もうひとつ、マーラー3番
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第262回定期演奏会(みなとみらいホール)
マーラー/交響曲第3番
Ms:波多野睦美
神奈川フィル合唱団、小田原少年少女合唱隊
指揮:金聖響
(コンサートマスター:石田泰尚)
今までにも何度も書いているように、マーラーの交響曲第3番は、この世の中の数あるシンフォニーの中でも、私の最も好きなもののひとつ。
なにしろ1曲1時間40分もかかるので、普段はなかなかステージに架からないけれど、マーラー生誕150年記念の今年は嬉しいことに聴ける機会が多い。
今日は実のところ、楽しみ半分、怖さ半分で臨んだ演奏会だったけれど、結果的にはとてもよかった。
1回券の発売とほぼ同時くらいにチケットは手に入れていたものの、1ヶ月も経っていない最近に聴いたばかりのインバルさんの「3番」があまりにも素晴らし過ぎたので、比べて聴いちゃうとガッカリしてしまうんじゃないか、ということが怖かったんだけれども、いざ聴いてみれば、そりゃまあ確かに、そのパッセージはそんなふうに通り過ぎないでよ(もっと歌えー)、とか、せめてあと30cmくらい深く掘り下げてくんないかなあ、とか思う箇所はいろいろあったけれど、マーラーの音楽の大きさの前には全く些細な問題だった。
あまりにも率直で陰りのない演奏に面食らったところがあったのかもしれないが、作り出された響きの透明さと美しさには自ずから説得力があって、ああ、これはこれでアリだよなあ、と思った。
神奈川フィル、良い音してるじゃあないですか。
インバルさんみたいな、隅から隅まで後期ロマン派の流儀に染まりきった響きとは全然違うけれど、これはこれで立派なマーラーだ。
特にこの「3番」には似合う。「青春のマーラー」ですね。
波多野さんは基本的には古楽のフィールドの人のはずで、実際その明るい声質とまっすぐな発声は、マーラーのメゾソプラノというイメージとはかけ離れていたけれど、金さんとしては最初から承知の上のことなんだろう。
比較的少なめの人数で薄めに仕上げられた5楽章の合唱も、また然り。
聴いていて、マーラーというより、M.A.シャルパンティエやリュリのモテットみたいに聞こえる瞬間もあった。
いやーやっぱり、マーラー良いですねー。
でまた、先入観で音楽聴いてはイケマセンねー、とも実感。
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