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2010.07.16

スカイライトの下で…飯守&シティフィル

OperaCity_skylight

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第241回定期演奏会-東京シティ・フィル創立35周年記念・ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ 第2回(東京オペラシティ・コンサートホール)

ベートーヴェン/「エグモント」序曲
同 /交響曲第8番(I.マルケヴィチ版による)
同 /交響曲第6番「田園」(I.マルケヴィチ版による)
 指揮:飯守泰次郎
 (コンサートマスター:戸澤哲夫)

15日のこと。
オペラシティのコンサートホール。
この季節にオペラシティに来ると、7時の開演間際になっても天井のスカイライト(天窓)が明るいのが、なんとも開放的な気分にさせられる。

TCPO, 100715マエストロ飯守率いるシティフィルは、今年はベートーヴェンの年になっている。
そういえばKST(紀尾井シンフォニエッタ)も1年かけてベートーヴェンの交響曲を全部やるし、新日本フィルもブリュッヘンのチクルスが控えている。
何年か前にベーレンライター版とやらが脚光を浴びて以来、今季の東京オーケストラ界はふたたびベートーヴェンの当たり年らしい。

しかし飯守さん、マルケヴィチ版などというものを引っぱり出してくるとは予想外だった。
で、聴いてみると正直なところ、どこが普通のベートーヴェンと違うのかよく分からない。
というか、そもそも「普通のベートーヴェン」というのもいまやよく分からない。
私も含め、普通の音楽好きの人がCDで聴いているベートーヴェンというのは、19世紀以来の伝統的アプローチによるものが多数派だと思うけれど(ちなみにうちにあるベートーヴェンの交響曲は、クーベリックとクリュイタンスの全集と、バラで幾つか。全集はどちらも70年代以前だ)、いま実際に演奏会でベートーヴェンを振ろうというほどの指揮者は、多かれ少なかれ21世紀の最新の研究成果に基づく「ピリオド・アプローチ」というものを仕組んでくるのが普通だ(インバルみたいに「ピリオド・アプローチ」を一顧だにしない指揮者のほうがかえって新鮮に感じるくらいで)。
慣れ親しんでいるものと、いま現在リアルにあるものとの分離。
飯守さんがマルケヴィチ版を今回出してきたのは、現代のそのような状況ゆえだと思う。
プログラムに飯守さん自身が書いているように、マルケヴィチ版自体が、まさに演奏芸術の伝統が分裂していく時代の始まりの時に、「客観的で体系的なひとつのベートーヴェン像」を打ち立てることを意図して作られたものなんだそうだ。
そして、飯守さん曰く、マルケヴィチ版の魅力は、単なる個人の主張ではない客観性があり、「最後には演奏家自身が判断するという自由さ」だという。

もしかして「マルケヴィチ版」というのは、単に飯守さん自身が自分のやりたいように演奏するための方便というか、大義名分なんじゃないかな、という気も。

私が今回これを聴きに行ったのは、単純に、大好きな「田園交響曲」の気合の入った良い演奏が聴きたかったからだ。
「田園交響曲」は実はとても難曲であり、かといってそんな派手に盛り上がる音楽でもないので、なかなかやってくれない。
でも、ここぞという時にプログラムに載るこの曲は、そのオーケストラと指揮者の一番いい部分を伝えてくれる。ような気がする。
今日も然り。演奏は少し疵はあったけれど、ベートーヴェンの偉大さの前には問題じゃない。
飯守さんの指揮をする後ろ姿は、近年だんだん小澤征爾に似てきたように思う。

田園の生活を描写した4つの楽章を通りすぎて、終楽章、嵐が止んで再び顔を出したお日さまに感謝の気持ちを捧げながら、いつしかそれが、この世界に「音楽」というものが存在することへの感謝へと昇華してゆく。
この、スカイライトの下で聴く音楽にまことにふさわしい。

…シティフィルの演奏会は、演奏会が終わったあと三々五々帰っていくお客さんの顔が、みんななんだかニコニコしていて嬉しそうなところがいいですね。
よそでは、演奏がどんなに良くても、お客さんがみんなブスーッとした顔をしていて、何の文句があんの?と思ってしまうようなオケもあるから。

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