日曜日の午後…トゥルコヴィッチ再び
4日の続き。
この週末にあったことを順に書いていっただけで、もう火曜日になってしまった。
リハーサル終了後はそのままオペラシティへ。
東京都交響楽団 作曲家の肖像シリーズVol.83(東京オペラシティ・コンサートホール)
「モーツァルト」
交響曲第38番「プラハ」
ファゴット協奏曲
Bn:岡本正之
交響曲第39番
指揮:ミラン・トゥルコヴィッチ
(コンサートマスター:四方恭子)
バリトンサックスのケースを担いで、こういうコンサートの客席に現れる人間というのはそういないだろうな(笑)。
2009年の初客演で絶賛を浴びた、ウィーン在住の世界的ファゴット奏者にして指揮者、トルコヴィッチ氏の都響再登場。
隅々まで磨かれ、しかも自発性の塊のように前向きな音楽が聴けた。
まるで話し言葉のような、ニュアンス豊かなモーツァルトだ。
まるでモーツァルトその人に話しかけられているような錯覚さえした。
オーソドックスなスタイルにしては、テンポは速いし仕掛けも結構多いし、考えようによってはいま風のモーツァルトだったのかもしれないが、こういう演奏を聴いてると「○○風」なんてのはもはやどうでもいいことですね。
われらが都響の名手岡本さんをソロに立てたファゴット協奏曲では、この曲を世界で一番よく知っている指揮者、という自信にみちた、堂々たる棒さばき(この曲だけは当然のように暗譜だった)で、ソリストをおおらかに、細やかにひき立てる。
指揮者の顔が見える位置の席で聴いてたんだけど、オケに対して曲中でもひっきりなしに細かな要求を出していた。
管セクションのちょっとした合いの手などがぴたっと決まると、物凄く嬉しそうにニコッと笑う。
ジェントルマンだなー。音楽家にありがちなエキセントリックな部分がまるで無い人だ。
全体に、木管とホルンのやりとりと寄り添い方が、ちょっと今まで聴いたことがないような、怖いほどに高い水準だったと思う。
素晴らしいモーツァルトだった。
少なくともここ最近は、ここまでのモーツァルトは聴くことができた記憶がない。
満員の客席は大いに沸いた。
オペラシティという小さめの会場も、モーツァルトにはいいじゃないですか(都響の「作曲家の肖像」シリーズは、東京芸術劇場の工事休館のため今年度はオペラシティに移っている)。
…
ちなみに今、このブログを書いていた時のBGMは、トゥルコヴィッチがシェレンベルガーのオーボエと組んだ、プーランクの「トリオ」。
プーランク室内楽曲集~アンサンブル・ウィーン=ベルリン(DG)
トゥルコヴィッチ巧いわあ。
ファゴットってこんなに軽やかに吹ける楽器だったんだ。
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