井上二葉ピアノ独奏会2011
J.S.バッハ/フーガ ト短調BWV578
同 /コラール前奏曲「主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる」BWV639
同 /半音階的幻想曲とフーガ BWV903
G.フォーレ/主題と変奏
G.ロパルツ/「庭園の音楽」より(小径の砂の上に一羽の鳥が…~遊ぶ子供~夕暮の庭)
G.サマズイユ/組曲 ト調(前奏曲~フランセーズ~サラバンド~ディヴェルティメント~ミュゼット~フォルラーヌ)
6日(木曜)は、こんな演奏会を聴いた。
この日は興味深いコンサートがいろいろ重なっていたけれど、わが敬愛する大ベテラン井上二葉先生のリサイタルとあらば、最優先だ。
とても優雅で、混ざりもののないピュアな時間を過ごした。
「独奏会」という昭和30年代ぽい呼び方、いまや珍しいB5判の簡素なチラシ、自分自身を売り込むようなプロフィールの類の一切ない、しかし作品について記載された内容は極めて真摯で資料的価値も高いプログラム、なによりも井上先生自身の舞台での「無心」の立ち居振る舞い(先生は80をとっくに過ぎているはずだけど、見た目も姿勢も歩き方も、どう見てもそんなには見えない)、すべてが欲得を離れた、時をも超えたような真っ直ぐさをかたどっていた。
ギュスターヴ・サマズイユ(1877-1967)という極めて珍しい作曲家の、素朴な「クープランの墓」、のような趣の組曲で、プログラムを閉じる。
もともと井上先生の独奏会を聴くようになったのは、毎回のこのへんの稀少な20世紀フランスのレパートリーに興味をひかれたのがきっかけだった。
勿論、今では、それだけではないが。
こちら(2008年)とかこちら(2010年)に、以前のリサイタルの感想を書いています。
アンコールに、フォーレの夜想曲第8番(「小品集」より)と、アルフレッド・コルトー編曲のバッハのアリオーソ。
心洗われるような、というのはこのことだ。
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はじめまて。
昔、二葉先生の授業や演奏を拝見していた者です。
先生の立ち居振る舞いはとても品があり、尚且つ演奏にもそれが反映され、ふとした時に聞きたくなります。なかなか機会がなく、演奏会へ伺うことが出来ず、残念で、今回も検索していくうちにこのページを見つけました。
先生の演奏のご感想もう少し聞けたらな。と思いました。
投稿: 日掛伊都美 | 2011.10.28 15:22
コメント有難うございます。
演奏の感想ですが、以前のリサイタルの際にはがんばって書いてみたこともありましたが、結局、「ごちゃごちゃとつまらない感想を書き連ねるのが馬鹿馬鹿しくなるような演奏である」ということで、あまり書かないようになってしまいました…
投稿: Thunder | 2011.10.30 02:39