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2011.06.04

親の七光り、でなく

TMSO, 20110604東京都交響楽団 プロムナードコンサート#344(サントリーホール)

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲(Vc:フランシス・グトン)
メンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」
 指揮:ジョセフ・ウォルフ
 (コンサートマスター:四方恭子)

梅雨の晴れ間の土曜日は、サントリーホールへ。

6月の都響は、ジョセフ・ウォルフという若い指揮者の日本デビュー。
素晴らしい才能だと思った。
冒頭の「フィンガルの洞窟」は、ゆっくりめのテンポの中にたいへんに多くの情報量を込めた指揮ぶりで、オケへの指示の細かさや的確さも目を見張る。今日一番の聞き物だったかも。
最後の「スコットランド」は逆に速めのテンポで、若々しさを炸裂させた演奏となった。
初めて客演するオケの最初の演奏会ということで、相当の気合いと準備の程がうかがわれる。
真ん中のチェロ協奏曲も、ソリストの妙技よりもむしろバックのオーケストラの立派さが印象に残った。クラリネットとか、ホルンとか、1楽章最後の金管の決め方の鮮やかさとか。

この人、英国の巨匠コリン・デイヴィスの子息とのこと。
父の名に頼らず芸名でデビューを果たしたところは好感が持てるが、良心的でオーソドックスかつ目配りの細かな音楽づくりはやはり父親譲りだな、と思うところはある。
動向を追っかけたい若手指揮者がまた一人増えたことは、喜ばしい限り。

そういえば先月、N響を聴きに行った際に、ソロヴィオラの店村さん退団のお知らせを目にしてびっくりしたものだったが、なんと都響に移って来られ、今日早速ヴィオラのトップに座られてのデビューだった。
まさかそんなこととは夢にも思っていなかったので、これまたびっくりしましたよ。
N響の首席というポジションはある意味、日本のオーケストラ奏者のキャリアにとっての「上がり」で、その先に別のオケに移るということは今まではあまり考えられなかった(ホルンの千葉馨さんが定年後に新日本フィルに行った前例があるけれど、たしか新日では正団員のポストではなかったように記憶する)。
どういう経緯で実現したことかは知らないが、われらが都響のために存分に力をふるっていただきたいと願う。

オケの弦の出番のかたがたの顔ぶれも、トップサイドに矢部さん、2ndは双紙さんえんかなさん、ヴィオラはトップサイドに鈴木さん&2プルトめに中山さんという具合に、店村さん歓迎会のごとくほとんど全員集合の壮観。
管・打も全員正団員。エキストラなし。
今日の音が、この先の都響のデフォルトということになる。期待しちゃいますぜ。

20110604

終演後気がついたが、サントリーホールの前にはなぜか畑が(笑)
たがやせ森ビル。

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