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2011.09.21

ブランフォード・マルサリスのクラシック

しかし久々にすごい台風だった。
今日開かれる予定だったコンサートもいくつか中止・延期となったようだ。
それにしても今年の日本はどうしてこんなにも災害に襲われ続けなければならないのだろう。


先日、CD屋さんのアメリカ音楽コーナーで偶然、American Spectrumと題するCDを見つけた。(BIS)

CD, BIS1644

佐藤渉さんが先日発売のデビューCDに収録した、ジョン・ウィリアムズの「エスカペイズ」を、あの(ジャズ・サックス界のもはや「大御所」と呼んでいいだろう)ブランフォード・マルサリスが演奏した、しかもオーケストラ版(グラント・ルウェリン指揮ノースカロライナ交響楽団)。

カップリングが、なんとネッド・ローレム(1923-)の「ライオン(ある夢)」だった!
The Orchestral Saxophonist (ed. Roncorp)という、サクソフォンのためのオーケストラ・スタディ本で存在を知って以来気になっていた、ジャズ・コンボ(カルテット)とオーケストラのための作品。

見つけた瞬間に、これは私に「買え」、と言ってるな、と思い、購入して帰ったのだった。
家で調べてみたら、mckenさんはもう2年も前に入手されていたようですが(笑)

ジャズ奏者ならではの「クール」なサウンドを活かした作品である。
実際、マルサリスは、この「エスカペイズ」にミヨーのスカラムーシュやヴィラ=ロボスのファンタジア等と組み合わせたプログラムで、米国内のいくつかのシンフォニー・オーケストラと共演を重ねているようだ。

ローレムの作品では、Jazzコンボチームが演奏するのは決まったひとつの(譜面に書かれた)ブルース調のメロディを演奏する部分のみ。アドリブらしきところは無さそう。
ちょっと勿体ないというか、贅沢な起用ではある。
オーケストラのみのもう2曲、マイケル・ドアティとクリストファー・ラウズの作品も、いかにも「現代アメリカ」チックな判りやすさで、大変面白い。
BISレーベルならではの録音も、大変優秀(SACDハイブリッド)。

ブランフォード・マルサリスのクラシック演奏といえば、私にとっては、今世紀のはじめ頃に発売された「Creation」というクラシック・アルバム(SONY)に収録されたイベールの「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」が、今なお印象深い(共演はオルフェウス室内管弦楽団)。

Branford Marsalis, Creation

早くにデビューしたマルサリス兄弟の弟のウィントン(Tp)が、ジャズとクラシックの両刀使いということを「売り」にしていたこともあるのか、ブランフォードもデビュー2作めのアルバムが、「Romances for Saxophone」と題する、イギリス室内管弦楽団と共演したクラシック小品集だったという、戦略的なプロデュースの仕方をしていたものだった。

ただ、クラシックを吹く時には厳格にクラシックのスタイルを貫いたウィントンに対し、ブランフォードはもう少しジャズ寄りで、上の「Creation」を聴いても、スタイル的には少々甘いところがあるように思う。

勿論、音がきちんと並んでいることにかけてはこれだけのイベールの録音というのはなかなか無いのもまた確かで、加えて、イベールという人がいかにジャズの影響を受けてこの「小協奏曲」を書いたか、ということも逆説的に明らかにしている。

だいたい、ジャズの人ってのはハンパじゃなくさらいますからね~。
常日頃からそうやって積み重ねていないと、即興なんか出来ないんでしょうね。
以前、あるクラシックのプロのサクソフォン奏者の方が、「ジャズの人たちがスタイルの壁を克服して本気でクラシックの世界に進出して来たら、私たちは絶対かなわないよ」、と仰っていたことを思い出す。

ともあれ、ブランフォード・マルサリスのイベール、アドリブで楽譜よりもはるかに長く吹きまくる圧巻のカデンツァも含めて、忘れてはいけない演奏のひとつだと私は思う。

ちょうどその「Creation」が発売になった頃 Saxophone Journal に載った、Branford Marsalis' Equipment というのがなかなか興味深いので、(むかしブログを始める前にも別の場所に書いたことがあるが)以下に転載してみる。
なにしろ10年前なので、今は多少違うかもしれないが。

Soprano:
Selmer M6
MP, Dave Guardala 8 1/2 (jazz), Selmer Super Session 7 (classical)
Reed, Fred Hemke 4 (jazz), Fred Hemke 3 1/2 (classical)
Alto (jazz): no jazz set-up
Alto (classical only):
Selmer Super Action 80 series II in Black Lacquer
MP, Yanagisawa 7
Reed, Fred Hemke 3 1/2
Tenor:
Selmer Balanced Action / Dave Guardala (2 horns both jazz & classical)
MP, Dave Guardala 8 1/2 (jazz), Dave Guardala 7 (classical)
Reed, Fred Hemke 4 (jazz), Fred Hemke 3 1/2 (classical)

当時ブランフォードが、何かのインタビューで
「ジャズではパワフルに吹くので強いリードとセッティングを使う、対してクラシックでは、繊細なコントロールを要求されるため柔らかめのリードにする」と言っていたのを読んだ記憶がある。

私たちのある種の認識とは反対のところがあるのは面白い。

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コメント

いつもこちらのブログを拝見しております。
Thunderの音楽への情熱には頭が下がります。
また、時々素晴らしい演奏も聴かせていだだいて
います。
さて、ブランフォード・マリサリスですが、10年
近く前に来日し、ブルーノートで演奏した際に、リードは何を使っているのか知りたがった同じテーブルの方が、休憩時間に忘れていったリードの箱を見て、「あ、ヘムケ4番だ」と言っていたのを思い出しました。確かにジャズでは硬いリードを使っているようです。

コメント有難うございます。
えらそうなことを書いておりますが私、実のところジャズマンとしてのブランフォード・マルサリスのことはあまりよく知らないんですね…ウィントンの方は80年代に中野サンプラザ等でライブを聴きましたが、こちらはクラシックの演奏のほうがあまりに堂に入って鮮やかなので、そちらの印象が強いですね。

ブランフォードはクラシックを演奏する時、少し窮屈そうに感じることがあります。件のイベールも今聴くと少しそういう感じがありますが、はじめて聴いた当時は衝撃的でした。

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