恐るべし、ハーディングNJP
新日本フィルハーモニー交響楽団 第478回定期演奏会(すみだトリフォニーホール)
ブルックナー/交響曲第8番
指揮:ダニエル・ハーディング
(コンサートマスター:崔文洙)
土曜日、こんどは錦糸町へ。
3月のNJPへの客演時は震災のためほとんど演奏ができないまま帰国したハーディング、再びの登場。
私としても、5月定期は聴けなかったため、久々の新日。
ブリュッヘンのロ短調ミサ以来か。
たいへんな演奏だった。
こんなに、力と緊張が全曲まるで途切れず隅々までみなぎった、しかし全然堅くなく角張っていない、たゆとうごとくに柔軟なブルックナーは、初めて聴いた。
NJP、いったい何があったの?と思ってしまうような、広大なダイナミックレインジ(それでいて全然うるさくない)と、最高のパフォーマンス。
ハーディング恐るべし。去年の客演で「幻想」を聴いた時や、むかしマーラー室内管で聴いた時とかは、こんなふうには思わなかったのに。
3楽章のアダージョなんか、まるでマーラーの「9番」のそれのように痛切で、しかも甘美だ。
(これはワーグナーテューバ軍団の好演のおかげもあったと思う)
ハーディングの棒は、決して止まらない。押しつけない。
たとえG.P(全休止)の箇所といえども、きちんと音楽が流れ続けるのが分かる。
ブルックナーの交響曲というと私などは、ゴチャゴチャといろんなことをやり付けて、収拾がつかなくなると全休止で止めて、また新たにゴチャゴチャやり始める、みたいなイメージがあるんだけど(ブルックナー好きの皆様スミマセン)、いったんこれを目にしてしまうと、もうこれ以外のやり方は考えられなくなる。
終演後は、いつもクールな新日の客席としてはいまだかつて見たことがないほど、爆発的なブラヴォーで沸いた。
来週は、震災で中止となった3月定期の代替公演として、マーラー5番1曲プロを聴くことになっている。
これはまた物凄い演奏になりそうな予感がしてきたぞ。
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