日フィルの「ハルサイ」
日本フィルハーモニー交響楽団 第627回定期演奏会(サントリーホール)
ウィリアム・シューマン/アメリカ祝典序曲
スティーヴ・ライヒ/管楽器、弦楽器とキーボードのための変奏曲
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
指揮:シズオ・Z・クワハラ
(コンサートマスター:木野雅之)
24日の都響には行けなかったので、1週間ぶり以上でコンサートホールに座る。
年間120回コンサートを聴くというペースからすると、真夏のオフシーズンでもないのに1週間以上空くというのはかなり久しぶり的気分というか、新鮮である。
本当はこのくらいのペースが良いんだろうけれど、世の中には面白そうなコンサートが多すぎるだよ。
さて、今年最初の日本フィル。
指揮者は1976年東京生まれの米国籍。アメリカ、日本、そしてドイツで頭角を現しつつある若手とのこと。
昨年のミューザ川崎のフェスタで初めて聴いたけれど(プレトークのとき「こんにちは、シズオ・ズィー・クワハラです」と明瞭な日本語で自己紹介されていた)、とにかくアンサンブルが整っていることにかけては近年日本フィルに登場した指揮者の中でもピカイチだったという印象がある。
満を持しての定期初登場ということで、見事に実力を発揮していたと思う。
最初のウィリアム・シューマン(コープランドやラヴェルやショスタコーヴィチや、いろんな要素が聞こえてくる派手な曲だった)から引き締まった響きで、厚みには欠けるけれど、ハリウッド映画のオーケストラみたいな銀白色の輝かしい音色が素晴らしい。
ライヒはステージ中央に電子キーボード3台(ヤマハのMOTIF ES)、グランドピアノ2台を並べ、オーケストラが取り囲むという外見の意欲作だが、ミニマルなその音楽は私の趣味とはちょっと外れているので、詳しいコメントは遠慮します。でも演奏は良かったと思う。
休憩後の「春の祭典」。
冒頭のヘタウマなファゴットソロ(木村さん)からして雰囲気をよく出していて、テンポが上がってからはもう、日フィルパワー炸裂。
弾ける勢いと、確固たる推進力。率直なる若さ。
かといって「若々しい」、というだけでもない複雑な内面も垣間見える演奏で、感銘を受けた。
しかし「ハルサイ」を演奏する、というのはオーケストラにとってはつくづく大事(おおごと)だわ。お疲れさまでした。明日もあるんですよねえ。健闘を祈ります。
お客さんが少なかったのは残念。
ステージ脇や後ろの安い席はそこそこ入っていたけれど、2階正面なんか「閑散としてる」、って感じだった。終演後の熱心で大きな拍手を聞いていると満席の気分なんだけど…
こういう曲目というのは普通のお客さんには敬遠されるのかなあ。勿体ないなあ。
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