祝祭のヴァイオリン
東京文化会館レクチャーコンサート2011/12 《祝祭と音楽》シリーズ第2回(東京文化会館・小ホール)
フォーレ/ヴァイオリンソナタ第1番
ドビュッシー/ヴァイオリンソナタ
ラヴェル/ヴァイオリンソナタ
サン=サーンス/ヴァイオリンソナタ第1番
レジス・パスキエ(Vn・ナビゲーター)
池田珠代(Pf)
パリ音楽院教授(この6月でちょうど退官されたようだが)にして、フランスの名門音楽一家出身のヴァイオリンの名匠、レジス・パスキエ氏が、この曲目(!)を自らお話をされながら弾くという、夢のようなコンサートを聴いた。
なにしろ、お話の中で「私の父は1902年生まれですが、パリ音楽院でガブリエル・フォーレのクラスの生徒でした」、なんてことをサラッと言ってのけたりするんだから、ほとんど神話の世界である。
いい意味で力の抜けた、しかし背後に膨大で豊饒な「伝統」と、言いようのない深さを感じさせる、それでいてとても親しみやすい音楽を、2時間半(この曲目でお話付きだとさすがに長い)にわたって浴びた。
ラヴェルの1楽章の最後、音が本当に、青く透き通った空の彼方に、弧を描いて吸い込まれていくような風景を、たしかに目前に見たと思った。
音楽における「伝統」、というのは私たちの大きな関心事だけれど、そんなことは言うまでもなく、私自身が「伝統」そのものだよ、ということを何の衒いもなく言えるような人たちが、ヨーロッパの彼の地にはまだまだいらっしゃるようです。
ピアノの池田さんは、7月のジェローム・ラランのリサイタルでピアノを弾いたジグマノフスキー氏の奥様とのこと。
とても柔軟な時間感覚を駆使した、縦割りのリズムでない、素敵なピアノを弾かれる方だった。
パスキエ氏のお話の通訳もされたが、こちらは結構苦労されていた様子。フランス語はお判りになるのだろうが、相当する日本語が咄嗟に出てこない、という感じだった(ドビュッシーの代表作、というくだりで、「午後の、牧神の、プレリュード」、とか)。
パスキエ氏がまた、お構いなしに喋りまくるし。さすがフランス人(笑)。
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