サクソフォン・アンサンブルの諸相
藝大・管打楽器シリーズ/SAXISM NIGHT~サクソフォーン・アンサンブルの夕べ(東京藝術大学奏楽堂)
B.ウィーラン(今翔太郎編)/リバーダンス
池上政人(指揮) サクソフォンオーケストラ
P.ヒンデミット/コンツェルトシュトゥック~2本のアルトサクソフォンのための
林田祐和、佐藤大樹
R.カルメル/3つのチベットの呪文
中根庸介Ob、濱崎由紀Cl、大城正司A.Sax、依田晃宣Bn
J.リヴィエ/グラーヴェとプレスト
福田亨S.Sax、池上政人A.Sax、三浦夢子T.Sax、中島諒B.Sax
L.ベリオ/レシ[シュマンVII](V.ダヴィッド、C.ドラングルによる12Sax&打楽器編曲版、日本初演)
大城正司Solo A.Sax、佐藤淳一(指揮) 福田亨・田中拓也・角口圭都S.Sax、丸場慶人・佐藤大樹・須永和宏A.Sax、鈴木崇弘・横山美優・三浦夢子T.Sax、本堂誠・中井伶B.Sax、土岐光秀Bs.Sax、亀井博子Perc
J.S.バッハ(平野公崇編)/主よ、人の望みの喜びよ
同 /平均律クラヴィーア曲集第1巻より第2番・前奏曲
平野公崇Solo Sax、田中拓也・大石俊太郎・鈴木崇弘A.Sax、丸場慶人T.Sax、本堂誠B.Sax、佐藤淳一Bs.Sax
F.リスト(ミ・ベモル・サクソフォンアンサンブル編)/ハンガリー狂詩曲
池上政人(指揮) サクソフォンオーケストラ
たいへんな演奏会を聴いた。
一言で言えば、芸大サックスの総力戦。
最初と最後に関係者総出演のサクソフォンオーケストラを置いて、間には「サクソフォンアンサンブル」として考え得る様々なフォーマットが、教員・学生織りまぜて、選り抜きの曲目で見本市のように並ぶ。
なんだか、久々に、(ここのところ封印していた)サックスヲタの血が騒ぐぜ、という感じ。
デュオ、カチュオール・ダンシュ(リード楽器四重奏)、カルテットの「代表選手」を1つずつ(「グラーヴェとプレスト」でソプラノを吹く予定だった大和田さんは病欠、急遽学生さんが代役)。
ベリオの有名な「セクエンツァIXb」に作曲者自らオーケストラ伴奏を付けた「シュマンVII」の、サクソフォンアンサンブル版日本初演。大城さんのベリオというのがまたえらく新鮮で、ワタシゃ率直に驚嘆しました。
凄かったのは平野さんのバッハ。平均律の2番とかは以前から平野さんの得意技だったけれど、今回は学生さん達を率いて更にパワーアップ、奇っ怪な音を出しながらステージ上を練り歩いたり、シアターピースか集団即興かという怖いようなパフォーマンスを披露した。
何が凄いって、それでもなお「バッハの音楽」による感動、というのがパフォーマンスの芯にはちゃんと残っているところで、バッハ以降の和声の進歩とかも実はバッハ自身お見通しだったんじゃないか、と思ってしまうほどのさりげない捻りを効かせた編曲ともども、たいへん感心した。
即興的、とはいっても、決してただデタラメやってる訳じゃない。
この演奏会、実質的に、今年度限りで定年退職される冨岡和男先生の退官記念演奏会のようなものだと聞いていたけれど、本プロには冨岡先生の大きな出番はなく、最後のアンコールでソプラノサックスのソロを1曲。
ヘンデルの「私を泣かせてください」。
いやー良かったなー。こちらが泣きそうだ。先生のあのニュアンスとヴィブラート!
冨岡先生すみません。私よく、リハーサル中に先生のヴィブラートの真似をして笑いを取ってました(爆)。申し訳ございません。
でも、きっとこれからもまだやります(笑)。
客席には、一昔前の冨岡門下の方や、最近ご無沙汰の中堅プロの方々もいろいろ来場されていた様子。
たまたまお会いしたそんな方(非芸大卒)の、「芸大って、いつの間にか随分面白い学校になったよね」、という一言が、印象深い。
あと、思ったのは、ステージマナーというか、ステージ上の立ち居振る舞いに関しては、芸大の学生さんといえども所詮は学生だな、ということ。
こればかりは、先生方や諸先輩方を見習って、勉強してくださいね、としか言いようがないが。
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