フェスタミューザ開幕
フェスタ・サマーミューザKAWASAKI 2010(ミューザ川崎シンフォニーホール)
オープニングコンサート~東京交響楽団
シューベルト/交響曲第7番「未完成」
メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」
Sop:前川依子、MS:松浦麗
ナレーション:檀ふみ
東響コーラス
指揮:ユベール・スダーン
日曜日のこと。
首都圏のオーケストラ・リスナーの夏祭り、フェスタ・サマーミューザが、今年も開幕。
はじめてオープニングコンサートに行ってみた。
ミューザのフランチャイズ・オーケストラ、東響と音楽監督スダーンによる「真夏の夜の夢」。これは聴きたかった。
4階席のてっぺんまでぎっしり入ったお客さん。めでたい。
私の場合、東響は在京8オケの中で一番聴く機会が少ないオーケストラかもしれない。
定期会員ではないので、興味のある曲目のときだけ行くことになるけれど、そうするとそれでなくても少ない機会が秋山さんや大友さんの選曲に偏ることになり、正統ドイツ音楽が中心レパートリーのスダーン氏の登場機会には尚更当たりづらい。
しかし今回は、私の偏愛する「真夏の夜の夢」、しかも全曲版だったのが幸いだった。
1曲めの「未完成」から、3拍子を1拍ずつザッ、ザッ、ザッと振るような、スダーン氏の独特の指揮法。
打点を打つのではなく、腕で音を前に(あるいは自分の周囲に)投げ出すような振り方は、少なくとも日本人の指揮者では見たことがない。
結果出てくる引き締まったラディカルなリズム感と、突き刺すような管楽器の響きにバロックティンパニの音が、中途半端にロマンチックな安易な雰囲気を脱した、独自の世界をつくり出す。
しかし改めてこうして見てみると、さすが!という仕事してますねえスダーンさん。
「真夏の夜の夢」の序曲が、こんなに立体的な、森の妖精のざわめきや鳥や獣の声や夜の木々が風に揺れる音といったこの世ならぬ物音や気配をソナタ形式の中に散りばめた幻想的な音楽である、ということを分からせてくれる演奏は滅多にないし、難曲の「スケルツォ」のアンサンブルも多分、今までいろいろなオーケストラの実演で聴いた中でも最も有機的に揃っていたと思う。
合唱、そして「妖精の歌」を歌ったソプラノ、メゾソプラノ2人の歌手もそれっぽい雰囲気をよく出していて文句なし。
「夜想曲」のソロホルンはちょっと私の好みではなかったが。
ステージ背後のオルガン部分に森の風景を投影した中、ナレーションの檀ふみさん、葉っぱをいっぱいくっつけた衣装と金髪のかつらで妖精パックを熱演。(しかし檀ふみ様ももう結構なお歳だろうに、すごいなあ…)
舞台上、客席通路、オルガン席を縦横に駆け回る演出で、リハーサル大変だっただろうなと思った。こういうことができるのはフランチャイズ・オーケストラならではかも。
オベロン王の冠を被らされたスダーンさんも、少しセリフを喋ったりした。
シェイクスピアの「夏の夜の夢」を一人のナレーションに翻案するのはなかなか厳しいものがあるけれど(もともとがたくさんの登場人物を絡みあわせたドタバタ劇ですからね)、今回は珍しくも結構うまく行っていたほうじゃないかと思う。
どなたが台本を書いたのだろうか(プログラムには載ってなかった)。
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