フォーレ歌曲全曲演奏会・最終夜
日本フォーレ協会第23回演奏会/フォーレ全歌曲連続演奏会 第4夜(東京文化会館・小ホール)
G.フォーレ/
9月の森でOp.85-1
水の上を行く花Op.85-2
同行Op.85-3
土屋雅子(Sp)、伊藤明子(Pf)
もっとも甘美な道Op.87-1
山鳩Op.87-2
静かな贈物Op.92
美山節子(Sp)、堀江真理子(Pf)
歌Op.94
平和になったOp.114
朝焼け
加納里美(MS)、高木由雅(Pf)
歌曲集「まぼろし」Op.113
立木稠子(MS)、堀江真理子(Pf)
歌曲集「幻想の水平線」Op.118
佐野正一(Br)、高木由雅(Pf)
アポロン讃歌Op.68bis
野々下由香里(Sp)、アンサンブル・コンセール・C、木村茉莉(Hp)
即興曲Op.86
塔の奥方Op.110
木村茉莉(Hp)
アヴェ・ヴェルム・コルプスOp.65-1
優しい母なるマリアよOp.47-2
野々下由香里(Sp)、中村優子(MS)、高木由雅(Pf)
タントゥム・エルゴOp.65-2
小川Op.22
野々下由香里(Sp)、アンサンブル・コンセール・C、伊藤明子(Pf)
マドリガルOp.35
パヴァーヌOp.50
ジャン・ラシーヌの雅歌Op.11
野々下由香里(Sp)、中村優子(MS)、安冨泰一郎(Tn)、佐野正一(Br)、高木由雅(Pf)
2年がかり、全4回におよんだ、フォーレの歌曲全曲演奏会の最終夜を聴いた。
第1回、第2回は聴いたのだが、前回(第3回)は聴けなかった(その日は大ホールの方に居たのだ)。
そうするといきなり今回、フォーレの最晩年がまとめて押し寄せて来ることになる訳で。
フォーレの晩年様式はムズカシイ。いろいろな意味で。
掴み所のない和声と、ほとんど跳躍のない、シンプルな、お経みたいなメロディラインという上に、歌曲の場合「言葉」も絡んでくるから厄介だ。
十代の終わり頃に初めてフォーレの晩年の作品(作品番号100超のもの)のいくつかを聴いて、とても理解できなくて、「大人になれば」分かるようになるかなあ、と思っていたけれど、いざこの歳になって、室内楽はそれでもだいぶ親しめるようになってきたものの(ピアノ五重奏の2番とかヴァイオリンソナタ2番とか)、歌曲はやっぱり難物です。
本日の歌手の皆さんはそれぞれにこの難しさを手中に収め、健闘されていたと思う。
なかでも佐野さんの「幻想の水平線」は、オペラティックに分かりやすい歌唱で、楽しめた。
加納さんの声はそれにしても(決して私の好きなタイプではないけれど)圧倒的だったなあ、とか。
休憩後の後半は、歌曲演奏会の補遺という形で、フォーレ初期~中期の合唱・アンサンブル曲をいくつか。
こちらは、これぞフォーレの真髄、という美しさのオンパレードだった。
ハープの伴奏で歌われた、バッハ・コレギウム・ジャパンでおなじみ野々下さんのプレーンな美声は、フォーレの宗教曲にふさわしいアルカイックな雰囲気にみちていた(ハープのボローンという音がまた、あたかも古代世界からの呼び声のごとく響く)。
最後の最後は、ピアノと4人(四重唱)のアンサンブルによる、フォーレの最も有名な「パヴァーヌ」、そして「ラシーヌの雅歌」!
この、フォーレ19歳の実質的なデビュー作品である(音楽学校の卒業制作だったそうだ)傑作でこの連続演奏会の幕を閉じるというのは、実に粋な企画であり選曲だと感じ入った。
この部分にしか出番のなかった、安冨さんというテノールの方がすばらしい美声で、この人の名前は覚えておこう。
という訳で、演奏会自体は良かったのだが、お客さんの一部、具体的には客席真ん中ブロック2、3列めの右手寄り辺りにかたまっていたばーちゃん達の一群の、素晴らしいまでの集中力の無さには呆れた。
最初っから最後までひとときもじっとしていられなくてチラシの束やらカバンの中やらをガサゴソガサゴソやってるし、ヒソヒソ話はするし、あげくに演奏中にいきなりペットボトルのお茶とかを飲んじゃうし。
演奏を聴く気が無いんだったら、そんな良い場所を陣取ってないでとっとと出て行けよ。
ああいう年寄りにはなりたくないもんだ、と心底思った。
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