故人からの手紙
昨日のこと、この8月に亡くなられた山本繁先生からの手紙が、家に届いていた。
最初はご遺族のかたからかと思ったんだけど、本人のお名前だった。
その手紙は、こんな書き出しで始まる。
「前略
突然、このような手紙を受け取られて驚かれる方も多いかと思います。
この手紙は、私が生前に希望していた散骨を終えてから皆様のお手元に届くように頼んでおいたものです。
この手紙を読んでもらっているということは、お別れをしてからしばらく経った頃かと思います。…」
こんな手紙を受け取ったのは、勿論初めてのこと。
何も知らなかった私などにとっては、このたびの訃報はとても急な話だったけれど、末期ガンの告知を受けてから1年以上も元気でおられたという先生からすれば、すべては覚悟の上だったんだな、ということが、今更のように実感させられる。
散骨の場所も、自分で下見をして決めたんだそうだ。
静岡の、駿河湾を見渡す丘の上だという。
私たちは普通、自分が死んだ後のことなんて、真剣に考えることはあまり、いや、ほとんどない。
そもそも、自分が死ぬなんて思うことすらないだろう。
だけど、人は必ず死ぬのだ。
自分が死ぬ準備をきちんとやり遂げて逝った山本先生は、なんだか、(不謹慎な言い方かもしれないが)カッコいい。
先生は、最後の最後まで、私たち、後から生きている者にとってのお手本だった、ということだ。
静岡には行く機会は多いことだし、暖かい季節になったら訪れてみようかなと思っている。
「末筆になりますが、生前はたくさんの楽しい思い出をありがとうございました。」
という最後の文章に、泣いた。
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