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2010.11.09

「和声の歴史」…フランスの難解

文庫クセジュ(白水社)というシリーズの書籍がある。
文庫といっても実際には新書判の大きさで、ほぼすべてが現代フランスの著者による人文歴史関係の訳書である。
音楽関係の書籍も多く、私も自分自身の趣味のゆえ昔から割といろいろなものを読んできた。たとえば、今は絶版だが、ジャン=フランソワ・パイヤールの名著『フランス古典音楽』もこのシリーズ。

で、今は、オリヴィエ・アラン著『和声の歴史』というのを読んでいるところ。
滅茶苦茶に難しい。

著者オリヴィエ・アラン(1918-1994)は、フランスの音楽一家出身の(オルガン奏者マリー=クレール・アランの兄、作曲家ジャン・アランの弟)批評家・教育者。
かのナディア・ブーランジェは、自ら「新聞を読むよりスコアを読むほうが速い」と豪語していたが、そういう、パリ音楽院の和声や理論のクラスを一等で出るような秀才連中の、異能ぶりと頭の回転の速さを体現するような文章である。
例えば、ジャン=フィリップ・ラモーの和声分析の瑕疵について述べているくだりの一部を抜き書きしてみると、こんな調子。

「《ドイツ》増六の和音は、まだ付加六の和音(短調のVI度、長調のIV度上の和音)の変化型としてしか感じられず、短調におけるII度上にできる短属九の和音の、五度音をさげた変化和音とはまだみなされていない。しかし、これは根音省略の七の和音の第一転回型、あるいは根音省略の九の和音などの変化和音全体についていえることである。」

さっぱり分かりません(笑)。
「博覧強記」、というのともちょっと違う。ひとつひとつの言葉の意味は分からないでもないんだけど、それがこのスピードで叙述されるということに対応しきれないのである。
これって、翻訳もけっこう苦労したんじゃないかなあ、という気がする。
誤訳がひとつふたつ混ざってたとしても、これじゃ分かんないよ、きっと。

こういう難しいものを読むときのコツは、とりあえず「ここには何が書かれているか」ということより、「この著者は何が言いたいのか」、というほうに注意を払うことである。
「書かれていること」があまりにも難しいゆえに、「言いたいこと」が見えづらくなってしまう、ことが問題なのである。
その限りにおいては、なかなか興味深い内容である。と思う。
なにしろ、千数百年の西洋音楽の歴史を、音程の発生と和音の出現、「調性」の出現と発展と飽和(超越)、というトピックでくくって、たったの150ページ弱でまとめてしまっているのだから。
しまいには、「この平均律世界にはいったい、全部でいくつの和音が理論的に存在し得るのか」というところまで考察は及ぶ(物凄い数になります)。

あっ、勿論、最低限の楽典の知識くらいは無いと、本当にチンプンカンプンのお手上げになるので、もし読まれるのでしたらその点はご了解を。

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