尾高さんの祈り…東京フィル800回
東京フィルハーモニー交響楽団 第800回定期演奏会(サントリーホール)
三善晃/管弦楽のための協奏曲
武満徹/オリオンとプレアデス(Vc独奏:堤剛)
シベリウス/交響曲第2番
指揮:尾高忠明
(コンサートマスター:荒井英治)
昨日に引き続いてサントリーホールへ。
東フィルの創立百周年記念シーズンの開幕を飾る、第800回定期。
指揮は、この場にはこの人こそがふさわしい。35年以上にわたって東フィルの「顔」を務める、尾高さん。
東フィルの今シーズンの定期には、多くの日本人作曲家の作品がプログラムを飾っている。
今日の2曲など、私の世代の人間にとってはおそらく最も実感のある「日本の現代音楽」だろうと思う。
三善晃の「管弦楽のための協奏曲」(その昔、秋田南高校が吹奏楽コンクールの全国大会で演奏してセンセーションを巻き起こした曲だ)の壮絶なサウンド、そして80年代武満のある種の典型のようなナイーヴな音のする「オリオンとプレアデス」。
堤さんの、一音一音かみしめるようにチェロを弾く音がまた、この空気の中では祈りのように響く。
メインプロは尾高さんの東フィル・デビュー曲でもあるという、シベリウスの2番。凄かった。
尾高さんという指揮者の、心・技・体の充実をそのまま現すかのような、きわめて立体的で確信と集中にみちた音楽の運びを、聴き尽くした。
尾高さんって、私が中高生の頃からテレビ等でおなじみの人だったから、大ベテランというか、私の父親くらいの世代のようなイメージがあるけれど、まだ64歳(1947年生まれ)なんですね。
いかに若い頃から第一線にいらしたか、ということだ。
アンコールに、エルガーのエニグマ変奏曲より「Nimrod」。
この音楽もまた、深い祈りのようにホール内に響いた。
その前に、尾高さんの短いスピーチ。
この困難な時期にあっても、私たちは音楽を演奏するのが仕事だ、音楽家が音楽をやらず、バスの運転手さんがバスを運転しなくなったら、世の中は終わってしまう、私たちは私たちのするべきことをして、亡くなった方や被災された方へ心を届けよう、という、至極真っ当な、100%共感できるスピーチに、大きな拍手を贈る。
熱い拍手を聞いているとそうは思わないのだが、実のところ、お客さんの数はそんなに多くなかった。
席の埋まり方は見た目半分弱、ということは実数ではたぶん3~4割かそれ以下だろう。
こういうプログラミングは敬遠されるのかなあ。残念だ。
私は定期会員ではないけれど、今季の東フィルは応援したいと思う。
ちなみに今季の東フィルのチラシは、見ての通り昭和30年代のようなレトロなイメージというかデザインコンセプトで出来ているけれど、実は裏面まで情報満載。
というか、裏面のほうが綺麗だったりする。
少し大きめに貼りつけてみましょう。文章読めるかな。
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