんだけど、十数年ぶりに訪れた昨年の秋がとても印象的だったので、リセットしたのだ。
会場の講堂に到着。
東京文化会館を設計した前川國男の手になる名建築である。
開場30分前。まだ誰もいない。
とても静かだ。キャンパス内の練習や授業の音も、ここまでは届かない。
時間つぶしにキャンパス内を少しく散策。
おお、この風景!見覚えのある人、手を挙げて(笑)
開場(17時30分)間際。
みじかい秋の夕暮れ時は、あっという間に夜へと移り変わってゆく。
このチャイムの山みたいなのが、開場時刻になるとけたたましくも調子っ外れな音を轟かすのである(笑)
当日券を買って入場。
目的は出演順2番めのGreen Ray Saxophone Quartetを聴くこと。
曲はマスランカ「マウンテン・ロード」。
国立音大の現役学生によるカルテットだけれど、実はソプラノのA嬢とは音大入学前からの(偶然にしては浅からぬ)因縁があって、彼女も早いもので4年生ということで今回は是非聴きたかったのだ。
雲カル以外で「マウンテン・ロード」全曲の実演を聴くのは初めて。
全員が雲井氏の生徒とはいえ、雲カルの演奏とはずいぶん違う印象を受けたのが興味深い。
どこか東洋的な無常観を想起させる繊細さが印象的だった。
長い曲なので、途中客席の集中が少し切れかけたときもあったけれど、最終楽章後半のコラールに至って、客席の空気と一体化してどこかへ連れて行かれるような、不思議な(稀な)感覚を味わうことができた。
…改めて、すごい曲だなあと、感銘。
休憩時間に、客席にいた雲井さんに挨拶。
自分の弟子、自分のレパートリー(やはり、人の演奏でこの曲を全曲生で聴くのは初めてだった由)ということで、半端でない緊張感だった様子。
曲目はほかに、弦楽五重奏(ドヴォルザーク)、ピアノデュオ(ドビュッシー「白と黒で」)、プロコフィエフの五重奏曲(混成編成)など。
どれも、ひたむきで気持ちのよい演奏が聴けた。
金管五重奏のクレスポ(アメリカ組曲)が上手だった。
今の音大生って、こんな難しいものをあんなに普通の顔して吹いちゃうんだ。
8時半に終演。
着替えて出てきたA嬢と、ちょっとだけお話など。
しかしああいう時には、思っていることってうまく言えないもんだなあ。
ともあれ、この場所で、この空気を吸いながら、「マウンテン・ロード」を聴けたのは嬉しかった。
去年も思ったけれど、「大学」というのは素敵な場所ですね。
私のようなよそ者にも懐を開いて、そこで得られる最も「善きもの」を惜しみなく分け与えてくれるかのような雰囲気がいい。
家から遠いのが残念だけれど、まあ、大学ってのは普通、家からは遠いものだから。と、やはり大学時代は1時間半かけて自宅から通学していた身としては思う。
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