Principal Guest Conductor
東京都交響楽団 第708回定期演奏会~ヤクブ・フルシャ プリンシパル・ゲスト・コンダクター就任披露公演1.(サントリーホール)
ドヴォルザーク/序曲「フス教徒」
スメタナ/交響詩「ブラニーク」
マルティヌー/リディツェへの追悼
ヤナーチェク/グラゴル・ミサ
Sp:アドリアナ・コフートコヴァー
Alt:ヤナ・シーコロヴァー
Ten:リハルト・サメク
Bs:マルティン・グーバル
晋友会合唱団
指揮:ヤクブ・フルシャ
(コンサートマスター:四方恭子)
ヤクブ・フルシャ。29歳。
大変な才能だと思った。これはただごとではない。
2年前の都響定期に初めて登場したときにも、忘れがたい印象を残したことを思い出す。
2年前の定期には、インバル時代の後の都響を占うかのように、ヨーロッパ各地から新進の若い指揮者の客演がたて続いたけれど、その中でも最も若いフルシャ氏が見事ポスト(都響の職名はなぜかみんな、指揮者も事務方もカタカナだが、要は「首席客演指揮者」である)を射止めたのは、宜なるかな、と思える。
すべての曲目が、フルシャ氏の出身地チェコの「音楽的財産」、といっていい作品ばかり。
先日聴いたインキネン氏も日本フィルの「首席客演指揮者」で、やはりとても若い人だが、このときのシベリウスのような充実と貫祿が、本日のプログラムの最初から最後まで持続していた、ということだ。
前半では胸のすくようなオーケストラ指揮者としての手腕と、都響の木管プレイヤーの妙技を見せてもらったが、最も感動的だったのは最後の「リディツェへの追悼」だった。
前半の3曲を並べるなら、普通に考えたら「ブラニーク」(「我が祖国」の終曲)が最後だと思うんだけど(盛り上がるし)、敢えて地味な、しかし悲痛で切実な内容を湛えた「リディツェ」を最後に持ってきて、そしてそれが見事に成功していた。
いや、ホント、都響が本物のヨーロッパのオーケストラみたいな幅と奥行きのある音出してたもの。
休憩後は「グラゴル・ミサ」。実演を聴くのは初めて。
同じヤナーチェクの「シンフォニエッタ」を思わせる、舞い上がった騒々しさのような曲の立ち上がりから、やがて大合唱とソリスト(スロヴァキアとチェコの4人の歌手)が堂々と入ってくる。
ヨーロッパの普通のクラシックの作品の常態からすると、かなりに独特な、素っ頓狂に聞こえる部分もある音楽だけど、演奏は確信にみちて進んでゆく。
晋友会の合唱は、迫力はそれほどでもないが、声の深さがさすがと思う。
オルガンの長い即興じみたソロを経て、最後はオーケストラのみで冒頭の雰囲気が戻ってきて、力強く終わる。
ブラヴォー!
…いやはや、これは先が楽しみですわ。
まずは次回の東京文化定期(20日)。
リストの「レ・プレリュード」をどう攻めてくるのか、興味津々。
マルティヌーの交響曲(第3番)は今度はちゃんと予習をしようっと。
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