ブルックナー記念日…インバル&都響
東京都交響楽団 第717回定期演奏会(東京文化会館)
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番(Vn:ブラッハ・マルキン)
ブルックナー/交響曲第2番
指揮:エリアフ・インバル
(コンサートマスター:四方恭子)
自分の中では記念碑的な演奏会だった。
1曲めのプロコフィエフ。
粘着力のあるフレージングと音色を持った、たいへんすばらしいヴァイオリニストだと思った。
ただ、プロコフィエフの2曲のコンチェルトというのは昔から私には鬼門で、なぜか全部をちゃんと聴けたことがないのですよ。
今日も終楽章で少々意識を失う。よって詳しいコメントは遠慮します。
それより、今日は休憩後のブルックナーだ。
いやー凄かった。いや、凄いって言葉はちょっと違う。
伸びやかで真っ直ぐで、純粋で、しかも深い!音楽だった。
たいへんな集中力を発揮しながら、圧迫されたり偏った感じにならず、ひろびろとした世界へいつのまにか拡がっていくように。
ブルックナーってこういう音楽だったのか?知らなかったぞ。
昨年の春に聴いたインバル師のマーラー3番は、自分のマーラー体験や都響体験を全部ひっくり返して新しい次元へと連れて行ってくれるようなものだったけれど、それに近いものがあった。
最初っからこういう演奏で聴いていれば、ワタシだってもう少しブルックナーを好きになれたかもしれない、って思った。
「2番」という曲のせいもあるかもしれない。
何年か前、前任のデプさんの指揮でやはりこの「2番」を聴いた時も、やはりとても感心した記憶があったから。
しかしオーケストラのポテンシャルと響きの純正さは、その時より更に上がっていたのは間違いない。
木管とトランペットは倍管。全員正団員のみ(エキストラ無し)で固めたホルンセクション(頭は有馬さん)と、ティンパニ(久一さん)が良かった。
何の作為もなく、自然に中部ヨーロッパの響きを出せる四方ストリングスのマジックも吉。
終演後は当然のように、盛大なブラヴォーが沸く。
この響きがイイネ!と思ったので、5月18日はブルックナー記念日。ん?
5月18日は実はマーラーの命日らしいが(没後ジャスト100年)。
あとは、震災の影響で中止となった「9番」とか、後期のシンフォニーでこういう感想が持てるかどうかだな。
ちなみに、東京文化会館は1階で聴くもんじゃありません(私は今日は3階ライトでした)。
以前誰だったか「プロ」の批評家(?)が、自分のブログで(1階席で聴いた)東京文化の音響に文句を書いてたのを読んだけれど、馬鹿かと思いましたよ。
かりにも批評家といえば「聴く」プロなんだから、どこで聴けば最良のものが聴けるか、くらいのことについては見識を持っていていただかなくては困る。
何も考えずに当てがいの批評家招待席なんぞにふんぞり返って聴いてるから、そういうところで馬脚を現すんだよ。
今日は上から下まで、よく客が入っていた。
私が会員になった20年前の東京文化なんか、5階の両翼席なんていつもホントに数人しか座ってないのが当り前だったから、隔世の感がありますね。
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