小山実稚恵さん、25年
小山実稚恵デビュー25周年記念 協奏曲の夕べ(サントリーホール)
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番
同 /大学祝典序曲
同 /ピアノ協奏曲第2番
小山実稚恵(Pf)
大野和士指揮 東京都交響楽団
続いて、9月3日のこと。
やはりサントリーホール。
ピアニスト小山実稚恵さんの、デビュー25周年シリーズの演奏会のハイライトとも言うべき、コンチェルト演奏会へ。
大盛況でした。
6~7年前だったと思うけれど、ユンディ・リがN響の定期でショパンのコンチェルトを弾いたときのこと。
私はたまたま聴きに行っていて、休憩時間にNHKホールの地下の自販機前に並んでいた。
NHKホールってところは面白くて、普通いまどきのコンサートホールというと休憩時に何か飲もうにもバーカウンターしか無いけれど、ここはドリンクコーナー以外にも普通の120円の飲料自販機が何台も並んでるし、売店ではポッキーチョコや最中アイスも売ってたりする。映画館みたいだ。昭和の香りというかなんというか。
さて、そんなわけで缶コーヒーを買おうと自販機前に並んでいたら、私の前のお姉さんがどこかで見たような顔なのだ。
小山実稚恵さんだった。
あまりにも普通の(ちょっとトウの立った←失礼)おねーさんで、周りの人も気づいている雰囲気じゃなかった。
小山さんというと田園調布のお嬢さんというかマダムというか、長いことそういうイメージだったけれど(実際田園調布に住んでらっしゃる)、自販機に並んで缶ジュースとか買っちゃうんだ、と思って、一気に親近感が湧いたものだった。
そんなことはどうでもよくて。
ブラームスの2曲のコンチェルト。
これを一晩で弾くのって、チャイコフスキーとラフマニノフの2番を一度に弾くのと、ピアニスト的にはどっちがきついだろう、と考える。
特に1番、「苦行」、という言葉が頭に浮かんだくらいの、たいへんな熱演。
大野和士指揮都響の、重厚きわまりないバックが、余計その印象を強くする。
これで演奏会が終わりか、ってくらいの勢いで「1番」を弾き終えて、「2番」のほうは少しふっ切れたのかな、という感じ。3楽章の独奏チェロ(田中さん)との美しい対話はとても素敵だったし、またこの4楽章ほど「室内楽」的な親密さをもって弾かれたコンチェルトの演奏というのは、ほとんど初めて聴いたくらいだ。
1回の演奏会とは思えないような充実感とともに、終演。
間の「大学祝典序曲」は、速めのテンポで颯爽と駆けぬける。
大野さんの演奏によくある、一陣の風のような立ち去り際の鮮やかな印象が後々まで残る演奏だった。
しかし大野さん、出てくる音といい立ち居振る舞いといい、まるでヨーロッパの人ですね。日本人の指揮者という雰囲気ではない。
小山さんと大野さんのこの25年(おふたりは芸大の同期だそうだ)というのは、私自身が(お金を払ってコンサートを聴きにゆくなどという発想が全く無かった学生時代を終えて)今に至るまでコンサートを聴き歩くようになった歴史と、ほぼ時間を同じくしている。
とても感慨深いものがあった。
補聴器のハウリングと思われる、ピーーという超高音の雑音が演奏のあいだ中ずっと聞こえていて、集中を殺がれたのが唯一残念(休憩後は少し静かになったがやはり聞こえていた)。
以前別の演奏会でもそういうことがあったけれど、これってどうしようも無いんだよねえ。とても発音源を特定しづらい音だし、いくら「補聴器は正しく装着してください」とアナウンスしたって、それが聞こえるくらいならそもそも補聴器なんかする必要ない訳で…
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