週明け読響定期
読売日本交響楽団 第503回定期演奏会(サントリーホール)
プロコフィエフ/バレエ組曲「ロミオとジュリエット」より
ラヴェル/ピアノ協奏曲
同 /左手のためのピアノ協奏曲
同 /ボレロ
Pf:ロジェ・ムラロ
指揮:シルヴァン・カンブルラン
(コンサートマスター:デヴィッド・ノーラン)
週が明けた月曜(18日)も、サントリーホールへ。
震災後の予断を許さぬ状況の中、この人もいち早く来日した。読響常任指揮者カンブルラン。
最初に、大震災の犠牲者を追悼して、プログラム外のメシアン「忘れられた捧げ物」の第3部分(弦楽器だけでゆっくりと奏される静謐な楽章)が演奏された。
月並みにバッハのアリアとかでないところがカンブルラン氏らしい。
カンブルラン氏のサウンドのバランスの作り方は興味深い。
弦にしろ管にしろ、ある声部を「抑えて」バランスをとる、ということをあまりしていない感じがする。
結果として、とても明晰で影のない、見晴らしのよい音が出てくる。
続く本プロでは、ソリストのロジェ・ムラロが休憩を挟んで弾いたラヴェルの2曲がなんといっても印象的だった。
長身ゆえ、脚をピアノの下に折りたたむかのように窮屈そうに座って、それでもひときわ大きな上半身で、ピアノを嬉々として弾きまくる。
この人はきっとすごい「音楽バカ」(悪口に非ず)なんだろうな、と思った。
(kuriさんのところの記事によるとこの人、元々デファイエ門下のサックス吹きらしいのだが)
2楽章、雪の上の歩みのようなシンプルな冒頭のソロは、あまりルバートせず淡々と始めるが(ここでルバートをかけまくる演奏は私は好きではない)、後半、同じメロディがコーラングレに移ってピアノは16分音符でオブリガートを飾る場面となると今度は、揺れる揺れる。
コーラングレ(北村さん)、見事に付ける。
3楽章はまた一転して、あっけらかんと爆走。
これまでに日本のオーケストラの演奏会で数々聴いたこの曲の中でも、ひときわ印象に残る演奏となった。
実はこの週末に、在京の別のプロオケで同じラヴェルのピアノ協奏曲を聴いたばかりなんだけれど、比べると改めて読響のアンサンブル力の高さを実感することになる。個人技では差なんか全然無いのに。
ムラロさん、「左手」も見事だったけれど、私としてはやはり両手の方が面白かったな。曲順逆でも良かったかも。
「左手」のあと、大喝采に応えてアンコールにメシアンの「前奏曲集」から1曲。
フォーレ?ドビュッシー?と思ってしまうような、特徴的な響き。この人はやはりフランスのピアニストだ。
長いプロの上、ピアノの出し入れとかもあって、最後の「ボレロ」が始まる頃には時計は9時を回る。
クリュイタンスの録音のようなゆったりしたテンポでスタート。このテンポのボレロって最近意外と聴けない。
トロンボーン山下さんの谷啓ふうjazzyなソロが印象的だった。
もし指揮がジャン・フルネ師だったら、すかさず止めて「楽譜どおり!」とか言いそうだ(笑)
Saxはソプラノ田村(真)さん、テナー松雪さん(プロコフィエフも)のようだった。
しかし読響はいいオケになりましたね、と、感慨。
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