故きを温ねて
田村真寛 サクソフォーンリサイタル2nd(トッパンホール)
モーツァルト(田村真寛編)/歌劇「フィガロの結婚」序曲
ベートーヴェン(田村真寛編)/『魔笛』の「愛を感ずる男たちは」の主題による7つの変奏曲
シューベルト(田村真寛編)/アルペジョーネ・ソナタ
J.S.バッハ(伊藤康英編)/管弦楽組曲第3番より序曲*
メンデルスゾーン(田村真寛編)/ピアノ三重奏曲第1番*
田村真寛(Sax)
野田清隆(Pf)、*遠藤真理(Vc)
個人的にいろいろゴタゴタしていて、たいぶ日にちが経っちゃいましたが。
田村さんのリサイタルでした。
大きな本番の翌日だったけれど、美しいホールで贅沢で素敵な時間を過ごした。
あの衣裳(笑)ではなかった。あれはレンタルだったそうで。
でも襟と袖にフリルを付けてみましたとアンコール時に本人より釈明あり(笑)
例のチラシは告知記事に使ったので、今回はプログラムの表紙をば。
堂々たる「クラシック」なコンサートだった。
モーツァルトはソプラノ、ベートーヴェンはテナー、「アルペジョーネ」はアルト。チェロと組んだ後半はソプラノ。
最後のメンデルスゾーンの奔流のような盛り上がりに向けて、カーブを切りながら山道を上るようにそれぞれの曲が進んでいった。
曲がりくねった山道を進む車窓からは、方角によっていろいろな風景が見えるけれど、基本的には心洗われる山間の自然の風景だ。
メンデルスゾーンがそんなに大曲には聞こえなかったのが、なんだか新鮮だった。
コンサートのメインに持ってくることのできる演奏時間30分の室内楽曲なんて、「クラシック」の世界ではいたって普通の存在で、頭がそういうモードに切り換わった状態で聴いたということだ。
サックスの世界では、演奏時間20分を超えたらもう「大作」ですからね(サクソフォン2本でメンデルスゾーンを聴いたことは何度かあるけれど、どれもおっそろしく大きな曲に聞こえたものだった)。
耳をそういうふうに持って行って聴くことができただけでも、このリサイタルの価値はあったと思う。
サックスでクラシックやバロックを演奏する人は多い。
でも、多くの人は単に「コレクション」の一種として、そのような音楽をとりあげているように思える。
オーソドックスと新鮮さの境界をかろやかに行き交うためのツールとして、サクソフォンという「新しい楽器」を使う、という方向性は、少なくとも今までの日本にはあんまりなかった(海外には、CDで聴く限りだけれど、何人かはいます)。
「温故知新」、という言葉は、故きを温ねて新しきを知る、ということで、温ねっ放しでそれっきりじゃやっぱり、足りないと思う。
田村さんの「音」がまた、良いんですよね。
「音」の話は、また機会があったらじっくり書きます。
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