ブロムシュテットとN響
NHK交響楽団 第1706回定期演奏会[Aプログラム](NHKホール)
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:竹澤恭子)
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
(コンサートマスター:堀正文)
「盛夏」が、戻ってきた。
いつものように出歩いた土曜日の最後は、秋シーズン最初のNHKホールへ。
なんだか名曲コンサートみたいなプログラムだけど。
そこはブロムシュテット、初見(練習なし)でも弾けるような曲目を3日間みっちり練習するという真骨頂。
聴き慣れた「新世界より」から、思わずスコアを見たくなるような思わぬ発見や意外な響き、普段聞こえないような楽器が聞こえるバランス、アーティキュレーションや強弱の細かな調整を経て、とても新鮮な姿が立ちあがった。
あれだけ細かいことをやりながら、構えがデカくて、しかも推進力もあるんだから(指揮台に立っているのが84歳の指揮者だというのが信じられない)、大変なもんだ。
素晴らしかったんだけれど、掛け値なしに「世紀の名演」、と呼ぶには何かが足りない気がしたのは、何だったんだろう。
ともあれ、「名曲」というものは、名曲だからこそ、このくらいに入念な準備のもと聴いてみたいと思う。
初見でも弾けるような(弾き慣れた)曲だからといって、初見で弾いたみたいな演奏を聞かせてちゃ駄目なんだよ。
いつの誰の話とは言わないけど。
シベリウスのソリストは、急病のため急遽竹澤さんに変更になったが、結果的には良かった。
いつもの竹澤さんらしく、スケールの大きな、(直前の代役とは思えないくらい)何ヶ月も前から弾き込んでいたかのような隙のない雰囲気は、さすがだ。
竹澤さんは私としてはそんなに好きなタイプのヴァイオリニストではないんだけれど、今日は本当に感心した。
このNHKホールという大きな空間に、竹澤さんほど似合う人はいないと思う。
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今日N響アワーで聴きました。いつもと違う音が聞こえたり、へーっと思うところはあった。なかったとすれば、オケメンバーの勢い、情熱といった内面的なものではなかったかなと思いました。
投稿: コヤマの同級生 | 2011.10.02 22:47
遅くなりましたが、コメント有難うございます。
コヤマの同級生、というハンドルネームで、なんとなくどなただか察しがつくような(笑)
この「新世界より」、TVで流れたせいか、再び評判を呼んだようです。
内面という言い方をしてしまうと、オケメンバーの方々から「オレ達だって情熱くらい持ってるわい」、と言い返されそうなのでコメントは控えますが、内面というものだって十全に外へ表出されてこそ見えるものであるはずですよね。
投稿: Thunder | 2011.10.05 01:46