テミルカーノフという驚異
この季節の日曜日は毎年、6月の本番に向けての練習に明け暮れる。
勿論今日も、また。
通常の練習は昼の12時開始で夕方6時終了なので、他のことはほぼ何もできないのだが、今日だけはいつもの練習場所ではなく、時間も4時で終了したので、諦めかけていた(午後6時開演の)コンサートに行くことができた。
雨のなかサントリーホールへと向かう。
読売日本交響楽団 第 526回名曲シリーズ(サントリーホール)
プロコフィエフ/交響曲第5番
エルガー/エニグマ変奏曲
指揮:ユーリ・テミルカーノフ
(コンサートマスター:藤原浜雄)
私の大好きな「エニグマ変奏曲」を、ロシア人の指揮者がどう料理するのだろうか、というような興味で行ったんだけれど、いざ実際に接してみたら、とてもとてもそんな程度の興味では語れない、驚天動地の演奏でありました。
オーケストラというものを統率する、これほど鮮やかな能力は見たことがない、ってくらいに驚いた。
「耳の良い」指揮者はたくさんいる。並外れたバトンテクニックを持った指揮者、というのも何人か知っている。オーケストラをひとつの方向に束ねて、強力に牽引していく指揮者、というのも、確かにいる。
テミルカーノフはそのどれでもない。いや、それらの全部を兼ねている。
「エニグマ」の何番めかの変奏で、入り組んで色々なことをやっている各パート、各声部のすべてを、同時に、別々にこの人は「指揮をしている」ことに気がついて、私は愕然とした。
どうしてそんなことが可能なんだろう?人間業じゃないよ。
まあ、そもそもオーケストラの指揮をするというのは人間業じゃないんだけど、その次元の話ではなく。
個人的には「エニグマ変奏曲」の「初演」(!)、と言いたい気分だった。
前半のプロコフィエフも勿論良かったんだけど、なにしろ今日は朝10時半から夕方4時まで、途中25分の休憩を一度とっただけでずっと楽器を吹き続けていた後だったもんで、疲労のため途中記憶が飛んだところがあったのが残念。
次の機会にはこれは是非、万全の体調で聴かねばなるまい。
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