18世紀の夜会へ
アンサンブル・ゼフィロ「ハルモニームジーク」(王子ホール)
ベートーヴェン/管楽八重奏曲
同 /ロンディーノ
モーツァルト/セレナード第12番「ナハトムジーク」
ロッシーニ(セドラック編)/歌劇「セビーリャの理髪師」より 序曲~陰口はそよ風のように~私は町の何でも屋~今の歌声は心に響く~黙って、静かに!
3日連続のコンサート通い。
現代日本音楽、フランス器楽界の最先端に続いての今夜は、イタリア18世紀のピリオド楽器(古楽器)による管楽アンサンブル(ハルモニームジーク)、アンサンブル・ゼフィロ来日公演。
王子ホールの空間が、古えの王宮の広間と化したような感覚を楽しんだ。
このアンサンブルとの出会いは全くの偶然で、一昨年、私のアンサンブルの定期演奏会でベートーヴェンの作品87のテルツェット(トリオ)のサクソフォン三重奏編曲版を演奏したときに溯る。
原曲(2Ob、EH)を聴いたことがなかったので、CDを探していて偶然見つけて買ったのがゼフィロの国内盤だっという訳。
古楽器での演奏だとは知らずに買ったのだが(もし知っていたら手を出さなかったかもしれないが)、結果的にはこれがたいへん面白くて、ピリオド管楽器に目を開かされるきっかけにもなったのだった。
王子ホールで6年ぶりの日本公演があると聞いて、この会場だったら絶対似合いそうだと、飛びついてみたところ。
おもちゃのラッパみたいな外見(音も)のオーボエ、キーが少ないのでまるで短めの物干し竿を抱えているようにも見えるバスーン、ナチュラルホルン(パイプがぐるぐる巻かれた替管を付けたり外したりする)、茶色くて凸凹したボディのクラリネット。
とても素朴でシンプルで、冬の日射しのような柔らいだ真っ直ぐな音だ。
コントロールは現代の楽器とは比較にならないほど難しそうで、スリリングだが、ただ聴いているぶんにはぜんぜん(難しさは)気にならないような、純粋な音楽的感興を振りまいている。
ただ「楽譜」を吹いてるだけのモダン楽器プレイヤーの連中には、絶対真似のできない音楽だな。
最後、そしてアンコールのオペラナンバー(モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」からのアリア、デュエット)では、舞台の上を歩きまわりながら実際にオペラっぽい仕草での演奏で、場内和む。
楽しい連中だ。
オレもこういう「音楽」がやりたいな。
別に、ピリオド楽器を使わなければ出来ない、というものではあるまい。
ただ、こういうことをやるにはとても柔軟な、時空を超越したような感性が必要で、そういう感性を引き出すためのいわば「触媒」としても、ピリオド楽器を扱うということは機能しているように思う。
終演後のステージ。
片づけ前の一瞬の隙に。
奥の椅子の上の丸いものは、ベートーヴェンが「ロンディーノ」で使用を指定し、当時の文献をもとに復元したという、ナチュラルホルン用のミュート。
「コンサート(2011年)」カテゴリの記事
- 第九(2011.12.26)
- ショスタコ祭りその2…インバル都響B定期(2011.12.21)
- 鶴見にて、サロンコンサート(2011.12.18)
- ショスタコ祭りその1…インバル都響A定期(2011.12.12)
- 20世紀フランスの「粋」…ヴァレーズ、紀尾井(2011.12.10)
コメント