ラヴェルの夜会
花房晴美 室内楽リサイタル
シリーズ~パリ・音楽のアトリエ/第2集 ラヴェルの夜会(東京文化会館・小ホール)
M.ラヴェル/
夜のガスパール
ラ・ヴァルス(ピアノ独奏版)
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
ピアノ三重奏曲
花房晴美(Pf)
ジェラール・プーレ(Vn)、藤森亮一(Vc)
週末の金曜日夜に聴いたコンサート。
昨秋聴いた「ドビュッシーの夜会」に続く、シリーズ2回め。
花房さんの天才がラヴェルを真に輝かせるさまをまざまざと眼前にした。
「夜のガスパール」って、ピアニストとしては弾き甲斐があるのかな、色々な人が弾くのを聴いたことがあるけれど、実を言うと良い曲だと思ったためしが無かったんだが。
今日は本物のファンタジーと怖いほどの集中で、この曲の世界に惹き込まれた。
かーなり個性的というか、楽譜どおりきちんと弾いた演奏とは言いがたいんだけれど、この説得力の前にはどうでもいい。
そして、なんといってもヴァイオリンが巨匠ジェラール・プーレ氏ですよ。
伝説の名手にして指揮者(ドビュッシーのヴァイオリンソナタを作曲者自身のピアノで初演したことで有名な)、ガストン・プーレの子息。
パリ音楽院の教授を定年で退官後は、芸大の招聘教授を務めたり(現在は昭和音大の客員教授とのこと)、日本に縁が深いので、今までも聴く機会は比較的多く、その度に20世紀パリの音楽シーンの精華のようなファンタスティックな音楽を聴かせてもらってきた。
今回も、この状況下本当に来てくれるのか半信半疑の中、無事現れ、73歳にしては全く衰えのない、粋でシンプルな演奏を披露してくれた。
ヴァイオリンソナタが始まった瞬間から、フランス人同士の演奏のような、お互いが勝手にやっているように振る舞いながら一つレベルが上のスケールの大きなアンサンブルがみるみる形づくられていく様を目の当たりにし、もしかしたらオレは今、とんでもないものを聴いているのかもしれない、という思いに息を呑んだ。
ゆったりと大きなヴィブラートは、まさにデファイエの時代のサクソフォンのそれと同じセンスを感じる。
N響首席の藤森さんが加わったピアノトリオは、すごすぎて良く覚えていない(笑)
アンコールにまず、藤森さんのサン=サーンス「白鳥」。
ピアノソロで「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
最後にプーレ師がふたたび登場、ラヴェルの「フォーレの名による子守歌」。
すごい演奏会だった。
かなりちゃんとしたマイクセッティングで録音していたようなので、もしかしたらライブCDでも出るのかもしれない。
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