久石譲コンダクツ
海の日記念チャリティコンサート~がん教育の支援のために(サントリーホール)
ドビュッシー(ビュッセル編)/小組曲
ラヴェル/ピアノ協奏曲(Pf:三舩優子)
ムソルグスキー(ラヴェル編)/展覧会の絵
東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:久石譲
27日(水)。
ふと思い立ってサントリーホールに行ってきた。
あの(ジブリ映画の)久石譲です。
新日本フィルではもう何年も前から夏のポップス・オーケストラの指揮やツアーをされているくらいで、指揮者としてのキャリアも既に相当ある筈だけど、こういう真っ当なプログラムで一晩聴かせていただくのは初めて。
で、結論から言うと、かなり良かった。
とても厳格で生真面目なキビキビした棒で、ああ、作曲家の指揮だなと思った。
「展覧会の絵」の最後だけは、ピアニストが一人で弾くような強引な流儀でちょっとヒヤッとしたけれど、全体にはとても感心した。
かなりヤヤコシそうなラヴェルの協奏曲もそつなく振っていたし。
日本人の指揮者としては少数派なんじゃないかな、打点が上にあるような振り方をなさる方だ。
ステージ上の並びはなんと対向配置(コントラバス群は下手奥)。独自の見識とコダワリをお持ちのように見える。
オケのメンバーは先週聴いた定期とは総入れ替えに近いくらい違う顔ぶれだった(コンマスは三浦さん)。東フィルは同時に違う場所で二公演できるくらい楽員数が多いのは確かなんだけど。
サクソフォン(松井さんだった)はオーボエ列の横だった。普通はクラリネット列の位置(バスクラの隣)が多いが、このほうがファゴットやチェロが近いのでやりやすいのかもしれない。
三舩さんのピアノ、すごく久しぶりに聴いた気がする。
アンコールで弾いた「月の光」(ドビュッシー)が絶品。
開演前に、チャリティコンサートの趣旨について、ゲストの東大病院の中川恵一先生がステージに登場、15分ほどスピーチ。
いまや日本人の2人に1人が罹る「がん」だが、義務教育期におけるがんに対する啓蒙や教育は皆無に等しい。
そこで啓発のためのビデオ(DVD)を作って、全国すべての中学3年生に見てもらうための「がん教育基金」への支援、ということが本日の趣旨。
2人に1人が罹る(生涯罹患率50%)ということは、ある場所に2人の人がいたら、そのうちの1人はほぼ確実にがんになる、ということ。
「皆さん、お隣の席の方と顔を見合わせてみてください」私は一人で来てたので、隣席は知らない男性。「あなたか、お隣の方か、どちらかは必ずがんに罹ります。これが事実です」
「でも皆さんは、なんとなく『罹るのは隣の人のほうで、私ではない』と根拠なく思ってらっしゃいます」(笑)
非常に納得(笑)
中川先生というと、昨今の原発事故に関するコメントで「御用学者」とネット上では叩かれているけれど、ご本人のお話を聞く限りではとても冷静で客観的、なおかつ良心的な印象を受ける。
要は医者として、あくまでも具体的なものを相手にする、という立場を貫いている、ということなのだろう。
そりゃまあ、放射線を扱う医者としては、がん検診も受けに来ないような人に原発の放射線被害についてああだこうだ言われるのは心外でしょうなあ。
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