大野さん、降板
東京フィルハーモニー交響楽団 第796回定期演奏会(サントリーホール)
望月京/むすび(東京フィルハーモニー交響楽団100周年記念委嘱作品)
ショスタコーヴィチ/交響曲第6番
プロコフィエフ/交響曲第5番
指揮:渡邊一正
(コンサートマスター:荒井英治)
【急告】指揮者変更のお知らせ(東京フィル公式サイトより)
大野和士さんの登場を楽しみにしていたのだが、たいへん残念なことに3日前にキャンセルが発表となった。
代役は渡邊一正さん。
理由はやはり、頸椎の障害らしい。
6~7年前に都響でやはり大野さんのキャンセルに遭った時も、同じような理由だった(「首のねんざ」というような表現だったが)。
このときは代役が広上さんで、後にも先にも聴いたことのない広上さんの「春の祭典」が聴けたので、それはそれで面白かったけれど。
それはともかく、頸椎の障害というのは指揮者の職業病みたいなものだから(岩城宏之さんもそうだった)、ゆっくり休んで治していただきたいものだと願う。
少々出遅れて、1曲めの初演作品はロビーのモニターで聴く。
続く2曲のシンフォニーは、さすがにいつもの東フィルの積極性は引っ込み気味だったものの、手堅い破綻のない演奏ではあった。
代役の渡邊さんは、私の好きな指揮者とは言い難く、正直言って自分から進んではまず聴きには行かない人ではあるけれど、世界初演を含む今回の難しいプログラム(明後日16日のプロには、これまた難しいバーンスタインの「セレナード」の合わせもある)を、このタイミングで曲目変更なしで無事こなされたことには、率直に感嘆する。
大野さんの新国の「トリスタンとイゾルデ」の千秋楽が10日。その後に医師の診察を受けて正式キャンセル。リハーサルは11日と12日(8日に先行リハーサルがあったそうだが、大野さんはそれもキャンセルされていたと東フィルの団員さんのブログに記述があった)、本番初日が昨日13日。
渡邊さん、10日の夜はおそらく、徹夜で初演曲のスコアを読んだことだろうと想像する。
12日には今回の演奏会のチケットを東フィルから直接買った人宛て、指揮者変更のお知らせのハガキが届いていた。当然、私のところにも。
今回の演奏会は13、14、16日と、2000人クラスのホールで3日分ある訳だから、単純に考えて6000通近いハガキの作成と発送を11日の夕方までに終わらせたことになる。11日の東フィル事務局は修羅場だったろうなあ。
終演後の渡邊さん、客席からもオケのメンバーからも、お世辞抜きの大喝采を浴びていた。
何にせよ、今回のような非常事態でもある程度のそつの無い結果が出せるというのは、指揮者を含む、オーケストラという組織の実力のうちだ。
残る16日の演奏会の成功と、大野さんの早い回復を祈ります。
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