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2011.01.15

ミュールの新しい復刻盤

巨匠マルセル・ミュール(1901-2001)の昔のSP・LPレコードの復刻CDをいくつか制作、発売しているグリーンドア音楽出版から、昨年暮れに新たな復刻CDが発売された。

Marcel Mule
マルセル・ミュール・サクソフォン四重奏団(GD2035

Marcel Mule
マルセル・ミュール Historical Recordings 1946-50(GD2036

「四重奏団」の方は1955~56年録音のデッカ原盤LPから、「Historical Recordings」の方は1946~50年のSPからの復刻。
内外で既にCDになっている音源も含まれているものの、いくつかのCD初発売のソースが含まれていること、音のリアルさにおいて既存の商業盤から面目を一進する要素が注目だと思う。
前者だったら例えば、アプシルの四重奏曲以降のトラックなど、今までのマルセル・ミュールの復刻の音のイメージを覆すに近いものではないだろうか?
後者にはミュールの十八番、ボノーの「ワルツ形式のカプリス」の1950年の録音が含まれているが、既にあちこちで復刻されている1953年のLP録音(有名なセルマーの音源。同じグリーンドアのCD「コンプリメンタリー」にも収録)と聴き比べると驚くことと思う。ノイズカット処理を全く施していないため盛大な針音は聞こえるものの、高域まで真っ直ぐに伸びた音色は、現代のプレイヤーにまで通じるクラシックのサクソフォンの音の「原点」を確かに実感させるものだ。

原盤提供は、かの木下直人さん。
kuriさん情報によると、デジタル・トランスファーも木下さん自ら行なったとのこと。
木下さんとは私は最近ちょっとご無沙汰しているものの、本家サイト立ち上げの頃には絶大にお世話になったものだった。当時、やはり自ら原盤を提供され東芝EMIが復刻発売したCDの音にご不満で、いつかは自分で全部CDを作り直したい、と仰っていたものだが、それが今ようやくこうして実現しつつあるのは、まことに喜ばしい。

そもそもSPレコードというのは、シェラックという材質上どうしてもノイズが付き物だけれど、音の電気的な処理は最小限だし1分間78回転という高速回転だし、本来音は良いはずなのだ。
実際、プライヴェートで木下さんに戴いた音源のいくつかは、ノイズを別にすれば最新のデジタル録音もかなわないようなリアリティが感じられるものがある。
それを、復刻の際に、聴きやすいよう高域を落としてノイズをカットしたりしてしまうものだから、SPレコードの復刻=モコモコした古臭い音、という一般的なイメージが出来上がってしまうのではないか。
私は別に、単に懐古趣味で古いものが好きな訳ではなく、ミュールのコレクターでもなく(結果的にコレクターになってしまっている面もあるけれど、意図としてはそうではなく)、私に必要なのは「今もなお生きている音楽家・サクソフォン奏者」としてのマルセル・ミュールなのだから、この方向性には大いに賛同するところだ。

没後10年(生誕110年!)の今となっても、ミュールの話題はまだまだ尽きない。

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