7月14日に
ジェローム・ララン サクソフォン リサイタル"FANTASIA"(東京オペラシティ・リサイタルホール)
ガーシュウィン・ファンタジー(マルティノ編)
P.モーリス/プロヴァンスの風景
C.ガルデル(啼鵬編)/想いの届く日
F.ボルヌ/「カルメン」の主題による幻想曲
吉松隆/ファジイバード・ソナタ
C.コリア/スペイン*
A.ピアソラ/Soledad, Adios Nonino*
ジェローム・ララン(Sax)、パトリック・ジグマノフスキー(Pf)、*ヴィーヴ!Sax.Q
ブログネタが溜まっているけれど、今日のところはこれでしょう。
今日は父の病院へ行く用事があって、仕事はお休み。
夕刻はオペラシティへ。
職場からだとオペラシティは遠くていつもぎりぎりの到着になってしまうが、今日は余裕があってウレシイ。
素晴らしいリサイタルだった。
7月14日というフランス人にとっての特別な日にふさわしい「祝祭的」な音楽のありようと同時に、フランスの音楽家としてのアイデンティティと献身を見事に昇華したものだったと思う。
ジェローム氏の演奏というと、これまではコンテンポラリー(前衛)物が先立つ印象だったけれど、今回は前半(カルメンまで)が終わった時点で、今までまるで知らなかったような新鮮な感性に私はうたれましたよ。
1曲めのガーシュウィンは、オーティス・マーフィーのCDやDVDに入っているのと同じ編曲とはとても思えなかったし、あまりに聴き慣れすぎて食傷気味の「プロヴァンスの風景」にしても、こんなに控えめで怖いくらいに陰翳に富んだ演奏は聴いたことがない。
ヨーロッパの深い森の中のメルヘンを連想した。
先日聴いたばかりの、イベールの「物語」なんかもそうですね。親しみやすい外見のどこかに、得体の知れない底深い「暗さ」が潜んでいる。
日本人がこういうのを手がけると、どうしても「まんが日本昔ばなし」みたいな平面的で素朴なものになってしまうのは何故なんだろう。
そして、ジェローム氏の同郷トゥールーズ出身(そうだったのか、知らなかった)のカルロス・ガルデルによる、「想いの届く日」。
見たことのない、トゥールーズという「ばら色の街」の美しい光景が目の前に浮かぶようだ。
そういえば客席にクラリネットの生島繁氏(トゥールーズ国立管の首席クラリネットを20年以上務めた方だ)の姿を見かけた。
休憩後の後半は、やはり「ファジイバード」が面白かった。
須川さんのホットな演奏とはやはり一味も二味も違う繊細さが興味深い。
2楽章がどこかラヴェルみたいな響きに聞こえる。
プログラムの最後は、日本の友人たちを迎えて、ジェローム氏こだわりのピアソラ他、ジェローム曰く「音楽の根源としての『喜びと楽しさ』」へと還ってゆく。
ブラヴォー。
振り返って私たちの演奏には、日本人としての誇りや感性やアイデンティティというものは、どこまで入っているだろうか。
そんなことを考えた。
終演後は、ロビーでのCDサイン会の行列に並んで、ポスターにサインを戴く(CDは既に家にあるのだ)。
上の写真(部屋の壁に貼ってみました)。
ジェローム氏から連絡を貰った時には、7月14日ということで「旗(三色旗)持って聴きに行きますよ」、と返信したんだけれど、実現できなかったことがちょっと残念である(笑)
マラソンの沿道で応援に振るような小旗なんて、ハンズとか博品館とかに行けば普通に売ってるもんだとばかり思っていたけれど、意外とそうでもないようで。
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始めまして。
ジェロームラランの名前で検索していて、こちらのブログにたどり着きました。
パスキエも聴きにいかれたとのこと、生島先生のお名前もあり、深いご縁を感じました。。
これからのコンサート活動などもブログに載せて行きますのでどうぞ覗いてくださいませ。
投稿: 横浜音楽事務所 広報 | 2011.09.27 11:04